異種用途区画とは?区画の壁と防火設備の基準を解説

異種用途区画とは防火規定
  • 異種用途区画ってなに?
  • 異種用途区画をしなければいけない建築物って、どんな用途?
  • 区画の壁、床、建具に必要な防火性能がわからない。

こんな疑問に答えます。

指定確認検査機関の検査員として、『異種用途区画』の法適合性を審査していた経験から、区画の基準をわかりやすく解説します。

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異種用途区画とは

異種用途区画とは、防火区画の一種で、建築基準法施行令11217項に定められています。

「異種用途区画」というのは通称で、建築基準法の本文にはでてきません。

建築物の一部が、建築基準法27条における一定の規模と用途に該当する場合、他の用途とのあいだに防火上有効な区画を設けなければならないという規定です。

”建築基準法27条における一定の規模と用途に該当する場合”とさらっと書きましたが、異種用途区画が必要となる条件はのちほど説明しますね

 

異種用途区画は2018年9月に一部法改正

法改正前は、建築基準法24条における「小規模な特殊建築物」と「その他の用途」とのあいだにも異種用途区画が必要でした。

しかし、2018年9月の建築基準法の改正によって、以下に記載する「小規模な特殊建築物」に対しては異種用途区画が不要となっています。

  • 学校、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、マーケット、公衆浴場
  • 自動車車庫で50㎡を超えるもの
  • 百貨店、共同住宅、寄宿舎、病院、倉庫で、階数2かつ200㎡を超えるもの

 

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異種用途区画が必要な建物用途とは?【区画が不要な用途もある】

ひとつの建物内に異なる用途が2つ以上あるとき、すべての建物で「異種用途区画」が必要というわけではありません。

異種用途区画が必要となるのは、法27条第1項、第2項、第3項のいずれかに該当する場合のみです。

 

異種用途区画が必要となる用途・規模をシンプルにまとめると…

  • 建築基準法【別表第一】の表にあてはまる用途・規模
  • 劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が1階にないもの
  • 別表第二(と)項第四号に規定する危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供するもの

 

”建築基準法【別表第一】の表にあてはまる用途・規模”とは、以下の表の黄色でマーキングした部分にあてはまる建築物を指します。

建築基準法_別表第1

”表に書かれた用途・規模に当てはまる建築物の部分”と、”それ以外の部分”との間を防火上有効な壁・床・開口部で区画するということですね。

たとえば、3階建ての共同住宅の一部に店舗がある場合、「3階建共同住宅」が上記の表の黄色マーキング部分に当てはまるので、店舗とのあいだに異種用途区画が必要となります。

 

異種用途区画が免除されるケース

日本建築行政会議が発行している建築物の防火避難規定の解説という書籍において、ひとつの建物内に異なる用途が複数ある場合でも、以下の要件にあてはまれば区画不要とされています。

 

  • 管理者が同一であること。
  • 利用者が一体施設として利用するものであること。
  • 利用時間がほぼ同一であること。
  • 自動車車庫、倉庫等以外の用途であること。

 

ただし、この緩和を適用するにあたって、「利用時間が同一であること」という基準は設計図面だけでは判断できません。

確認申請を提出する際は、確認検査機関と前もって協議をしておきましょう。

 

異種用途区画の壁と床に必要な構造とは

異種用途区画を構成する壁と床は、1時間準耐火基準に適合する準耐火構造としなければいけません。

1時間準耐火基準とは、火災がおきてから1時間、壁・柱・床などが倒壊したり、他の建築物に延焼したりしない性能をもっていることをいいます。

 

”1時間準耐火基準に適合する準耐火構造”は、告示仕様か大臣認定仕様のいずれかを選択することになります。

  1. 告示仕様:建築基準法における国土交通省告示第195号に適合すること
  2. 大臣認定仕様:耐火被覆の仕様ごとに、大臣の認定を受けているもの

 

1時間準耐火構造について詳しく知りたい方は、準耐火建築物(イ-1)とは?3分でわかる設計の基準という記事をご確認ください。

準耐火建築物(イ-1)とは|3分でわかる設計基準【木三共に必須】
※令和元年の建築基準法改正にともない、記事を加筆・修正しました。 『準耐火建築物(イ-1)』って何? 木造3階建て共同住宅(木三共)の設計に必要? 延焼ライン内の窓には防火設備がいる? ...

 

異種用途区画に必要な防火設備とは

異種用途区画となる壁に開口部を設ける場合、設置する建具を特定防火設備(遮煙性能付き)とする必要があります。

特定防火設備とは、通常の火災による火熱に対して、1時間火を通さない性能を持つ防火設備です。

たとえば、厚さ1.5mm以上の鉄製防火ドアや防火ダンパーが代表的な例ですね。

 

特定防火設備を設計するときは、告示仕様か大臣認定仕様のいずれかを選択することになります。

  1. 告示仕様:建設省告示第 1369 号(遮炎性能)と告示第2564号(遮煙性能)に適合すること
  2. 大臣認定仕様:特定防火設備として大臣認定(CAS)を取得しているもの

 

異種用途区画にスパンドレルの設置は不要

異種用途区画にスパンドレル(令112条15項)は不要です。

スパンドレルとは、防火区画となる壁・床と接する外壁を90㎝以上準耐火構造にすることによって、「区画部分」から「その他の部分」への延焼を防止する規定です。

ちなみに「スパンドレル」という用語は通称であり、建築基準法の本文には書かれていません。

 

建築基準法施行令112条15項にスパンドレルの規定があり、面積区画と竪穴区画には必要とされていますが、異種用途区画については記載がありません。

建築基準法施行令をよく読めば、不要と判断できますね。

 

異種用途区画を設計するときに必ず読むべき書籍

防火避難規定の解説

異種用途区画が不要となる場合の要件など、建築基準法の本文には書かれていない取り扱いが多く掲載されています。

防火区画が必要な建築物を設計する場合は必須と断言できます。

基本建築関係法令集 法令編

この記事で解説した内容を建築基準法の本文と照らし合わせることで、法律知識が身に付きます。

建築基準法の本質を理解しなければ、設計をするときに応用が効きません。

基本建築関係法令集 告示編

1時間準耐火構造の告示195号は”法令編”には載っておらず、”告示編”にしか掲載されていません。

 

まとめ

  • 異種用途区画の規定は、2018年9月に一部改正されている
  • 異種用途区画の定義を理解しましょう
  • 異種用途区画が必要となる建物規模・用途を理解しましょう
  • 区画を構成する壁・床・防火設備の構造を理解しましょう