無窓居室とは|採光・換気・排煙・避難の4種類を整理【一覧表あり】

建築基準法まとめ

※令和7年11月の建築基準法改正に伴い、記事を加筆・修正しました。

  • 『無窓居室(むそうきょしつ)』ってなに?
  • 聞いたことはあるけど、意味がわからない。
  • 無窓居室って何種類あるの?整理しきれない。

こんな悩みに答えます。

 

本記事では、建築基準法における『無窓居室』について、一覧表を用いてわかりやすく解説。

「通称:無窓居室」は、建築基準法において重要な意味を持ち、特殊建築物などを設計するのであれば必須の知識といえます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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無窓居室とは

『無窓居室むそうきょしつ)』とは、「建築基準法における一定の要件を満たす窓」が無い居室のこと。

つまり、単純に窓が全くない部屋を示すのではありません。窓があったとしても「建築基準法上の基準を満たす窓」が無ければ、『無窓居室』にあたります。

 

建築基準法では、人が継続して滞在する居室に対して、環境衛生・防火避難の面からさまざまな規制がかけられています。

建築基準法における居室の窓(開口部)に関する基準は4つ。

  1. 『採光』
  2. 『換気』
  3. 『排煙』
  4. 『避難』

そして、上記の基準を満たす窓がない居室(無窓居室)を、それぞれ以下のように呼びます。

  1. 採光無窓居室:採光の基準を満たす窓がない居室
  2. 換気無窓居室:換気の基準を満たす窓がない居室
  3. 排煙無窓居室:排煙の基準を満たす窓がない居室
  4. 避難無窓居室:避難の基準を満たす窓がない居室

無窓居室にあてはまると、設計上のハードルが大きく上がるので注意しましょう。

特に、防火避難に関しては人命に直結するため、とても厳しい条件が課されます。

 

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『無窓居室』の取り扱い一覧表

『無窓居室』の詳しい基準・制限はのちほど解説しますが、まずは全体像をつかむために、一覧表を確認してください。

建築基準法における無窓居室の取り扱い一覧表

無窓の種類
判定基準(該当すると無窓)
無窓居室に対する措置
根拠条文
採光無窓
採光に有効な開口部 < 居室面積×1/20
②直通階段までの歩行距離の短縮(原則30m以下)
③接道義務の条例による付加(制限強化)対象
令第116条の2第1項第一号
令第126条の4
令第120条第1項
法第43条第3項第三号
換気無窓
換気に有効な開口部 < 居室面積×1/20
機械換気設備等の設置義務
法第28条第2項
令第20条の2
排煙無窓
法定高さにある排煙に有効な開口部 < 居室面積×1/50
②接道義務の条例による付加(制限強化)対象
令第116条の2第1項第二号
令第126条の2
法第43条第3項第三号
内装制限無窓
(排煙無窓の派生)
50㎡超の居室で、法定高さにある排煙に有効な開口部 < 居室面積×1/50
(※天井高6m超の室等を除く)
当該居室および地上に通ずる主たる廊下等の壁・天井の仕上げを準不燃材料等とする
法第35条の2
令第128条の3の2
避難無窓
以下の(ア)(イ)の両方を満たす居室
  • (ア) 採光に有効な開口部 < 居室面積×1/20
  • (イ) 直接外気に接する避難上有効な開口部(1m円内接、又は幅75cm×高さ120cm以上)がない
居室を区画する主要構造部を「耐火構造」または「不燃材料」で造る
法第35条の3
令第111条
排煙窓の法定高さ:天井高2.6m以下の場合は「天井から下方80cm以内」、2.6m超の場合は「床面から1.8m以上」。

建築基準法を勉強し始めたころは、無窓居室について、ぼんやりとしか理解できずに悩んでいました。

確認検査機関の検査員として、設計者の方から質問を受けても、自信をもって回答できず…。

しかし、無窓居室の種類と基準を一覧表にしたことで、あたまの中が整理されて、一気に理解が進んだ思い出があります。

無窓居室の全体像を把握するために、一覧表を何度も見返しながら、実践経験を積むことで確実に理解が深まります。ぜひ試してみてください。

 

採光無窓居室とは

採光無窓居室は、建築基準法において「採光に関する基準を満たしていない居室」です。

採光無窓居室の判定基準

採光に有効な開口部の面積 < 居室床面積の1/20

採光無窓居室に対する必要措置

  1. 非常用の照明装置を設置(令116条の2第1項一号、令126条の4)
  2. 直通階段までの歩行距離を30m以内とする(令120条、令116条の2第1項一号)
  3. 道路の幅員、接道長さについて条例で制限が付加(法43条3項三号、令144条の5)

採光無窓居室の注意点

「採光無窓居室は日光が入らないから、非常用照明さえ設置しておけば大丈夫」と、勘違いしている設計者の方がわりといます。

ただし、上記の避難無窓居室の判定基準にも「採光に有効な開口部 < 居室面積×1/20」という条件があることに注目してください。

採光無窓は、「避難無窓」にも当てはまることが非常に多いです。

この避難無窓による「居室を区画する主要構造部を耐火構造または不燃材料でつくる」という条件は非常に厳しく、木造建築物では適合させることが非常に困難。

木造は主要構造部である壁が木材で構成されているため、不燃材料では無く、耐火構造とするのもハードルが高いからです。

木造建築物の居室は原則、「床面積の1/20の採光に有効な開口部を設ける」という意識で設計にのぞみましょう。

採光無窓居室(避難無窓居室)の緩和

採光無窓居室(避難無窓居室)であっても、「自動火災報知設備」を設け、避難距離を短くするなどの条件を満たせば、主要構造部を耐火構造等にしなくてもよいという緩和規定があります。(令第111条、令和2年国交告第249号)。

詳しくは、採光無窓居室の区画緩和について解説 |法35条の3→告示249号の記事をご確認ください。

 

換気無窓居室とは

換気無窓居室は、建築基準法において「換気に関する基準を満たしていない居室」です。

換気無窓居室の判定基準

換気に有効な開口部の面積 < 居室床面積の1/20

換気無窓居室に対する必要措置

自然換気設備、機械換気設備、中央管理方式の空気調和設備などを設けること(令20条の2)

機械換気設備の換気量の計算方法が知りたい方は、無窓居室の機械換気計算をわかりやすく解説|占有面積(N)の一覧表という記事をご確認ください。

 

排煙無窓居室とは

排煙無窓居室は、建築基準法において「排煙に関する基準を満たしていない居室」です。

令和7年の法改正により、天井高が2.6mを超える部屋では「床から1.8m以上の位置」にある窓も有効となりました。

排煙無窓居室の判定基準

法定高さ(天井から80cm以内、または床から1.8m以上等)の排煙に有効な開口部< 居室面積×1/50

排煙無窓居室に対する必要措置

  • 自然排煙設備もしくは機械排煙設備を設置する(令126条の2)
  • 道路の幅員、接道長さについて条例で制限が付加(法43条3項三号)

【関連】内装制限無窓

排煙無窓の要件に該当し、かつ床面積が50㎡を超える居室(天井高6m超を除く)は、内装制限の対象となり、居室や避難経路の壁・天井を準不燃材料等にする必要があります(令第128条の3の2第1項第一号)。

 

避難無窓居室とは

「採光無窓」かつ、「火災時に外部へ直接避難、または外部から救出するための基準を満たしていない」居室です。

避難無窓居室の判定基準

以下の2つの条件を両方とも満たしてしまった居室(令第111条第1項)

  1. 採光無窓である(採光有効面積 < 1/20)
  2. 直接外気に接する避難上有効な開口部(以下のいずれか)がない
    1. 直径1mの円が内接する窓
    2. 幅75cm×高さ1.2m以上の窓

避難無窓居室に対する必要措置

居室を区画する主要構造部を「耐火構造」または「不燃材料」で造らなければならない(法第35条の3)。

 

まとめ

  • 無窓居室(むそうきょしつ):「建築基準法における一定の要件を満たす窓」が無い居室。
  • 無窓居室は4種類
    • 採光無窓
    • 換気無窓
    • 排煙無窓(内装制限無窓)
    • 避難無窓
  • 採光無窓になると、非常用照明の設置や歩行距離の短縮が必要。
  • 排煙無窓になると、排煙設備の設置や内装制限の対象となる。
  • 避難無窓になると主要構造部を耐火構造等にする必要がある。
    • ただし、警報設備等(告示249号)の設置により回避が可能。

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