竪穴区画とは?3分でわかる設計の基準

竪穴区画とは防火規定
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  • 『竪穴区画』ってなに?
  • 言葉を聞いたことはあるけど、詳しい基準がわからない。
  • ”竪穴区画が必要となる建築物”や、”区画の条件”が知りたい。

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、建築基準法における防火区画のひとつ、「竪穴区画」について解説。

以下の2つに当てはまる建築物は、竪穴区画の検討が必要になります。

  1. 主要構造部を準耐火構造(もしくは耐火構造)とした建築物
  2. 地階、または3階以上の階に居室があるもの

上記のような建物を計画していて「竪穴区画の制限がよくわからない」という方は、ぜひ目を通してみてください。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

1000件以上の設計相談を受けて得た知識をわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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『竪穴区画』とは

『竪穴区画(たてあなくかく)』とは、建築基準法の施行令112条10~14項に定められている防火区画の1種。

「施行令112条10~13項に定められた構造・規模の建築物」において、階段や吹き抜けなど、火災時の煙が階をまたいで拡がる部分に必要な壁・床・防火設備を「(通称:)竪穴区画」といいます。

防火区画とは…
建築基準法では、一定の規模や構造の建築物に「火災の延焼を防止する区画(=防火区画)」の設置を義務付けています。
防火区画は4種類に分類され、それぞれ面積区画・高層区画・竪穴区画・異種用途区画と呼ばれています。
防火区画まとめ|『面積・高層・竪穴・異種用途』4つの基準を徹底解説
防火区画について詳しく知りたい。 竪穴区画・異種用途区画など防火区画って何種類ある? それぞれの区画の基準について一覧表にまとめてほしい。 こんな疑問や要望に答えます。 本...

 

2019年(令和元年)の建築基準法改正で『竪穴区画』が3パターンに変化

2019年(令和元年)6月施行の法改正によって、竪穴区画に新しい基準が追加されました。

あくまでも追加なので、法改正前までの竪穴区画の基準は、そのまま残っています。

 

新たに『小規模な特殊建築物』に対する区画の基準が追加されたため、建物の用途・規模に応じて3つのパターンに分けて竪穴区画を考える必要があります。

  1. 『3階以上 or 地階に居室があり、準耐火構造 or 耐火構造の建築物』の竪穴区画(令112条10項)
  2. 小規模な『病院・診療所(就寝施設あり)・児童福祉施設等(就寝施設あり)』の竪穴区画(令112条11項)
  3. 小規模な『ホテル・共同住宅・(通所系)児童福祉施設』の竪穴区画(令112条12項)

この記事では、パターン①の『3階以上 or 地階に居室があり、準耐火構造の建築物』の竪穴区画についてのみ解説しています。

パターン②・③の竪穴区画は、【建築基準法改正】竪穴区画の新基準とは|『小規模な特殊建築物における区画』について解説という記事にまとめましたので、そちらをご確認ください。

 

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竪穴区画が必要となる建築物

竪穴区画はすべての建築物に必要となるわけではありません。

竪穴区画が必要となる建築物とは、以下の2つに当てはまるものです。

  1. 主要構造部準耐火構造(または耐火構造)とした建築物
  2. 地階、または3階以上の階に居室があるもの

ここからは、上記2つの基準について、”設計者が誤解しやすいポイント”を解説していきます。

 

「主要構造部を準耐火構造とした建築物」=「準耐火建築物」ではない

準耐火建築物は、4つに分類されます。

このうち、主要構造部が準耐火構造となっているのは「イ-1」「イ-2」のみ。

 

準耐火建築物「ロ-1」「ロ-2」は、正確に言うと「主要構造部を準耐火構造とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物」です。

よって、準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)は”主要構造部が準耐火構造ではない”ため、区画不要となるケースがあります。

「準耐火建築物だから竪穴区画が必要」と、誤った判断をしないように。

 

ただし、2019年(令和元年)の法改正によって、準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)といった主要構造部が準耐火構造でない場合でも、

  • 小規模な『ホテル・共同住宅・(通所系)児童福祉施設』の竪穴区画
  • 小規模な『病院・診療所(就寝施設あり)・児童福祉施設等(就寝施設あり)』の竪穴区画

が必要となるパターンが出てきました。

「ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、病院・診療所・児童福祉施設等」の用途を設計している方は要注意ですね。

 

3階建ての建築物でも、3階に居室が無ければ”竪穴区画“は不要

竪穴区画の対象となるのは、「地階、または3階以上の階に居室があるもの」です。

つまり、「地下のある建築物」「3階建ての建築物」でも、居室がなければ竪穴区画は不要となります。

これも建築基準法をよく読んでいないと間違いやすいポイントなので、法文を正しく読みましょう。

 

竪穴区画が必要な「吹き抜け部分」とは

竪穴区画が必要となる建築物の部分とは、建物内の以下の箇所です。

  • 吹抜け
  • 階段
  • 昇降機の昇降路
  • ダクトスペース

 

竪穴区画の構造とは

「3階以上 or 地階に居室があり、準耐火構造 or 耐火構造の建築物」の竪穴区画は、つぎの構造としなければなりません。

  • 床:準耐火構造(または耐火構造)
  • 壁:準耐火構造(または耐火構造)
  • 開口部:遮煙性能付きの防火設備(または特定防火設備)

「吹き抜け部分」へ「他の部分」から火災や煙が流れないように、準耐火構造の床・壁・防火設備(遮煙性能付き)で区画するわけですね。

 

主要構造部が耐火構造の場合は、竪穴区画も耐火構造とすること

”耐火建築物”の竪穴区画の壁・床は、「耐火構造」としてください。

防火区画は、主要構造部の一部とみなされるため、建物全体が耐火構造の建築物においては、防火区画も耐火構造にしなければなりません。

「防火区画を構成る床・壁」は、”主要構造部の一部”と覚えておきましょう。

 

遮煙性能付きの防火設備とは

「遮煙性能付きの防火設備」を細かくいうと、”建築基準法2条九号の二ロによる防火設備であり、遮煙性能を有するもの”です。

遮煙性能付きの防火設備には、「告示仕様」と「大臣認定仕様」という2種類の基準があり、どちらかを選択します。

  • 告示仕様の基準:
    • ”建設省告示1360号”による遮炎性能(20分間)を満たすこと
    • ”建設省告示2564号”による遮煙性能をもつこと
  • 大臣認定仕様の基準:
    • CAS認定を取得した建具であること

 

竪穴区画が免除・緩和される条件

以下のいずれかに当てはまる場合は、竪穴区画が免除されます。

  • 直接外気に開放された廊下・バルコニーに面する部分
  • 第112条第1項第1号定められた”建築物の用途上、竪穴区画ができない部分(劇場・映画館・集会場・体育館など)”
  • 上下階で一層のみに通じる吹き抜け部分
  • 階数が3以下で床面積が200㎡以内の住宅部分
  • 吹き抜け部分からのみ人が出入りできる公衆便所

 

直接外気に開放された廊下・バルコニーに面する部分

開放性の高い廊下・バルコニーに面する吹き抜けや階段は、竪穴区画が免除されています。

 

建築物の用途上、竪穴区画ができない部分(劇場・映画館・集会場・体育館など)

「床面から1.2m以上の壁・天井の仕上・下地を準不燃材料」とし、以下の用途にあてはまる場合は、竪穴区画が免除されます。

  • 建築基準法 施行令112条1項1号:
    劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場の客席、体育館、工場その他これらに類する用途の部分
  • 昭和44年3月3日 住指発26号:
    倉庫及び荷さばき施設
  • 昭和46年9月8日 住指発623号:
    卸売市場の部分のうち、卸売場、仲買売場等の売場、買荷の保管、積込等の荷捌場の用途部分
  • 昭和46年12月4日 住指発905号:
    ボーリング場、屋内プール、屋内スポーツ練習場などの主たる用途部分

 

上下階で一層のみに通じる吹き抜けの部分

令112条10項ただし書きにより、以下の両方に当てはまる部分は、竪穴区画が免除されます。

  • 上下階で1層のみに通じる吹き抜け部分
  • 壁・天井の仕上げが不燃材料、かつ、下地も不燃材料で造ったもの
(防火区画)

建築基準法施行令 第112条

1~9 (前略)

10 竪穴区画(中略)

ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分については、この限りでない。

一 避難階からその直上階又は直下階のみに通ずる吹抜きとなっている部分、階段の部分その他これらに類する部分でその壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ったもの

 

階数が3階以下で床面積が200㎡以内の住宅部分

令112条10項ただし書きによる規定で、以下のすべてに当てはまる部分は、竪穴区画が免除されます。

  • 階数:3以下
  • 延べ面積:200㎡以内
  • 用途:一戸建ての住宅、長屋、共同住宅の住戸(メゾネット形式)

建築基準法施行令 第112条

1~9 (前略)

10 竪穴区画(中略)

ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の部分については、この限りでない。

一 中略

二 階数が3以下で延べ面積が200㎡以内の一戸建ての住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸のうちその階数が3以下で、かつ、床面積の合計が200㎡以内であるものにおける吹抜きとなっている部分、階段の部分、昇降機の昇降路の部分その他これらに類する部分

 

防火区画を設計するために参考となる書籍3選

防火区画の設計において、参考になる書籍は以下の3冊。

  • 建築物の防火避難規定の解説
  • プロのための主要都市建築法規取扱基準
  • 建築申請memo

それぞれ書かれている内容が異なるので、3冊すべて購入しても、個別の場面で役立ちます。

 

建築物の防火避難規定の解説

防火区画が必要となる建築物を設計するのであれば、必須の書籍。

建築基準法には詳細が書かれていない法解釈があるため、建築物の防火避難規定の解説を読んでいなければ、確認申請がスムーズに進まないと思います。

 

プロのための主要都市建築法規取扱基準

建築基準法の取り扱いや法解釈は、各特定行政庁ごとにバラつきがあります。

プロのための 主要都市建築法規取扱基準は、さまざまな行政機関の建築基準法解釈が掲載されているため、設計に迷ったときにとても参考になる書籍です。

”ぎょうせい”が出版しており、確認検査機関の検査員も読んでいます。

 

建築申請memo

もはや説明不要ですね。確認申請に携わる設計者なら必ず常備しておきたい1冊。

とくに建築基準法令集を読みたくないという方は、最低でも建築申請memo 2021を読む習慣は身につけましょう。

 

まとめ

  • 竪穴区画とは、階段や吹き抜けなど、火災時の煙が階をまたいで拡がる部分に必要となる防火区画。
  • 竪穴区画は、3つのパターンがある。
    1. 『3階以上 or 地階に居室があり、準耐火構造 or 耐火構造の建築物』の竪穴区画
    2. 小規模な『病院・診療所(就寝施設あり)・児童福祉施設等(就寝施設あり)』の竪穴区画
    3. 小規模な『ホテル・共同住宅・(通所系)児童福祉施設』の竪穴区画
  • 本記事では、上記パターン①の竪穴区画について解説。
  • 竪穴区画が必要となる建築物は、以下の2つに当てはまるもの。
    1. 主要構造部を準耐火構造(または耐火構造)とした建築物
    2. 地階、または3階以上の階に居室があるもの
  • 竪穴区画が必要となる建築物の部分は、以下のとおり。
    • 吹抜け
    • 階段
    • 昇降機の昇降路
    • ダクトスペース
  • 「3階以上 or 地階に居室があり、準耐火構造 or 耐火構造の建築物」の竪穴区画の構造は、以下のとおり。
    • 床:準耐火構造(または耐火構造)
    • 壁:準耐火構造(または耐火構造)
    • 開口部:遮煙性能付きの防火設備(または特定防火設備)
  • 以下のいずれかに当てはまる場合は、竪穴区画が免除。
    • 直接外気に開放された廊下・バルコニーに面する部分
    • 第112条第1項第1号定められた”建築物の用途上、竪穴区画ができない部分(劇場・映画館・集会場・体育館など)”
    • 上下階で一層のみに通じる吹き抜け部分
    • 階数が3以下で床面積が200㎡以内の住宅部分
    • 吹き抜け部分からのみ人が出入りできる公衆便所

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