
- 非常用照明って、どんな建物に必要?
- 建築基準法における設置基準が知りたい。
- 非常照明の設置を免除(緩和)する方法はある?
こんな悩みに答えます。
本記事では、非常用照明の設置基準について、図解をまじえてわかりやすく解説。
✔️ 記事の内容
- 非常用照明の定義
- 非常用照明が必要な建築物
- 非常用照明の設置位置
- 設置を免除する方法
記事を読むことで、建築設計において非常用照明が必要となるケースと設置方法が理解できると思います。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識をわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。
非常用照明とは【避難経路を照らす照明設備】

出典:パナソニック
『非常用照明』とは、災害による停電など非常時に点灯する照明器具です。
デパートや映画館をはじめとする特殊建築物には、停電になっても素早く避難できるよう、非常用照明の設置が義務づけられています。

一般的な照明器具とは異なり、蓄電池や予備電源により点灯。
建築基準法では「1ルクス以上の照度を30分のあいだ保つ」といった、設置基準が定められています。
非常用照明が必要な建築物
”非常用照明が必要となる建築物”と”設置位置”は、以下のとおり。
| 対象となる建築物 | 設置すべき部分 |
法別表1(い)欄(1)~(4)の特殊建築物
|
|
| 階数≧3、かつ、延べ面積>500㎡の建築物 | |
| 採光無窓(令116条の2第1項一号)の居室 | |
| 延べ面積>1000㎡の建築物 |
✔️ 関連記事
非常用照明の設置基準・構造
非常用照明は、以下のいずれかを満たす製品を選びます。
- 建築基準法で指定された構造
- JIL適合マークのある製品
【非常用照明】建築基準法で指定された構造
建築基準法で指定されている非常用照明の構造をまとめると、以下のとおり。
- 直接照明とし、床面において1lx(ルクス)以上の照度を保つこと
- 火災時に温度が上昇した場合でも、大きく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めたもの
- 予備電源を設けること
- 上記のほか、非常時の照明を確保するために国土交通大臣が定めた構造
【非常用照明】JIL適合品(JIL5501)
JIL適合マークが貼られている製品を選べば、建築基準法に適合する非常用照明とみなされます。
日本照明工業会が建築基準法および関連告示に適合することを自主的に評定してくれているからですね。

建築設計の実務では、このJIL適合品を採用することが多いと思います。
非常用照明の照度範囲【図解】
非常用照明を計画するときは、以下の手順で検討しましょう。
- 平面図(または電気配線図)に非常用照明の設置位置を記入
- 非常用照明から1ルクスの照度範囲を示す円を表示
- 照度範囲の円から漏れているエリアはないかチェック

また、避難に支障がでない位置として、以下の部分は「照度を必要とする範囲」から除外できます。
- 居室、廊下などの隅角部1m以内の範囲
- 柱の影
- 物陰(ものかげ)

確認申請における設備図面の具体例が見たい方は、確認申請マニュアル コンプリート版 2024-25という書籍をご確認ください。
【非常用照明】建築基準法による緩和
建築基準法において、非常用照明の設置が免除される建築物の部分があります。
✔️ 非常用照明が免除される部分
- 採光がとれる開放性の高い廊下、階段
- 一戸建ての住宅、長屋・共同住宅の住戸
- 病院の病室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室
- 学校等
- 避難階と直上階・直下階の居室で基準を満たすもの(告示1411号第一号)
- 床面積が30㎡以下の居室で基準を満たすもの(告示1411号第二号)
上記の詳しい内容は、非常用照明の緩和まとめ|居室の設置免除【告示1411号も解説】という記事にまとめています。

非常用照明について建築基準法を読む
非常用照明が必要となる建築物は、建築基準法の施行令126条の4に書かれています。
第126条の4
法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物の居室、第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1000㎡を超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸
二 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室
三 学校等
四 避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの
また、非常用照明の構造に関する基準は、施行令126条の5です。
第126条の5
前条の非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。
一 次に定める構造とすること。
イ 照明は、直接照明とし、床面において1ルクス以上の照度を確保することができるものとすること。
ロ 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
ハ 予備電源を設けること。
ニ イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
二 火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において1ルクス以上の照度を確保することができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。
「建築基準法をあまり読みたくない」という方は、建築法規PRO2026 図解建築申請法規マニュアルや建築申請memo2026といった書籍で、図や表を見て理解するのがおすすめです。
まとめ
- 非常用照明とは、災害による停電など非常時に点灯する照明器具。
- 非常用照明が必要となる建築物
- 法別表1(い)欄(1)~(4)の特殊建築物
- 階数≧3、かつ、延べ面積>500㎡の建築物
- 採光無窓(令116条の2第1項一号)の居室
- 延べ面積>1000㎡の建築物
- 非常用照明の設置位置
- 居室
- 居室から屋外出口にいたる通路(廊下・階段)
- 非常用照明は、以下のいずれかを満たす製品を選択。
- 建築基準法で指定された構造
- JIL適合マークのある製品
- 以下の部分は、非常用照明の照度範囲から除外。
- 居室、廊下などの隅角部1m以内の範囲
- 柱の影
- 物陰(ものかげ)






