『防火構造』とは|外壁・軒裏の防火性能について一級建築士が解説

防火構造とは防火規定
  • 『防火構造』って何?
  • 外壁や軒裏が防火構造とみなされる基準を知りたい。
  • 防火構造が必要となる建築物は?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、建築基準法における『防火構造』の定義について解説。

準防火地域で2階建ての木造建築物を設計する場合など、主要構造部の防火性能について知りたい建築士の方に役立つ情報です。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識をわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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『防火構造』とは

『防火構造』とは、火災による延焼を抑えるために、防火性能をもつ耐火被覆ひふくをほどこした構造です。

✔️ 防火構造の対象となる建築物の部分

  • 外壁
  • 軒裏

防火性能をざっくり言うと、「火災時の30分間、部材が炎に耐える性能」。

 

防火性能の基準【非損傷性・遮熱性】

防火性能は、以下の基準にもとづいて決められています。

  • 非損傷性
  • 遮熱しゃねつ
非遮熱性:火災時、構造に支障をきたす損傷(変形・溶融・破壊)を30分間起こさない性能。
遮熱性:加熱を受けてから30分間、可燃物の燃焼する温度を超えない性能。

 

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防火構造が必要となる建築物

すべての建築物に「防火構造」となる外壁や軒裏が必要となるわけではありません。

建築基準法において、防火構造が要求されるケースをまとめると以下のとおり。

該当する建築物該当する地域防火構造が必要な部分条項
木造建築物等(壁・柱・梁が木材など可燃物で造られたもの)法22条地域延焼ライン内にある外壁法23条
木造建築物等準防火地域延焼ライン内にある外壁・軒裏令136条の2
以下すべてに当てはまる建築物

  • 延べ面積50㎡
  • 平屋建て
  • 附属建築物
防火地域延焼ライン内にある外壁・軒裏国交省告示194号
準耐火建築物(ロ-2)延焼ライン内にある外壁令109条の3
防火上有効な塀等 延焼ライン内にある塀・袖壁

 

防火構造の仕様

外壁・軒裏を防火構造として設計する際は、下記のいずれかの仕様を選択します。

  • 告示仕様
  • 大臣認定仕様

 

防火構造の告示仕様【平12建告1359号】

防火構造の告示は、【平12建告1359号】に定められており、建築基準法で定められた耐火被覆の中から仕様を選択することになります。

大臣認定に比べて、使える材料が限られているため、設計の自由度は下がります…。

 

例えば、石膏ボードを用いた防火構造であれば以下のとおり。

 

防火構造と大臣認定【PC030〜の個別認定】

防火構造の大臣認定を採用する場合は、建材メーカーが取得している工法どおりに設計・施工する必要があります。

各工法ごとに大臣認定書が発行されており、大臣認定番号が割り振られています。

 

認定番号の読み方は下記のとおり。

防火構造_大臣認定

 

金属板(亜鉛鉄板)や石こうボードによる防火構造の大臣認定であれば、以下のような事例があります。

 

防火構造は耐火構造に包含される

防火構造は、耐火性能に関する3つの構造基準のなかで最も性能が低い仕様です。

 

耐火性能の高い順に並べると…

耐火構造_準耐火構造・防火構造の関係性

つまり、建築基準法の制限によって防火構造が要求される部分に、準耐火構造や耐火構造の仕様を使うのはOKということですね。

 

防火構造の定義を建築基準法で読む

防火構造は、建築基準法2条に定義されています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2020 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2020といった書籍で、図や表を見て理解するのがおすすめです。

八  防火構造

建築物の外壁又は軒裏の構造のうち、防火性能(建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁又は軒裏に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄網モルタル塗、しつくい塗その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。

防火性能の技術的基準は令108条に書かれています。

技術的基準は、告示や大臣認定工法を定めるときの基準。設計実務ではあまり読むことのない法文なので、興味がなければ読みとばしてください。

第108条 防火性能に関する技術的基準

法第2条第八号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。

一 耐力壁である外壁にあつては、これに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。

二 外壁及び軒裏にあつては、これらに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。

 

まとめ

  • 防火構造とは、火災による延焼を抑えるために、防火性能をもつ被覆をほどこした構造。
  • 主に防火構造の対象となる建築物の部分
    • 外壁
    • 軒裏
  • 建築基準法において防火構造が要求される事例は、本記事の一覧表をチェック。
  • 防火構造の設計では、下記のいずれかの仕様を選択。
    • 告示仕様
    • 大臣認定仕様
  • 告示仕様は【平12建告1359号】で定められた耐火被覆の中から選択。
  • 大臣認定仕様は、認定を取得した際の工法どおりに設計・施工。
  • 防火構造は、耐火性能に関する3つの構造基準のなかで、最も性能が低い。
    1. 耐火構造
    2. 準耐火構造
    3. 防火構造

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