- 耐火二層管(たいかにそうかん)って何?
- 防火区画の貫通部に設けるもの?
- 具体的な仕様や設計方法が知りたい。
こんな疑問や要望に答えます。
本記事では、建築設備の配管が防火区画を貫通するときに設ける「耐火二層管」について、わかりやすく解説。
防火区画となる床や壁を配管が貫通するときの処理方法が理解できます。
このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
耐火二層管とは
耐火二層管(たいかにそうかん)とは、内側に硬質塩化ビニル管を使用し、その外側を繊維モルタルで覆った二層構造の配管です。
✓ 耐火二層管の構成
- 外側:耐熱性に優れた材料でできた層
- 内側:流体やガスなどを運ぶための層
これにより、耐火性と耐久性が向上し、主に防火区画の貫通処理が必要な場所で使用されます。
高温にさらされた場合でも中を通る流体が安全に運べるため、火災時に重要な消防設備の配管システムを保護する役割も果たしますね。
防火区画貫通処理とは
耐火二層管は主に建築基準法における防火区画を配管が貫通する際に用いられます。
この防火区画を貫通する配管から炎が侵入するのを防ぐために「防火区画貫通処理」が必要となります。
詳しくは、防火区画貫通処理とは|給排水管・ダクト・電線管の構造・防火措置という記事をご確認ください。
耐火二層管の大臣認定番号とは
防火区画の貫通部には、建築基準法における基準を満たした「耐火二層管」として、国土交通大臣の認定を受けたものを使用しなければいけません。
耐火性能や安全性が確認された製品には「認定番号」が付けられます。
✓ 耐火二層管の大臣認定番号
- 防火区画となる壁を貫通する場合:PS060WL-◯◯◯◯(数字4桁)
- 防火区画となる床を貫通する場合:PS060FL-◯◯◯◯(数字4桁)
耐火二層管を使用する場合、確認申請図書には、大臣認定番号を調べて明記しましょう。
耐火二層管のメリット
耐火二層管を採用するメリットは以下のとおり。
耐火性能 | 外層の繊維モルタル管が高い耐火性を持ち、火災時に延焼を防ぐ。 |
耐食性 | 内層の硬質塩化ビニル管は酸やアルカリに強いため、腐食しにくい。 |
遮音性 | 水流音を効果的に遮断するため、静かな環境を保つことができる。 |
施工の容易さ | 軽量で運搬や組み立てが簡単なため、工期短縮やコストダウンが期待できる。 |
耐火二層管のデメリット
「耐火二層管」を「塩ビ管」と比較した際のデメリットは以下のとおり。
コストが高い | 一般的な塩ビ管よりも高価。 |
加工の難しさ | 塩ビ管よりも硬いため、曲げたり加工したりするのが難しい。 |
重量 | 塩ビ管よりも重いため、施工時に注意が必要。 |
施工時の注意点 | 接着時に被覆がずれやすく、しっかりと挿入できていないと漏水する。 |
耐衝撃性の弱さ | 耐火性に優れているが耐熱性と耐衝撃性を欠く。 |
まとめ
- 耐火二層管とは、内側に硬質塩化ビニル管を使用し、その外側を繊維モルタルで覆った二層構造の配管。
- 耐火二層管は、主に防火区画を配管が貫通する際に用いられる。
- 防火区画の貫通部には、国土交通大臣の認定を受けたものを使用すること。
- 耐火二層管の大臣認定番号
- 壁を貫通する場合:PS060WL-◯◯◯◯(数字4桁)
- 床を貫通する場合:PS060FL-◯◯◯◯(数字4桁)
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