スパンドレルとは|防火区画に接する外壁の構造【外部延焼防止帯】

スパンドレル防火規定
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  • 防火区画における『スパンドレル』って何?
  • どんな建築物にスパンドレルが必要?
  • 外壁にスパンドレルを設けるときの構造が知りたい。

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、防火区画に接する外壁の基準、『スパンドレル』について解説。

建築物の天井材で、スパンドレルという名称の金属化粧板もありますが、今回の記事とは無関係なのでご注意願います。

スパンドレルは防火区画に面する外壁の規定。竪穴区画や面積区画を計画する設計者に役立つ情報です。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。

住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識をわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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スパンドレルとは|防火区画に接する外壁の設計基準

『スパンドレル』とは防火区画に接する外壁で、区画の内側から外側へ、外気を介した炎の回り込みを防ぐ部位のことです。

日本語でいえば、外部延焼防止帯(がいぶえんしょうぼうしたい)。

スパンドレル

ただし、建築基準法に「スパンドレル」という用語は出てきません。

建築実務では「スパンドレル=防火区画に接する外壁への規制全般」を示すイメージかと。

 

ちなみに…、スパンドレルという名称は、SPANDREL WALL(腰壁)が由来。

防火区画となる床に腰壁(=スパンドレル)を設けることで、外部に噴き出した炎が上下階へ拡がることを防止するためですね。

スパンドレル_上下階

 

例えば、間仕切り壁によって建物の一部を防火区画(面積区画)するとしましょう。

防火区画の壁に接する外壁面がガラスカーテンウォールだと、せっかく区画した炎が屋外に噴出し、外部を回り込んで隣の部屋に到達してしまいます。

上記のように、防火区画とつながるカーテンウォールにはスパンドレルや袖壁といった、外気を介した延焼を遮る構造が必要とされています。

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スパンドレルが必要となる建築物と設置位置

下記の防火区画を設けた建築物は、スパンドレルが必要となります。

防火区画のなかでも異種用途区画は、スパンドレルの対象外です。

 

✔️ スパンドレルの設置位置

  • 防火区画の壁が接する外壁
  • 防火区画の床が接する外壁

つまり、防火区画の性能を保つために定められた法律というわけですね。

 

スパンドレルの構造

防火区画が外壁と接する部分は準耐火構造(または耐火構造)とし、以下のいずれかを設けます。

  • 幅90㎝以上の外壁
  • 外壁から50㎝以上突出した庇、バルコニー
  • 外壁から50㎝以上突出したそで

準耐火構造とは、いわゆる45分間の準耐火性能をもつ主要構造部のこと。

準耐火構造の定義は、『準耐火構造』とは|主要構造部における準耐火性能を解説という記事を参考にしてください。

 

幅90㎝以上の外壁【図解】

スパンドレル_平面図

 

外壁から50㎝以上突出した庇・バルコニー【図解】

スパンドレル_庇

 

外壁から50㎝以上突出した袖壁【図解】

スパンドレル_袖壁

 

スパンドレルに開口部を設けるときの制限

防火区画に接する幅90㎝の外壁面(スパンドレル)に、窓などの開口部を設ける場合は、防火設備の設置が必要となります。

スパンドレル_開口部_防火設備

防火設備は、両面とも20分のあいだ炎を遮る性能を持つもので、以下のいずれかを選択。

  • 告示仕様:告示1360号の基準を満たすもの
  • 大臣認定仕様:EB-####、またはEA-####

防火設備の告示や大臣認定については、『防火設備』とは|告示仕様と大臣認定品の違いも解説【一覧表あり】の記事をご確認ください。

 

スパンドレルの換気口にはFDの設置が必要

スパンドレルの開口部にかかる制限は、窓だけではなく、空調設備の換気口にも適用されます。

つまり、換気口には防火設備が必要となり、FD(防火ダンパー)の設置が求められます。

 

建築基準法でスパンドレルの規定を読む

スパンドレルは、建築基準法施行令112条16項による規制です。

(防火区画)

第112条

16 第1項若しくは第4項から第6項までの規定による1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁(第4項に規定する防火上主要な間仕切壁を除く。)若しくは特定防火設備、第7項の規定による耐火構造の床若しくは壁若しくは法第2条第九号の二ロに規定する防火設備又は第11項の規定による準耐火構造の床若しくは壁若しくは同号ロに規定する防火設備に接する外壁については、当該外壁のうちこれらに接する部分を含み幅90㎝以上の部分を準耐火構造としなければならない。ただし、外壁面から50㎝以上突出した準耐火構造のひさし、床、袖壁その他これらに類するもので防火上有効に遮られている場合においては、この限りでない。

また、スパンドレル部分に開口部を設ける際の基準も令112条17項に記載されています。

17 前項の規定によって準耐火構造としなければならない部分に開口部がある場合においては、その開口部に法第2条第九号の二ロに規定する防火設備を設けなければならない。

建築基準法に書かれた文章だけでは難解なので、図解で理解したい方は、建築申請memo 2021最新改訂版 確認申請[面積・高さ]算定ガイドという書籍をおすすめします。

 

まとめ

  • スパンドレルとは防火区画に接する外壁で、外気を介した炎の回り込みを防ぐ部位のこと。
    • 建築基準法に「スパンドレル」という用語は出てこない。
    • 防火区画に接するガラスカーテンウォールは、スパンドレルの検討が重要。
  • 下記の防火区画を設けた建築物にスパンドレルが必要。
    • 面積区画
    • 高層区画
    • 竪穴区画
  • 異種用途区画は、スパンドレルの対象外。
  • スパンドレルの設置位置
    • 防火区画の壁が接する外壁
    • 防火区画の床が接する外壁
  • スパンドレルは準耐火構造とし、以下のいずれかを設けます。
    • 幅90㎝以上の外壁
    • 外壁から50㎝以上突出した庇、バルコニー
    • 外壁から50㎝以上突出した袖壁
  • スパンドレルに窓などの開口部を設ける場合は、防火設備を設置。
    • 換気口も防火設備が必要で、FD(防火ダンパー)の設置が求められる。

 

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