高層区画とは|壁・床の基準と防火設備の種別をわかりやすく解説

防火区画_高層区画とは防火規定
  • 高層区画ってなに?
  • どんな建物に高層区画が必要?
  • 区画の壁や防火設備に必要な基準が知りたい。

こんな疑問に答えます。

本記事では、建築基準法における防火区画の一種である『高層区画』について解説。

階数の多い建築物を設計するときには必須の知識ですし、防火区画について理解を深めるために有益な情報かと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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『高層区画』とは

『高層区画』とは、建築物の11階以上の部分に対して、一定の面積のごとに設ける防火区画のこと。

11階以上の階で火災が発生すると、はしご車による消防隊の救助ができないため、炎が燃えひろがると救出が難しくなります。

高層区画によって火災を抑制し、消火活動や避難をスムーズに行えるようにする狙いがあるわけですね。

ちなみに、高層区画は4種類ある防火区画のうちの1種。

高層区画がかかる建築物は、竪穴区画面積区画も必要となる可能性が高いので、防火区画の全体像を把握したうえで設計を進めましょう。

 

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『高層区画』の必要な建築物

高層区画が必要となる建築物は、11階建て以上の建築物。

✔️ 区画が必要となる建築物の部分:11階以上の部分

 

『高層区画』の範囲・基準

高層区画における防火区画の範囲は、建物の内装や用途によって異なります。

以下の表をご確認ください。

 

高層区画の基準【一覧表】

区画が必要な建築物建築物の内装・建物用途区画面積区画の床・壁の構造区画の開口部の構造
建築物の11階以上の部分一般の建築物床面積100㎡以内ごとに区画耐火構造防火設備
内装仕上げ・下地:
準不燃材料
(床面から1.2m以上の範囲)
床面積200㎡ごとに区画特定防火設備
内装仕上げ・下地:
不燃材料
(床面から1.2m以上の範囲)
床面積500㎡ごとに区画特定防火設備
共同住宅の住戸部分床面積200㎡ごとに区画特定防火設備

 

高層区画の構成

高層区画は、壁・床・開口部で炎を遮るように構成する必要があり、それぞれに求められる基準は以下のとおり。

  • 壁:耐火構造
  • 床:耐火構造
  • 開口部:防火設備 or 特定防火設備(※11階以上の部分の内装や用途により異なる)

開口部の基準は、「防火区画の範囲」と同じで、内装仕上げや建物用途によって防火設備に要求される基準が変わります。

上記の 高層区画の基準 一覧表]でみるとわかりやすいかと。

 

『高層区画』にはスパンドレルが必要

高層区画となる床や壁が接する外壁は、幅90㎝の範囲を準耐火構造とするか、そで壁を50㎝以上突出させることにより、開口部から噴き出した炎の延焼を防ぐ措置が必要です。

高層区画_平面図

いわゆる建築基準法施行令112条のスパンドレルですね。

スパンドレル:開口部から開口部への延焼を防止するために、防火区画が接続する外壁や床に設けられる準耐火構造の壁・そで壁のこと。

スパンドレルとなる外壁の範囲に開口部を設置する場合は、防火設備(法第二条第九号の二ロ)としなければいけません。

 

『高層区画』の緩和

高層区画には、建築基準法における緩和の規定があります。

高層区画が緩和される建築物の部分は以下のとおり。

  • 階段室
  • 昇降機の昇降路(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)
  • 廊下など避難のための部分

 

『高層区画』を建築基準法で読む

高層区画の範囲や構造は、建築基準法施行令112条に定められています。

(防火区画)

第112条

中略

6 建築物の11階以上の部分で、各階の床面積の合計が100㎡を超えるものは、第1項の規定にかかわらず、床面積の合計100㎡以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。⇒高層区画の基準

7 前項の建築物の部分で、当該部分の壁(床面からの高さが1.2m以下の部分を除く。次項及び第13項第一号において同じ。)及び天井の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。以下この条において同じ。)の仕上げを準不燃材料でし、かつ、その下地を準不燃材料で造つたものは、特定防火設備以外の法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画する場合を除き、前項の規定にかかわらず、床面積の合計200㎡以内ごとに区画すれば足りる。⇒「内装仕上げ・下地:準不燃材料」における基準

8 第6項の建築物の部分で、当該部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造つたものは、特定防火設備以外の法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画する場合を除き、同項の規定にかかわらず、床面積の合計500㎡以内ごとに区画すれば足りる。⇒「内装仕上げ・下地:不燃材料」における基準

9 前3項の規定は、階段室の部分若しくは昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)、廊下その他避難の用に供する部分又は床面積の合計が200㎡以内の共同住宅の住戸で、耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備(第6項の規定により区画すべき建築物にあつては、法第2条第九号の二ロに規定する防火設備)で区画されたものについては、適用しない。⇒共同住宅の住戸および区画緩和の基準

 

まとめ

  • 高層区画とは、建築物の11階以上の部分に対して、一定の面積のごとに設ける防火区画のこと。
  • 高層区画は4種類ある防火区画のうちの1種。
  • 高層区画が必要となる建築物は、11階建て以上の建築物。
    • 区画が必要となる建築物の部分:11階以上の部分
  • 高層区画における防火区画の範囲は、建物の内装や用途によって異なる。
    • 高層区画の基準は一覧表でチェック
  • 高層区画は、壁・床・開口部で炎を遮るように構成すること。
    • 壁:耐火構造
    • 床:耐火構造
    • 開口部:防火設備 or 特定防火設備(※11階以上の部分の内装や用途により異なる)
  • 高層区画にはスパンドレルが必要。
  • 高層区画が緩和される建築物の部分は以下のとおり。
    • 階段室
    • 昇降機の昇降路(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)
    • 廊下など避難のための部分