- 間仕切壁(まじきりかべ)って何?
- 建築基準法における定義は?
- 耐火性能のある間仕切壁って、どんな仕様?
こんな疑問に答えます。
本記事では、建築物の「間仕切壁」の定義や関連する法規制についてわかりやすく解説。
建築物を設計したり、DIYなどでリノベーションを行うときにも欠かせない知識です。
このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
間仕切壁とは
「間仕切壁(まじきりかべ)」は、建物内の空間を用途に合わせて仕切るための壁です。
視線を遮り、室の独立性を保つ役割を果たすもの。
一部の壁は、屋根や床の荷重を安全に支える役割もになうことがあります。たとえば、木造建築物における「耐力壁となる間仕切壁」ですね。
耐力壁以外にも、「防火区画」や「界壁」と呼ばれる間仕切壁もあり、建築基準法において様々な規制がかかります。
ここからは、間仕切壁に関わる建築基準法の制限について、詳しく解説していきます。
主要構造部となる間仕切壁
建築物の防火および避難において重要な間仕切壁は、建築基準法における「主要構造部」に該当します。
以下のいずれかに当てはまる間仕切壁は「主要構造部」。
- 防火区画
- 防火上主要な間仕切壁
- 界壁
たとえば、「耐火建築物」を設計する場合、主要構造部となる間仕切壁は「耐火構造」としなければなりません。
建物の用途・規模によって、間仕切壁に必要な耐火被覆の基準が変わるため注意しましょう。
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防火区画となる間仕切壁
建築基準法では、一定の建築物について、炎の拡大を防ぐための間仕切壁(防火区画)を設けることが義務づけられています。
防火区画は、大きく分けて4種類。
防火区画が必要な建築物、間仕切壁に求められる耐火性能について詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
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界壁【住戸間を仕切る間仕切壁】
共同住宅または長屋で、住戸と住戸の間にある間仕切壁は、建築基準法における「界壁(かいへき)」に該当します。
出典:建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について
一定の遮音性能と耐火性能が求められており、小屋裏まで達するように施工するもの。
詳しくは、界壁の仕様とは|建築基準法における遮音性能・耐火構造を解説をご確認ください。
防火上主要な間仕切壁【令114条】
建築基準法施行令114条において、「防火上主要な間仕切壁」の設置基準が定められています。
”学校・保育園・就寝をともなう施設など”の建物で、火災時に避難経路を確保するために重要となる壁のこと。
設置の必要な建物用途や具体的な耐火基準が知りたい方は、【114条区画】防火上主要な間仕切壁とは|緩和・免除の方法も解説の記事をご確認ください。
採光無窓居室を区画する間仕切り壁【法35の3】
建築基準法において、以下のいずれかの開口部がない居室は、間仕切壁を耐火構造、または不燃材料で造らなければなりません。
- 採光に有効な開口部<居室面積×1/20
- 以下に示す“直接外気に接する避難上有効な開口部”が無いもの
- 直接1m以上の円が内接できる開口部
- 幅75㎝×高さ120㎝以上の開口部
これは、建築基準法35条の3による制限。
採光窓のない居室(いわゆる採光無窓居室)にかかる規定で、法35条の3による間仕切壁は原則として天井裏にも立ち上げる必要があります。
特に、木造の建物では柱や間柱が木材であり、壁を不燃材料でつくることができません。
鉄骨造などと比べて採光無窓居室をつくるときのハードルが高くなる点に注意しましょう。
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間仕切り壁を貫通する配管の処理方法
防火区画となる間仕切壁に設備配管を貫通させる際は、建築基準法にもとづく「貫通処理」が必要です。
一般的に天井の裏には、設備のダクトやパイプが通るもの。区画の壁によって配管ルートが遮られると、壁を貫通させるしかありません。
ただし、壁に穴を開けて配管を通すだけだと、防火区画の耐火性能を損なってしまいます。
そこで、配管を通した穴を不燃材料でふさぎ、貫通部の前後1mも不燃材でつくるなど、建築基準法による制限が定められているわけですね。
詳しくは、防火区画貫通処理とは|給排水管・ダクト・電線管の構造・防火措置の記事で解説しています。
まとめ
- 間仕切壁は、建物内の空間を用途に合わせて仕切るための壁。
- 防火および避難において重要な間仕切壁は、「主要構造部」に該当。
- 一定の建築物は、炎の拡大を防ぐための間仕切壁(防火区画)が必要。
- 共同住宅または長屋で、住戸と住戸の間にある間仕切壁は、「界壁」に該当。
- 防火上主要な間仕切壁:”学校・保育園・就寝をともなう施設など”の建物で、火災時に避難経路を確保するために重要となる壁。
- 採光無窓居室の間仕切壁は、原則として耐火構造、または不燃材料で造らなければならない。
- 防火区画に設備配管を貫通させる際は、建築基準法にもとづく「貫通処理」が必要。
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