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無窓居室の機械換気計算をわかりやすく解説|占有面積(N)の一覧表

無窓居室_機械換気計算 設備規定
  • 無窓居室の機械換気計算って、どうすればいい?
  • 1人当たりの占有面積は、どうやって出す?
  • 24時間換気との違いは?

こんな疑問に答えます。

本記事では、無窓居室の機械換気計算について、わかりやすく解説。

窓のない居室を計画するなら欠かせない知識が身につきます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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無窓居室の機械換気計算とは

建築基準法において、換気に有効な開口部(窓など)の面積が「居室床面積の1/20未満」となる部屋を『換気無窓居室』と呼びます。

この換気無窓居室には、機械換気設備(または空調設備)を設置して、人が滞在するために必要な換気量を確保しなければなりません。

機械換気設備を設置する場合、以下の計算式で「必要有効換気量(V)」を求め、その数値以上の能力を持つ換気扇等を選定する必要があります。(建築基準法施行令20条の2)

機械換気計算 計算式

機械換気設備の必要有効換気量の計算式

V = 20 × AfN

V:必要有効換気量(m³/h)

この居室に最低限必要な1時間あたりの換気量です。

Af:居室の床面積(m²)

基本的には居室の床面積の数値を使います。

特殊建築物”以外”の居室(住宅など)においては、少しでも換気に有効な窓があれば、「居室の床面積 -(換気に有効な窓面積 × 20)」へと面積を減らして計算できる緩和規定があります。

N:実況に応じた1人当たりの占有面積(m²)

部屋の用途に合わせて1人当たりの面積を設定します。

ただし、法的な「上限値」が決められている点には注意しましょう。

  • 特殊建築物の居室:上限は「3」(実際の占有面積が広くても、計算上は最大3とします)。
  • その他の居室:上限は「10」(住宅の居室などは最大10として計算します)。

「N」の目安の値は、次に掲載する一覧表を参考にしてください。

 

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用途別「N(1人あたりの占有面積)」の一覧表

「N(1人あたりの占有面積)」は、居室の用途ごとに目安の数値があります。

建築用途 単位当たり算定人員 (Af/N) 一人当たり占有面積 (N) 備考
公会堂・集会場 / 劇場・映画館・演芸場 同時に収容しうる人員 0.5~1 m² Nは3を超えるときは3とする
体育館 同時に収容しうる人員

0.5~1 m²

旅館・ホテル・モーテル 10 m² 客室に限る
簡易宿泊所・合宿所 3 m²
ユースホステル・青年の家 同時に収容しうる人員
病院・診療所・伝染病院 4~5 m²
診療所・医院 5 m² 居室の床面積
店舗・マーケット 3 m² 営業の用途に供する部分の床面積
料亭・貸席 3 m² 居室の床面積
百貨店 2 m²
飲食店・レストラン・喫茶店 3 m² 営業の用途に供する部分の床面積
キャバレー・ビアホール・バー / 玉突き場・卓球場・ダンスホール・ボーリング場 2 m² 営業の用途に供する部分の床面積
パチンコ店・囲碁クラブ・マージャンクラブ 2 m² 営業の用途に供する部分の床面積
保育所・幼稚園・小学校 同時に収容しうる人員
中学校・高等学校・大学・各種学校 同時に収容しうる人員
図書館 3 m²
事務所 5 m² 事務室の床面積
工場・作業所・管理室 作業人員
研究所・試験所 同時に収容しうる人員
公衆浴場 4~5 m² 脱衣所の床面積
特殊浴場 5 m² 営業の用途に供する部分の床面積
廊下 10 m²
ホール 3~5 m²
便所 1m²当たり30m³
手洗所 1m²当たり10m³
蓄電室等 1m²当たり35m³
自動車車庫 1m²当たり14

出典:建築設備設計・施工上の運用指針

 

機械換気計算の事例

以下の事務室(換気無窓居室)において、機械換気設備の「必要有効換気量(V)」を計算してみましょう。

  • 用途:事務所の事務室
  • 居室の床面積:80㎡
  • 実況の1人当たり占有面積:10㎡/人(※1)
  • 窓の条件:換気に有効な開口部は「0㎡」(窓からの換気は考慮しない)

(※1)従業員8名がゆったりと業務を行うレイアウトを想定。

 

 解説と計算ステップ

機械換気設備の必要有効換気量(V)は、以下の公式で求めます 。

V = 20 × AfN

STEP 1:Af(面積)を確定する

Af は居室の床面積です。

住宅や事務所など(特殊建築物以外の居室)の場合は、換気に有効な窓の面積を差し引く緩和規定がありますが、今回は「窓からの換気は考慮しない(0㎡)」ため、そのまま居室の床面積を使います 。

Af = 80(㎡)

 

STEP 2:N(1人当たりの占有面積)を確定する

N は実況に応じた1人当たりの占有面積です。

ただし、建築基準法では用途によって計算に使える「上限値」が決まっています。

  • 特殊建築物の居室:上限「3」
  • その他の居室(事務所など):上限「10」

事務所は特殊建築物ではないため、「その他の居室」に分類され、上限は「10」。

今回の実況は10㎡/人のため、そのまま「10」を採用します。

N = 10(㎡/人)

 

STEP 3:公式に当てはめて計算する

求めた数値を公式に当てはめます。

V = 20 × 80 / 10

V = 1600 / 10

V = 160

この事務室に必要な機械換気設備の必要有効換気量(V)は、「160 m³/h」 となります。

設計時は、この160 m³/h 以上の換気能力を持つ換気扇(ダクトの圧力損失なども考慮した実際の風量)を選定するわけですね。

実務のポイント

もし、この事務室に換気に有効な引き違い窓が「1㎡」だけあった場合、Af は「80 - (1 × 20) = 60㎡」に減らすことができ、必要有効換気量(V)を 120 m³/h まで下げる(換気設備の能力を小さくする)ことができます。事務所などの換気計算では、この「窓による面積引き」がコストダウンにつながります。

 

24時間換気計算(シックハウス計算)との違い

「換気無窓居室の機械換気計算(法第28条第2項)」と「シックハウス対策の24時間換気計算(法第28条の2第3項)」は別モノです。

  • 無窓の換気計算:人が活動するために必要な酸素を供給し、衛生的な環境を保つための換気(V = 20Af / N)。
  • シックハウス対策の換気:建材から発散されるホルムアルデヒド等を取り除くための換気(原則として換気回数0.5回/hなど)。

これらは根拠となる条文も計算式も異なります。

つまり、換気無窓居室に該当する場合は、「無窓としての必要有効換気量」「シックハウス対策としての必要有効換気量」の両方を計算し、数値が大きい方(より安全な方)を満たす換気設備を選定する必要がありますね。

 

無窓居室の換気計算について建築基準法を読む

換気無窓居室における機械換気設備の計算は、建築基準法施行令20条の2に書かれています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2026 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2026といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(換気設備の技術的基準)

第二十条の二

法第二十八条第二項ただし書の政令で定める技術的基準及び同条第三項(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。以下この条及び次条第一項において同じ。)の政令で定める法第二十八条第三項に規定する特殊建築物(第一号において「特殊建築物」という。)の居室に設ける換気設備の技術的基準は、次に掲げるものとする。

一 換気設備の構造は、次のイからニまで(特殊建築物の居室に設ける換気設備にあつては、ロからニまで)のいずれかに適合するものであること。

イ 中略

ロ 機械換気設備(中央管理方式の空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給(排出を含む。)をすることができる設備をいう。以下同じ。)を除く。以下同じ。)にあつては、第百二十九条の二の五第二項の規定によるほか、次に掲げる構造とすること。

(1) 有効換気量(立方メートル毎時で表した量とする。(2)において同じ。)が、次の式によつて計算した必要有効換気量以上であること。

V=20Af/N
(この式において、V、Af及びNは、それぞれ次の数値を表すものとする。

V 必要有効換気量(単位 一時間につき立方メートル)

Af 居室の床面積(特殊建築物の居室以外の居室が換気上有効な窓その他の開口部を有する場合においては、当該開口部の換気上有効な面積に二十を乗じて得た面積を当該居室の床面積から減じた面積)(単位 平方メートル)

N 実況に応じた一人当たりの占有面積(特殊建築物の居室にあつては、三を超えるときは三と、その他の居室にあつては、十を超えるときは十とする。)(単位 平方メートル))

(2) 一の機械換気設備が二以上の居室に係る場合にあつては、当該換気設備の有効換気量が、当該二以上の居室のそれぞれの必要有効換気量の合計以上であること。

(3) (1)及び(2)に掲げるもののほか、衛生上有効な換気を確保することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものであること。

以下省略

 

まとめ

  • 換気無窓居室には、以下の計算式で「必要有効換気量(V)」を求め、その数値以上の能力を持つ換気扇等を選定する必要がある。
    • V = 20 × Af / N
  • 「N(1人あたりの占有面積)」の目安は一覧表で確認。
  • 「換気無窓居室の機械換気計算」と「シックハウス対策の24時間換気計算」は違う。
    • 無窓の換気計算:人が活動するために必要な酸素を供給し、衛生的な環境を保つための換気
    • シックハウス対策の換気:建材から発散されるホルムアルデヒド等を取り除くための換気

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