耐火構造とは|主要構造部の耐火被覆に関する基準【木造も設計可能】

耐火構造とは防火規定
  • 『耐火構造』って何?
  • 建築基準法における耐火構造の仕様が知りたい。
  • 木造でも耐火構造の設計は可能?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、建築基準法における耐火構造の設計基準を解説。

防火上の制限が厳しくなる特殊建築物や大規模建築物を設計するにあたって必須の知識です。

さらに、防火地域で3階建てを設計する場合など、建築する場所によって耐火構造としなければならないケースもあります。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識をわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

Sponsored Links

耐火構造とは

『耐火構造』とは、火災時に炎がおさまるまでの間、建物の倒壊・延焼を防ぐため「主要構造部(柱・梁・床・屋根・階段)」に耐火被覆をほどこした構造を意味します。

主要構造部に一定の耐火性能があることを示す建築基準の用語です。

耐火構造_主要構造部

耐火構造は、部位ごとに設計することが可能。

例えば、防火区画となる壁は「耐火構造」で設計し、外壁や階段などの部位は「準耐火構造」のようなケースも。

ただし、建築物を「耐火建築物」としたいのであれば、主要構造部をすべて『耐火構造』とする必要があります。

耐火建築物について詳しい設計基準が知りたい方は、『耐火建築物』とは|主要構造部と開口部の基準をわかりやすく図解という記事をご確認ください。

 

Sponsored Links

耐火構造の技術基準

耐火構造の基準は「〇時間のあいだ火災に耐えるか」というように、炎に耐えられる時間によって被覆の仕様(性能)が変わります。

「主要構造部の部位」と「最上階から数えた階数」に応じて、建築基準法に定められた耐火時間を一覧表にまとめると以下のとおり。

 

主要構造部ごとの階数に応じた耐火基準

最上階からの階数はり屋根階段
間仕切壁外壁
耐力壁非耐力壁耐力壁非耐力壁
延焼ライン内延焼ライン外
非損傷性1~4111110.50.5
5~1422222
15~33
遮熱性11110.531
遮炎性110.50.5

耐火構造_最上階からの階数

耐火構造の技術基準は、「地上からの階数」ではなく、「最上階からの階数」という点がポイント

 

吹き抜けがある建物の耐火構造の基準

耐火構造で要求される性能は、最上階からの階数で決まるため、吹き抜けがある場合の考え方は下図となります。

耐火構造_階数_吹き抜け

 

エキスパンションジョイントにより階数が異なる建物の耐火基準

エキスパンションジョイントにより、構造的に分離された建物の部分があるとき、高層階と低層階で耐火構造の基準を分けて考えることが可能。

この法解釈は、建築物の防火避難規定の解説という書籍に記載されており、全国的に共通の取り扱いです。

 

耐火構造は仕様規定か、大臣認定かどちらかを選択

主要構造部を耐火構造とするためには、大きく分けて、以下の2種類のいずれかを選ぶことになります。

  • 告示仕様:建築基準法における建設省告示1399号の仕様
  • 大臣認定仕様:耐火被覆の仕様ごとに、大臣の認定を受けているもの

 

耐火構造の告示仕様とは

耐火構造を告示仕様で設計する場合は、告示1399号に定められた耐火被覆のなかから選択することになります。

告示に書かれた材料と工法で仕上げなければならないため、設計の自由度は低い…。

しかし、限られた選択肢のなかから簡易に選べるというメリットもあるため、見た目やコストにこだわりが少ない建物であれば、告示仕様がおすすめです。

建設省告示第1399号

耐火構造の構造方法を定める件

建築基準法第2条第七号の規定に基づき、耐火構造の構造方法を次のように定める。

第1

壁の構造方法は、次に定めるものとする。この場合において、かぶり厚さ又は厚さは、それぞれモルタル、プラスターその他これらに類する仕上材料の厚さを含むものとする。

以下省略

 

耐火構造の大臣認定工法とは

耐火構造の大臣認定工法を採用する場合は、国土交通大臣の認定を受けた材料・工法から選択。

例えば、以下のような認定番号を取得した工法であれば、耐火構造とみなされます。

 

耐火構造の大臣認定番号の読み方

耐火構造_大臣認定

使用する建築材料や施工方法が細かく定められているので要注意。

認定を取得している建材メーカーのサイトから認定書をダウンロードし、内容をよく読んで設計しましょう。

正しい工法で造られていないと、耐火構造とはみなされず、法的な処罰を受けることも…。

 

木造で耐火構造を設計する方法

2017年から木造でも耐火構造を設計することが可能になりました。

確認検査機関の設計相談でも「木造で耐火構造は設計できますか?」という質問は多いです。

以前は、耐火構造といえば鉄骨造かRC造に限られていましたが、現在は木造耐火(構造)という選択肢もあり。

木造で設計する場合も、鉄骨造やRC造と同様に、以下のいずれかの仕様を選択します。

  • 告示仕様:建築基準法における建設省告示1399号の仕様
  • 大臣認定仕様:耐火被覆の仕様ごとに、大臣の認定を受けているもの

 

【木造の耐火構造】告示仕様の設計基準

木造での耐火構造は、告示1399号に定められた仕様により、石こうボードを厚く貼って成立させることが多いです。

建材メーカーである吉野石膏のホームページで、告示仕様を図解付きで描いてくれているので、興味のある方は確認してみてください。

 

【木造の耐火構造】大臣認定の設計基準

木造の耐火構造で大臣認定工法を採用する場合は、日本木造住宅産業協会が主催する講習を受けなければいけません。

建築確認においても、講習を受講したことを示す証明書や、標準仕様書の添付が求められます。

詳しくは、日本木造住宅産業協会のホームページをご確認ください。

 

耐火構造は準耐火構造・防火構造よりも性能が高い

主要構造部の性能を示す用語は3種類。

防火性能の高い順に並べると…

  1. 耐火構造
  2. 準耐火構造
  3. 防火構造

つまり、耐火構造は準耐火構造や防火構造を上回る性能を持つわけですね。

 

✔️ 耐火構造・準耐火構造・防火構造の関係性

耐火構造_準耐火構造・防火構造の関係性

例えば、建築基準法において準耐火構造としなければならない防火区画の壁に、耐火構造の仕様を使ってもOK。

 

確認申請では耐火構造を示す詳細図(耐火リスト)を添付

建築確認申請では、耐火構造の仕様を確認検査員に示すために、主要構造部ごとの構造詳細図(耐火リスト)の添付が必要。

耐火リストの図面イメージは、確認申請マニュアル コンプリート版という書籍で具体例が示されています。

耐火リストを作成したことがない方や、検査機関からの指摘を少なくしたい方は、確認申請マニュアルを一度読んでみてください。

 

耐火構造について建築基準法で読んでみる

耐火構造に関する建築基準法の定義は、法2条に書かれています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2020 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2020といった書籍で、図や表を見て理解するのがおすすめです。

(用語の定義)
第2条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

中略

七 耐火構造 壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。

耐火構造について、政令で定める技術的基準は、建築基準法施行令107条に掲載。

第4章 耐火構造、準耐火構造、防火構造、防火区画等

(耐火性能に関する技術的基準)

第107条 法第2条第七号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。

一 次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。

以下省略

 

まとめ

  • 耐火構造とは、建物の倒壊・延焼を防ぐため主要構造部に耐火被覆をほどこしたもの。
  • 耐火構造は、以下の2種類のいずれかを選択。
    1. 告示仕様:建築基準法における建設省告示1399号の仕様
    2. 大臣認定仕様:耐火被覆の仕様ごとに、大臣の認定を受けているもの
  • 2017年から木造でも耐火構造を設計することが可能になった。
  • 木造で大臣認定工法を使用する場合、日本木造住宅産業協会が主催する講習を受講。
  • 主要構造部の性能を示す用語は3種類。
    1. 耐火構造
    2. 準耐火構造
    3. 防火構造
  • 建築確認申請では、主要構造部ごとの構造詳細図(耐火リスト)の添付が必要。

 

人気記事 転職3回の一級建築士が語る。おすすめ転職サイト・転職エージェント

人気記事 一級建築士試験のおすすめ資格学校・アプリ【総合資格とスタディング】