『主要構造部』の定義とは|「構造耐力上主要な部分」との違いも解説

主要構造部_定義防火規定
  • 建築基準法における『主要構造部』って何?
  • 建物のどの部分を示す?
  • 『構造耐力上主要な部分』と『主要構造部』はどう違う?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、建築基準法における『主要構造部』という用語の定義について、わかりやすく解説。

耐火構造や準耐火構造の建築物を設計するにあたって、主要構造部が建築物のどの部位を指すかは必須の知識です。

さらに言えば、「鉄骨造における筋かいは、主要構造部に該当するのか?」「火打ち梁はどうなのか?」など、主要構造部について迷うケースは多いかと。

用語の定義だけでなく、実施設計を始めると出てくる疑問点についても回答していきます。

 

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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建築基準法における『主要構造部』の定義

主要構造部とは、建築物の防火および避難において主要な構造部分。

具体的には、以下の6つの構造部を指します。

  1. 屋根
  2. 階段

 

主要構造部とは

つまり、建築物に火災等が起きたときに、建物が倒壊しないために重要である部位や焼け落ちると避難に支障をきたす部分ですね。

 

主要構造部とはみなされない部分

主要構造部には当てはまらない建築物の部分も確認しておきましょう。

  • 建築物の構造上重要でない間仕切壁
  • 間柱
  • 付け柱
  • 揚げ床
  • 最下階の床
  • 回り舞台の床
  • 小ばり
  • ひさし
  • 局部的な小階段
  • 屋外階段
  • 上記その他これらに類する建築物の部分

 

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主要構造部にかかる建築基準法の法令

主要構造部にかかる建築基準法の制限として、代表的なものは耐火構造・準耐火構造の基準。

例えば、ある建築物が耐火構造とみなされるためには、主要構造部すべてが耐火被覆を施す必要があります。

外壁をALCパネルにしたり、階段を鉄骨造にしたり、火災が発生しても一定の時間倒壊しないような耐火性能を持たせるわけですね。

 

また、防火区画の制限においても「主要構造部」というワードが登場します。

竪穴区画では、以下のとおり。

(防火区画)
第112条

10 主要構造部を準耐火構造とした建築物又は第百三十六条の二第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、

以下省略

 

『主要構造部』と「構造耐力上主要な部分」との違い

主要構造部は、建物の構造耐力において、重要な部分という意味ではありません。

建築基準法においても「構造耐力上主要な部分」という用語は、別で定義されています。

主要構造部 ≠ 構造耐力上主要な部分

 

構造耐力上主要な部分とは、建築物の自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧、水圧、地震その他の震動・衝撃を支えるもので、以下の部位のこと。

  • 基礎
  • 基礎ぐい
  • 小屋組
  • 土台
  • 斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)
  • 床版
  • 屋根版
  • 横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)

 

【Q&A】鉄骨造の筋かいは主要構造部?

Q. 鉄骨造の壁に設ける筋かいは、主要構造部ですか?
A. 水平力のみを負担する筋かいは、主要構造部とはみなされません。

この法解釈は書籍建築物の防火避難規定の解説に基づいています。

例えば、耐火建築物の外壁に丸鋼の筋かいがあったとしても、水平力のみを負担し、鉛直力が作用しない場合は、ロックウール吹き付けなどで被覆する必要がないということ。

 

【Q&A】木造建築物で吹き抜けにつくる「火打梁」は主要構造部?

Q. 木造の準耐火建築物で、「吹き抜けに設ける火打梁」は、主要構造部とみなされて耐火被覆が必要ですか?
A. 原則、不要だと考えています。
小梁は主要構造部の定義から除かれているため。
ただし、特定行政庁や確認検査機関によって、見解が分かれるかもしれません。

火打梁に耐火被覆が必要かどうか、つまり、「火打梁は主要構造部に該当するのか」という問題ですね。

個人的には、火打梁は小梁と同様で、主要構造部に当てはまらず、被覆不要と考えています。

ただ、人によって見解の相違があるかも。

 

例えば、火打梁を被覆しない場合、火打梁が接続している大梁の被覆が一部欠けることになる。よって、「火打梁に被覆は必要」といった主張もあり得ますね。

火打梁に石こうボードなどの被覆をせず、木をあらわしで見せたい場合、事前に申請予定の確認検査機関に聞いてみることをおすすめします。

 

トップライト(天窓)は主要構造部の屋根として扱う

屋根に設けるトップライト(天窓)は、開口部であり、屋根でもあります。

つまり、トップライトは主要構造部(屋根)としても扱われるということ。

耐火建築物や準耐火建築物の屋根にトップライトを設ける場合、鉄製(またはステンレス製)枠と網入りガラスとしなければいけません。

 

まとめ

  • 主要構造部とは、建築物の防火および避難において主要な構造部分。
    1. 屋根
    2. 階段
  • 主要構造部は、建物の構造耐力において、重要な部分という意味ではない。
  • 構造耐力上主要な部分とは、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧または地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの
  • 水平力のみを負担する筋かいは、主要構造部とはみなされない。