建築基準法における『改築』とは|新築・増築・移転との違いも解説

改築とは増築
  • 建築基準法で「改築」は、どういう意味?
  • 改築・新築・増築・移転、それぞれの違いは?
  • 「改築」すると確認申請は必要?

こんな疑問に答えます。

本記事では、建築基準法において『改築』とは、どのような建築行為を指すのかを解説。

新築・改築・増築といった区別しづらい用語との違いも理解していただけるかと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。

住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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建築基準法における『改築』とは

建築基準法における『改築』とは、建築物の全部または一部を取り壊したり、災害で倒壊したりしたときに、用途・規模・構造がほぼ同じものを建てること。

 

使用する材料の新旧は問われません。つまり、既存の建物の建築材料をリサイクルしたりする必要はなし。

もしも、元の建物と大きく異なる建築物を造る場合は、「新築」もしくは「増築」とみなされます。

 

例えば、既存の戸建て住宅を解体して、同じ設計の戸建て住宅を建てるときに「改築」といいますね。

逆に言えば、建物を除却して、新たに別の建築物を設計するときは「新築」に該当。

さらに、古い住宅を潰して、新しい住宅に建て替える場合でも、木造だったものを鉄骨造に変更する等は「改築」にあたりません。新築ですね。

 

『改築』は、4種類ある建築行為の1つ

建築基準法において「建築」行為にあたるのは、以下の4種類。

  1. 新築
  2. 増築
  3. 改築
  4. 移転

つまり、建築基準法の法文を読んでいて、「建築」というワードがでてきたら、改築も含まれるわけですね。

 

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『改築』の条件まとめ

建築基準法において、改築とみなされる条件をまとめると以下のとおり。

  • 除却する部分:建築物の全部または一部
  • 除却の理由:建築主の任意または、災害などにより滅失した場合
  • 建物の用途:元の用途と著しく異ならないこと
  • 建物の規模:一般的には、元の建物の規模以下

 

新築・増築・改築・移転の違いを整理

建築基準法で『建築』にあたる行為を表にまとめました。

建築新築更地に建築物を新たにつくること。すでに建築物がある敷地に棟別で新規につくること。(敷地単位では「増築」とみなされる)
増築既存建物の床面積を増加させること。ただし、面積の増加が0㎡でも「増築」とみなされるケースもある。(例:床面積0㎡の屋外階段の建築は「増築」)
改築既存建物の一部または全部を除却したあとに、用途・規模・構造が大きく異ならない建築物を建てること
移転同一敷地のなかで、既存の建物を解体することなく、位置を変更すること。

 

『改築』をするときに確認申請は必要?

改築をする場合は、原則として建築確認申請が必要となります。

「原則〜」というからには、例外もあり。以下の表を見てください。

 

 建築確認申請の要否判定表

〇:建築確認が必要  ✕:建築確認が不要

全国
都市計画区域内準都市
計画区域
準景観
地区
その他の地域
防火・
準防火
地域
特殊建築物
建築基準法別表1の
床面積>200㎡
新築
増築・改築・移転
10㎡以内
大規模建築物
木造≧階数3
  >延面積500㎡
  >軒高9m
木造以外≧階数2
  >延面積200㎡
新築
増築・改築・移転
 10㎡以内
上記以外の建築物新築
増築・改築・移転
 10㎡以内

 

つまり、”防火・準防火地域以外の地域”で、改築する床面積が10㎡以内のときは、建築確認が不要。

確認検査機関に勤めていると、設計者から「増改築したいけど、確認申請は必要ですか?」という質問が、わりと多いです。

床面積が10㎡以内の「増築・改築・移転」は建築確認がいりませんが、「新築」では申請を受けなければならない点に注意しましょう。

 

また、床面積10㎡以下の増改築・移転であっても、計画敷地が防火・準防火地域であれば確認申請が必要。上記の表をよく見ておいてください。

「床面積10㎡」の建物は確認申請不要、と誤って覚えている設計者の方が意外と多いかと。

 

既存建物の一部を改築するときの注意点

既存建物の一部を取り除いて、新たに改築する場合、すでにある建物部分に「現在の建築基準法」が適用されます。

 

増改築をあまり経験していない方には少しわかりにくいかもしれませんが、例えば…

昭和50年に建てられた戸建て住宅が老朽化してきたので、一部を壊して「改築」する計画だとします。

そのときに、既存部分と改築部分はEXP.J(エキスパンションジョイント)などで、構造的には分離するように設計していても、既存部分に現在の建築基準法が適用されます。

 

よって、建築物の一部を改築するにあたって、「当時の基準に適合していて、現在の基準には適合していない部分」がある場合は、以下のいずれかの措置が必要。

  • 既存部分を改修して現在の建築基準法に適合させる
  • 建築基準法における緩和要件を満たす

既存建物の部分に、明らかに現在の基準では不適合となる箇所があるときは注意しましょう。

「建築基準法における緩和要件」について詳しく知りたい方は、【増築】既存不適格の緩和方法まとめ|緩和条文の早見表も紹介という記事か、建築法規PRO2020 図解建築申請法規マニュアルなどの書籍を参考にどうぞ。

 

建築基準法で改築について読んでみる

建築基準法における「改築」という用語の定義は法2条に定められています。

(用語の定義)

第2条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

十三 建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

 

改築をするときに建築確認が不要となる根拠は、法6条2項に書かれています。

(建築物の建築等に関する申請及び確認)

第6条

建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合

中略

確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。

2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるときについては、適用しない。

 

増改築の設計におすすめの書籍

最後に、増改築の計画をするときに参考となる書籍『プロが読み解く 増改築の法規入門 増補改訂版』を紹介しておきます。

改築は新築と違って、既存建物を意識した設計が必要となるので、わりと特殊。

優秀な建築士の方でも、初めて担当する増改築でとまどうことが多いかと。

プロが読み解く 増改築の法規入門 増補改訂版には、確認検査機関の審査を担当する側からしても、最低限、知っておいてほしい知識が書かれています。

建築基準法を読むのはつらいという方が多いので、参考書籍で知識を深めてもらえれば、建築確認がスムーズに進みますよ。

 

まとめ

  • 建築基準法における『改築』とは、建築物の全部または一部を取り壊し、用途・規模・構造がほぼ同じものを建てること。
  • 建築基準法において「建築」行為にあたるのは、以下の4種類。
    • 新築
    • 増築
    • 改築
    • 移転
  • 改築をする場合は、原則として建築確認申請が必要。「原則〜」というからには、例外もあり。
  • 増改築の計画をするときに参考となる書籍『プロが読み解く 増改築の法規入門 増補改訂版