【建築基準法改正】竪穴区画の新基準『小規模な特殊建築物の区画』とは

建築基準法改正
  • 建築基準法の改正で、竪穴区画の基準も見直された?
  • 小規模な特殊建築物にかかる竪穴区画って何?
  • 新しい竪穴区画に必要な壁、開口部の性能は?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、建築基準法の改正(2019年6月25日施行)によって基準が追加された『小規模な特殊建築物竪穴区画』について解説。

階数3以上の特殊建築物を計画するときに必須となる知識なので、この機会に理解しておきましょう。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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【法改正】新基準『小規模な特殊建築物の竪穴区画』を解説

2019年6月25日施行の建築基準法改正によって、竪穴区画(令112条)に新しい基準が追加されています。

おおまかに言うと、以下のとおり。

  • 新基準①:下記に当てはまる建築物は、間仕切壁 or 戸(遮煙性能)で竪穴部分を区画しなければならない。
    •  用途:ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、通所系の児童福祉施設
    • 3階建て
    • 床面積200㎡未満
    • 準耐火構造(・耐火構造)以外の建築物
  • 新基準②:”3階が病院、診療所(就寝施設あり)、児童福祉施設等(就寝施設あり)の用途”で床面積200㎡未満の”準耐火構造(・耐火構造)以外の建築物”は、間仕切壁 or 以下の防火設備で竪穴部分を区画しなければならない。
    • スプリンクラー等が設けられた建築物 : 防火設備(10分間遮炎性能・遮煙性能)
    • スプリンクラー等がない建築物 : 法第2条第9号の2ロに規定する防火設備(20分間遮炎性能・遮煙性能)

 

出典:建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について

ここからは、それぞれの基準を深堀りしていきます。

 

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新基準①:小規模な『ホテル(旅館)・下宿・共同住宅・寄宿舎・通所系の児童福祉施設』における竪穴区画

3階建て・床面積200㎡未満の『ホテル(旅館)、下宿、共同住宅、寄宿舎、通所系の児童福祉施設』において耐火建築物としない場合は階段や吹き抜けなどに”間仕切壁” or ”戸(遮煙性能)”による区画が必要となりました。

 

竪穴区画となる『間仕切壁』や『戸』に必要な防火性能とは

”小規模な特殊建築物の竪穴区画”は、これまでもあった準耐火構造の壁・床、防火設備といった高い防火性能は不要。

一般的な間仕切壁や戸でよいとされています。

具体的な例としては、以下のとおり。

 

区画の『間仕切壁』として認められるもの

  • 両面に厚さ9.5㎜以上の石こうボード張り

 

区画の『戸』として下記すべてに当てはまるもの

  • 構造:フラッシュ戸など
  • 遮煙性能を有するもの(建設省告示2563号 or 大臣認定)
  • 常時閉鎖または、煙感知器による自動閉鎖

戸にすき間がなく、煙を遮る構造(遮煙性能)が求められるという点が要注意ですね。

 

竪穴区画となる『間仕切壁』や『戸』として認められないもの

「ふつうの間仕切壁や戸であれば区画として認められる」と言いましたが、あまりにも防火性能の低い仕様はNGとされています。

 

区画の『間仕切壁』のNG例:

  • 厚さ3㎜程度の合板などで造られた壁

 

区画の『戸』のNG例:

  • 普通板ガラスの扉
  • ふすまや障子

上記の例を見るとわかるように、火災が簡単に貫通するおそれのある『間仕切壁』や『戸』は不可ということ。

 

新基準②:小規模な『病院・診療所(就寝施設あり)・児童福祉施設等(就寝施設あり)』における竪穴区画

小規模な『病院、診療所(就寝施設あり)、児童福祉施設等(就寝施設あり)』は、避難に時間がかかる用途のため、上記の共同住宅などの用途に比べて厳しい基準が定められています。

 

まず、竪穴区画となる部分には、間仕切壁の設置を義務づけています。

つまり居室と一体となった階段や吹き抜けはNG。

 

さらに、区画の開口部は防火設備が必要ですが、スプリンクラー設備の有無によって、2つの基準があります。

区画の開口部①:スプリンクラー設備あり

  • 防火設備(10分間遮炎性能)の設置

区画の開口部②:スプリンクラー設備なし

  • 防火設備(20分間遮炎性能)の設置

ちなみに、ここで言うスプリンクラー設備とは、「水道連結型スプリンクラー設備」を想定。

 

法改正後の『竪穴区画』を建築基準法で読んでみる

小規模な『病院、診療所(就寝施設あり)、児童福祉施設等(就寝施設あり)』の竪穴区画は、令112条11項に定められています。

(防火区画)

令112条

12 3階を病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。次項において同じ。)又は児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものに限る。同項において同じ。)の用途に供する建築物のうち階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(前項に規定する建築物を除く。)の竪穴部分については、当該竪穴部分以外の部分と間仕切壁又は法第2条第9号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。

ただし、居室、倉庫その他これらに類する部分にスプリンクラー設備その他これに類するものを設けた建築物の竪穴部分については、当該防火設備に代えて、10分間防火設備(第109条に規定する防火設備であつて、これに通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後10分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。第18項において同じ。)で区画することができる。

 

小規模な『ホテル(旅館)、下宿、共同住宅、寄宿舎、通所系の児童福祉施設』の竪穴区画は、令112条13項

12 3階を法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途(病院、診療所又は児童福祉施設等を除く。)に供する建築物のうち階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(第10項に規定する建築物を除く。)の竪穴部分については、当該竪穴部分以外の部分と間仕切壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)で区画しなければならない。竪穴部分及びこれに接する他の竪穴部分(いずれも第1項第一号に該当する建築物の部分又は階段室の部分等であるものに限る。)が次に掲げる基準に適合する場合においては、これらの竪穴部分を一の竪穴部分とみなして、前3項の規定を適用する。

一 当該竪穴部分及び他の竪穴部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げが準不燃材料でされ、かつ、その下地が準不燃材料で造られたものであること。

二 当該竪穴部分と当該他の竪穴部分とが用途上区画することができないものであること

建築基準法を読むのが苦手という方は、建築法規PRO2020 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2020といった書籍で、図解や表を見て理解しておきましょう。

 

国交省のWebサイトで法改正の情報をチェック

法改正により、建築基準法27条が見直されたことで、3階建て200㎡未満の特殊建築物の一部については、耐火建築物等とする必要がなくなりました。

ただ、小規模な特殊建築物であっても、就寝用途のある場合や、自力で避難することが難しい高齢者等が入所する施設の場合、階段部分を火災や煙から保護しなければ、逃げ遅れる危険性が高まってしまう…。

そこで、竪穴区画の基準の改正に至ったわけですね。

 

このブログでざっくりした全体像をつかんでおいて、国土交通省のWebサイトにアップされた法文を確認するという流れが重要。

国交省の法改正情報のリンクを貼っておきますので、時間を見つけて読んでおき、確信を持って設計できるようにしておきましょう。

建築:建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

 

まとめ

  • 2019年6月25日施行の建築基準法改正で、竪穴区画(令112条)に新基準が追加
  • 新基準①:下記に当てはまる建築物は、間仕切壁 or 戸(遮煙性能)で竪穴部分を区画しなければならない。
    •  用途:ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、通所系の児童福祉施設
    • 3階建て
    • 床面積200㎡未満
    • 準耐火構造(・耐火構造)以外の建築物
  • 新基準②:3階が病院・診療所(就寝施設あり)・児童福祉施設等(就寝施設あり)の用途で床面積200㎡未満の建物は、間仕切壁 or 以下の防火設備で竪穴部分を区画しなければならない。
    • スプリンクラー等が設けられた建築物 : 防火設備(10分間遮炎性能・遮煙性能)
    • スプリンクラー等がない建築物 : 法第2条第9号の2ロに規定する防火設備(20分間遮炎性能・遮煙性能)

 

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