『内装制限』とは|建築基準法をわかりやすく解説【緩和条件も紹介】

内装制限防火規定
  • 「内装制限」って、どういう意味?
  • キッチンや車庫の壁・天井は、仕上げ材に規制がかかる?
  • 内装制限を緩和する方法があれば教えてほしい。

こんな疑問に答えます。

本記事では、建築基準法における『内装制限』について解説。

戸建て住宅から特殊建築物まで、幅広い用途の設計において、欠かすことのできない知識です。

例えば、

  • ガスコンロを使用する台所
  • 住宅のインナーガレージ
  • 3階建ての床面積500㎡を超える建築物…など

内装制限が適用される建物は、多岐にわたるので、インテリア計画へ取り組む前に目を通してください。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

1000件以上の設計相談を受けて得た知識をわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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『内装制限』とは【壁・天井仕上げ材料の制限】

建築基準法における『内装制限』とは、壁・天井の仕上げを燃えにくい材料にすることで、火災の拡大や煙の発生を遅らせるための規制。

炎が急拡大して、避難を妨げることがないように、室内の仕上げに準不燃材料(または難燃材料)の使用が義務付けられています。

ちなみに、「床」は制限の対象外。

炎は上に向かって吹き上がる性質を持つからですね。

また、内装制限のなかに「建具」は含まれません。

建具に防火性能が要求されるのは、主に防火区画の制限です。

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内装制限の対象となる建築物【一覧表】

内装制限の対象となる建築物を一覧表にまとめると、下記のとおり。

構造・規模・内装⇨

⇩建築物の用途

耐火建築物、準耐火建築物イ-1準耐火建築物イ-2、ロ-1、ロ-2その他の建築物壁・天井仕上げ材料の性能
1劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場客席≧400㎡客席≧100㎡客席≧100㎡居室:難燃材料

通路・階段:準不燃材料

2病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む)3階以上の合計≧300㎡2階部分≧300㎡床面積≧200㎡居室:難燃材料

通路・階段:準不燃材料

3飲食店、物品販売業を営む店舗、百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店3階以上の合計≧1000㎡2階部分≧500㎡床面積≧200㎡居室:難燃材料

通路・階段:準不燃材料

4自動車車庫、自動車修理工場すべて適用室・車路:準不燃材料
5地階にある上記①~③の用途部分すべて適用居室、通路・階段:準不燃材料
6大規模建築物
  • 階数≧3で、延べ面積>500㎡
  • 階数=2で、延べ面積>1000㎡
  • 階数=1で、延べ面積>3000㎡
居室:難燃材料

通路・階段:準不燃材料

7住宅のキッチン階数≧2の建築物(最上階のキッチンは除く)準不燃材料
8住宅以外の調理室、ボイラー室などすべて適用準不燃材料
9内装制限における無窓居室床面積>50㎡居室、通路・階段:準不燃材料
10温湿度調整を要する居室など(法28条1項ただし書き)すべて適用居室、通路・階段:準不燃材料

不燃材料・準不燃材料・難燃材料の区別がわからない場合や、具体的にどのような仕様を選択すべきか知りたい方は、難燃・準不燃・不燃材料まとめ【告示仕様・大臣認定を一覧表で整理】という記事をご確認ください。

難燃・準不燃・不燃材料まとめ【告示仕様・大臣認定を一覧表で整理】
建材の防火性能を示す基準は何種類ある? 不燃材料・準不燃材料・難燃材料の区別が知りたい。 大臣認定NM、QM、NEなどの違いを一覧にまとめてほしい。 こんな疑問に答えます。 ...

 

上記の一覧表において、内装制限の対象となる建物は、大きく4つに分類されています。

  1. 特殊建築物
  2. 大規模建築物
  3. 火気使用室
  4. 内装制限における無窓居室

ここからは、各種別ごとの設計基準や緩和方法について詳しく解説していきます。

 

内装制限の対象となる「特殊建築物」

特殊建築物すべてが内装制限の対象となるわけではありません。

建物用途や規模によって、内装制限の要否は決まります。

 

内装制限が必要な特殊建築物(※上記の一覧表より抜粋)

構造・規模・内装⇨

⇩建築物の用途

耐火建築物、準耐火建築物イ-1準耐火建築物イ-2、ロ-1、ロ-2その他の建築物壁・天井仕上げ材料の性能
1劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場客席≧400㎡客席≧100㎡客席≧100㎡居室:難燃材料

通路・階段:準不燃材料

2病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む)3階以上の合計≧300㎡2階部分≧300㎡床面積≧200㎡居室:難燃材料

通路・階段:準不燃材料

3飲食店、物品販売業を営む店舗、百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店3階以上の合計≧1000㎡2階部分≧500㎡床面積≧200㎡居室:難燃材料

通路・階段:準不燃材料

4自動車車庫、自動車修理工場すべて適用室・車路:準不燃材料
5地階にある上記①~③の用途部分すべて適用居室、通路・階段:準不燃材料

 

【一覧表①・②・③の特殊建築物】内装制限の範囲

一覧表①・②・③の特殊建築物は、以下の壁・天井に内装制限がかかります。

  • 居室
    • 壁・天井の仕上げ:難燃材料
      • 3階以上に居室がある場合は、準不燃材料
    • 1.2m以下の「腰壁」は免除
  • 通路・階段など
    • 壁・天井の仕上げ:準不燃材料

 

【自動車車庫・修理工場】内装制限の範囲

自動車車庫および自動車修理工場内の壁・天井に内装制限が適用されます。

  • 壁の仕上げ:準不燃材料
  • 天井の仕上げ:準不燃材料

建築物の一部にある自動車車庫も含まれます。

つまり、住宅に付属するガレージも内装制限の対象となりますね。

 

【特殊建築物の地階】内装制限の範囲

地階で、特殊建築物(※1)として使用する部分の壁・天井に内装制限がかかります。

  • 壁の仕上げ:準不燃材料
  • 天井の仕上げ:準不燃材料

※1:地下室の内装制限がかかる特殊建築物

  • 劇場、映画館、集会場など
  • 病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設など
  • 飲食店、物品販売業を営む店舗など

 

 

内装制限の対象となる「大規模建築物」

建築物の階数・床面積が以下のいずれかに当てはまる「大規模建築物」は、内装制限の対象となります。

  • 階数3以上で、延べ面積500㎡を超える建築物
  • 階数2で、延べ面積1000㎡を超える建築物
  • 階数1で、延べ面積が3000㎡を超える建築物

 

【大規模建築物】内装制限の範囲

「大規模建築物」は、以下の部分の壁・天井に内装制限がかかります。

  • 居室
    • 壁・天井の仕上げ:難燃材料
    • 1.2m以下の「腰壁」は免除
  • 通路・階段など
    • 壁・天井の仕上げ:準不燃材料

 

【大規模建築物】内装制限の緩和

以下のいずれかに当てはまる場合は、内装の制限が免除されます。

  • 学校等の用途に該当するもの
  • 居室で以下のいずれかに当てはまるもの
    • 床面積100㎡以内ごとに準耐火構造の床・壁、または防火設備(法2条九号の二ロ)で令112条19項二号に規定する構造で区画、かつ、法別表第一(い)欄の用途に該当しない居室で、主要構造部を耐火構造とした建築物
    • 法2条九号の三イに該当する建築物で、高さが31m以下の部分にあるもの
  • 同表(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物の高さ31m以下の部分

 

内装制限の対象となる「火気使用室(キッチン・厨房など)」

キッチン

ガスコンロを設置したキッチンや厨房など、火を使用する部屋は、内装仕上げが制限されます。

 

✔️ 内装制限が必要となる火気使用室

  • 住宅、および併用住宅の調理室・浴室
  • 階数≧2で、最上階にある調理室等は免除
  • 住宅以外のボイラー室等

戸建て住宅のキッチンも対象となるので、ガスコンロを設置する際は注意しましょう。

ちなみに、IHコンロであれば、内装制限は免除。

木材を見せる仕上げにしたい等、デザインの幅を広げたいときは、IHコンロを採用すればOKです。

 

【火気使用室】内装制限の範囲

火気使用室は、以下の部分に内装制限がかかります。

  • 壁の仕上げ:準不燃材料
  • 天井の仕上げ:準不燃材料

 

【戸建て住宅のキッチン限定】内装制限の緩和

戸建て住宅のキッチンは、建築基準法に定められた条件を満たせば、壁・天井の仕上げに木材等を使用することが可能です。

 

✔️ 緩和が適用できる建築物

一戸建ての住宅

ただし、以下に当てはまる場合は緩和不可

  • 内装制限における無窓居室
  • 兼用住宅で以下に当てはまるもの
    • 住宅以外の床面積>延面積×1/2
    • 住宅以外の床面積>50㎡

 

✔️ 緩和の適用条件

建築基準法の告示225号の条件を満たすもの

国土交通省 告示第225号

建築基準法施行令第129条第1項第二号ロの規定に基づき、準不燃材料でした内装の仕上げに準ずる仕上げを次のように定める。

建築基準法施行令第129条第1項第二号ロに規定する準不燃材料でした内装の仕上げに準ずる材料の組合せは、一戸建ての住宅(令第128条の3の2に規定する居室を有するもの及び住宅以外の用途を兼ねるもの(住宅以外の用途に供する部分の床面積の合計が延べ面積の1/2を超えるもの又は50㎡を超えるものに限る。)を除く。)にあっては、次の各号に掲げる室の種類に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。

以下省略

告示225号は、非常にわかりづらく、法文を読むだけでは理解が難しいと思います。だから、あえて全文は掲載しません。

下記のいずれかの書籍で、図解を見ながら理解を深めるのがおすすめです。

僕自身、図解を見るまでは、告示の内容が把握できませんでした…。

 

内装制限の対象となる「無窓居室(むそうきょしつ)」

「内装制限における無窓居室」は、以下の2つの基準に該当する居室です。

  • 床面積>50㎡
  • 天井から80㎝以内にある開口部の面積<居室面積×1/50
    • 天井高さ6mを超える室は免除

上記の「無窓居室」に当てはまると、壁・天井の仕上げが制限されます。

  • 壁の仕上げ:準不燃材料
  • 天井の仕上げ:準不燃材料

 

ちなみに、建築基準法において「無窓居室」は4種類あります。

  1. 採光無窓
  2. 換気無窓
  3. 排煙無窓
  4. 避難無窓

内装仕上げが制限されるのは、いわゆる排煙無窓のケース。

詳しくは、無窓居室とは?採光・換気・排煙・避難の4種類を整理【一覧表あり】という記事をご確認ください。

無窓居室とは?採光・換気・排煙・避難の4種類を整理【一覧表あり】
『無窓居室(むそうきょしつ)』ってなに? 聞いたことはあるけど、無窓居室の意味がわからない。 無窓居室って何種類あるの?整理しきれない。 こんな悩みに答えます。 本記事では、建築基...

 

内装制限について建築基準法で読む

内装制限は、建築基準法の”第5章の2”に書かれています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2021 図解建築申請法規マニュアルのような書籍で、図や表を見て理解しましょう。

第5章の二 特殊建築物等の内装

(制限を受ける窓その他の開口部を有しない居室)

第128条の3の2

法第35条の2(法第87条第3項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号のいずれかに該当するもの(天井の高さが6mを超えるものを除く。)とする。

一 床面積が50㎡を超える居室で窓その他の開口部の開放できる部分(天井又は天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の1/50未満のもの

二 法第28条第1項ただし書に規定する温湿度調整を必要とする作業を行う作業室その他用途上やむを得ない居室で同項本文の規定に適合しないもの

 

(制限を受けない特殊建築物等)

第128条の4

法第35条の二の規定により政令で定める特殊建築物は、次に掲げるもの以外のものとする。

以下省略

 

まとめ

  • 内装制限では、室内の壁・天井に準不燃材料(または難燃材料)の使用が義務づけられる。
    • 「床」「建具」は制限の対象外。
  • ”内装制限の対象となる建築物”は、一覧表でチェック。
  • 一部の特殊建築物は、以下の壁・天井に内装制限がかかる。
    • 居室:難燃材料
      • 3階以上の居室:準不燃材料
    • 通路・階段など:準不燃材料
  • 自動車車庫・自動車修理工場は、内装制限の対象。
    • 壁・天井の仕上げ:準不燃材料
  • 地階のある一部の特殊建築物は、内装制限の対象。
    • 壁・天井の仕上げ:準不燃材料
  • 以下の「大規模建築物」は、内装制限の対象。
    • 階数3以上で、延べ面積500㎡を超える建築物
    • 階数2で、延べ面積1000㎡を超える建築物
    • 階数1で、延べ面積が3000㎡を超える建築物
  • 「大規模建築物」は、以下の壁・天井に内装制限がかかる。
    • 居室:難燃材料
    • 通路・階段など:準不燃材料
  • 火気使用室は、内装制限の対象。
    • 壁・天井の仕上げ:準不燃材料
  • 「内装制限における無窓居室」は、以下の2つの基準に該当する居室。
    • 床面積>50㎡
    • 天井から80㎝以内にある開口部の面積<居室面積×1/50
  • 上記の「無窓居室」に当てはまると、内装制限の対象。
    • 壁・天井の仕上げ:準不燃材料

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