
- キッチンにガスコンロを設置するときには換気計算が必要?
- 「V=40KQ」は、どのように計算する?
- 確認申請で計算書を提出するときの注意点があれば教えてほしい。
こんな疑問や要望に答えます。
本記事では、火気使用室(キッチンや厨房など)の換気計算についてわかりやすく解説。
記事を読むことで、ガスコンロ等を設置した部屋に最低限必要な換気扇の排気量を計算できるようになります。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
火気使用室の換気計算【V=NKQ】
建築基準法において、コンロなど「火を使用する設備・器具」を設けた調理室(キッチンなど)には、換気設備の設置が義務づけられています(建築基準法施行令20条の3)
火気使用室の換気扇等に必要な「有効換気量(V)」を求める計算式は以下のとおり。(建設省告示1826号)

- V:換気扇等の有効換気量(m³/h)
- その火気使用室に最低限必要な1時間あたりの排気能力です。
- N:排気フードの有無や構造による定数(40・30・20)
- 排気フードのない換気扇を設ける場合は「40」となります。
- 排気フードを設ける場合は、その構造や設置高さ等に応じて「30」または「20」の数値が入ります。
- K:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量(m³/kW)
- 燃やす燃料の種類によって決まる定数です。
- 実務で最もよく使う都市ガスやLPガスの場合は「0.93」を使用します。灯油の場合は「12.1(m³/kg)」ですね。
- Q:実況に応じた燃料消費量(kW)
- ガスコンロなどが消費する燃料の量を示す数値です。
- 製品カタログ等の仕様表に記載されている「最大ガス消費量」の数値を当てはめます。

実務でよく「ヨンジュウ・ケー・キュー(40KQ)」や「サンジュウ・ケー・キュー(30KQ)」と呼ばれる計算式です。
例えば、ガスコンロ(最大消費量:9.0kW)を設置し、排気フードがない(N=40)場合の計算は以下のとおり。
V = 40 × 0.93 × 9.0 = 334.8 m³/h
まずは設置するコンロ等のカタログから「Q」を拾い、ガス種別による「K」を掛け合わせ、排気フードの条件から「N」の数値を決めることで、必要な換気能力(V)を算出するわけですね。
コンロとフードの離隔距離に応じた換気計算
換気計算式「V = N × K × Q」における定数「N」は、コンロなどの火源と排気フードの離隔距離(高さ)やフードの形状によって「40」「30」「20」の3パターンに分かれます。
排気フードを設けることで煙や排ガスを効率よく吸いこめるようになるため、必要な換気量を減らす(換気扇の能力を小さくする)ことができるわけですね。

それぞれの条件は以下のとおり(平成12年建設省告示第1826号)。
N=40 の場合(排気フードなし)
排気フードを設けない場合や、壁付けの換気扇などを直接設ける場合の基本となる数値です。
N=30 の場合(一般的な排気フード)
以下の3つの条件を全て満たす排気フードを設けた場合は、Nを「30」に減らすことができます。
- 排気フードの高さが1m以下であること
- 排気フードが、火源(火を使用する設備の排気のための開口部)を覆っていること(※不燃材料等の壁に面する部分は除く)
- 廃ガスを一様に捕集できる形状であること
N=20 の場合(高機能な排気フード)
さらに排気効率の高い以下の条件を満たすフードを設けた場合は、Nを「20」まで減らし、必要換気量を半減させることができます。
- 排気フードの高さが1m以下であること
- 排気フードが、火源だけでなく「火源からフードの高さの1/2以内の水平距離にある周囲」まで広く覆っていること(※不燃材料等の壁に面する部分は除く)
- フードの下部に5cm以上の垂れ下がりがあり、かつ集気部分が水平面に対し10度以上の傾斜を有すること

確認申請において「N=30」や N=20 を適用する場合は、この「火源からフード下端までの離隔距離が1m以内に収まっていること」が確認検査機関に伝わるよう、特記しておきましょう。
換気設備の設置が不要になるケース
コンロなどを設けたキッチン(火気使用室)でも、一定の条件を満たせば、換気設備の設置が免除されます。(建築基準法施行令第20条の3第1項)
換気設備が免除される3つのケースは以下のとおり。

- 密閉式燃焼器具等のみを設置している室
- 住宅の調理室における緩和(発熱量12kW以下+窓換気)
- 調理室「以外」の室における緩和(発熱量6kW以下+窓換気)
1.密閉式燃焼器具等のみを設置している室
室内の空気を汚染するおそれがない、以下の条件に当てはまる設備(FF式暖房器具など)を設置している場合は、換気設備が不要。
- 直接屋外から空気を取り入れる
- 廃ガスを直接屋外に排出する構造のもの

ちなみに、IHクッキングヒーターは建築基準法上の火気使用設備に該当しないため、換気計算の対象外となります。
2.住宅の調理室における緩和(発熱量12kW以下+窓換気)
小規模な住宅のキッチンなどで、以下の3つの条件をすべて満たす場合は、機械換気設備の設置が免除されます。
- 住宅または住戸の床面積の合計が100㎡以内であること
- 火を使用する設備(コンロ等)の発熱量の合計が12kW以下であること
- 調理室の床面積の1/10以上(計算値が0.8㎡未満のときは0.8㎡以上)の開口面積をもつ窓等を換気上有効に設けること
3.調理室「以外」の室における緩和(発熱量6kW以下+窓換気)
調理室以外の室(給湯室など)は、以下の条件を満たすと、換気設備が免除されます。
- 火を使用する設備等の発熱量の合計が6kW以下であること
- 換気上有効な開口部(窓など)が設けられていること(※住宅の調理室のような「面積の1/10以上」といった具体的な面積要件は指定されていません)
確認申請で指摘されやすい項目
確認申請時に指定確認検査機関から指摘されやすいポイントをまとめました。
- 換気扇の有効排気量(P-Q曲線)の確認不足
- Q値の根拠となる「機器カタログ」の添付忘れ
- V=30KQで計算しているのに離隔距離が不明
換気扇の有効排気量(P-Q曲線)の確認不足
換気計算における排気量として、カタログに書かれた「最大風量」をそのまま採用してはいけません。
換気扇の排気量は、ダクト長さや曲がりの数、フード形状などによって生じる「圧力損失(静圧)」によって変化するもの。
この関係を示したものがP-Q曲線(圧力-風量特性曲線)です。
カタログに記載されている最大風量はあくまで静圧ゼロ(圧力損失がない理想状態)での値であり、実際の施工条件では排気量が低下します。
設備設計では、ダクトの圧力損失を把握したうえで、P-Q曲線から読み取った「実効風量(有効排気量)」が必要換気量を満たしているかどうかを確認しましょう。
Q値の根拠となる「機器カタログ」の添付忘れ
換気量の計算式(V = N × K × Q)におけるQ(燃焼器具の燃料消費量)は、設置するガスコンロなどの「カタログに記載されたガス消費量(kW)」から算出するもの。
ところが、計算書に ( Q ) の数値だけを記載し、その出典となるカタログ等を添付し忘れるケースがあります。
確認申請時には、機器カタログの該当ページ(ガス消費量・燃料消費量が明記された部分)をコピーし、計算書の根拠資料として忘れずに添付しましょう。
V=30KQで計算しているのに離隔距離が不明
V = 30KQ は、排気フードが燃焼器具の直上に適切な離隔距離で設置されていることを前提とした計算式です。
確認申請図書にフードと燃焼器具の離隔距離が明示されていないと、このV = 30KQ を適用可能なのか確認検査機関は判断できません。
「燃焼器具の上端からフード下端までの離隔距離1m以下」と必ず書いておきましょう。
建築基準法を読む
火気使用室における換気設備の設置義務については、建築基準法施行令20条の3に定められています。
「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2026 図解建築申請法規マニュアルや建築申請memo2026といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。
(火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
第二十条の三 法第二十八条第三項の規定により政令で定める室は、次に掲げるものとする。一 火を使用する設備又は器具で直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないもの(以下この項及び次項において「密閉式燃焼器具等」という。)以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室
二 床面積の合計が百平方メートル以内の住宅又は住戸に設けられた調理室(発熱量の合計(密閉式燃焼器具等又は煙突を設けた設備若しくは器具に係るものを除く。次号において同じ。)が十二キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けたものに限る。)で、当該調理室の床面積の十分の一(〇・八平方メートル未満のときは、〇・八平方メートルとする。)以上の有効開口面積を有する窓その他の開口部を換気上有効に設けたもの
三 発熱量の合計が六キロワット以下の火を使用する設備又は器具を設けた室(調理室を除く。)で換気上有効な開口部を設けたもの
2 建築物の調理室、浴室、その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備又は器具を設けたもの(前項に規定するものを除く。第一号イ及び第百二十九条の二の五第一項において「換気設備を設けるべき調理室等」という。)に設ける換気設備は、次に定める構造としなければならない。
一 換気設備の構造は、次のイ又はロのいずれかに適合するものとすること。
イ 次に掲げる基準に適合すること。
(1) 給気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井の高さの二分の一以下の高さの位置(煙突を設ける場合又は換気上有効な排気のための換気扇その他これに類するもの(以下このイにおいて「換気扇等」という。)を設ける場合には、適当な位置)に設けること。
(2) 排気口は、換気設備を設けるべき調理室等の天井又は天井から下方八十センチメートル以内の高さの位置(煙突又は排気フードを有する排気筒を設ける場合には、適当な位置)に設け、かつ、換気扇等を設けて、直接外気に開放し、若しくは排気筒に直結し、又は排気上有効な立上り部分を有する排気筒に直結すること。
(3) 給気口の有効開口面積又は給気筒の有効断面積は、国土交通大臣が定める数値以上とすること。
(4) 排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合にあつては、その有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては、排気口の有効開口面積又は排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
(5) 風呂釜又は発熱量が十二キロワットを超える火を使用する設備若しくは器具(密閉式燃焼器具等を除く。)を設けた換気設備を設けるべき調理室等には、当該風呂釜又は設備若しくは器具に接続して煙突を設けること。ただし、用途上、構造上その他の理由によりこれによることが著しく困難である場合において、排気フードを有する排気筒を設けたときは、この限りでない。
(6) 火を使用する設備又は器具に煙突(第百十五条第一項第七号の規定が適用される煙突を除く。)を設ける場合において、煙突に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては煙突の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
(7) 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合において、排気筒に換気扇等を設ける場合にあつてはその有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上とし、換気扇等を設けない場合にあつては排気筒の有効断面積は国土交通大臣が定める数値以上とすること。
(8) 直接外気に開放された排気口又は排気筒の頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とすること。
ロ 火を使用する設備又は器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね二十・五パーセント以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。
二 給気口は、火を使用する設備又は器具の燃焼を妨げないように設けること。
三 排気口及びこれに接続する排気筒並びに煙突の構造は、当該室に廃ガスその他の生成物を逆流させず、かつ、他の室に廃ガスその他の生成物を漏らさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
四 火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。
火気使用室の換気扇等に必要な「有効換気量(V)」を求める計算式は、建設省告示第1826号を確認しましょう。
昭和45年12月28日建設省告示第1826号 換気設備の構造方法を定める件
建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第20条の2第一号イ(3)及びロ(3)並びに第20条の3第2項第一号イ(3)、(4)、(6)及び(7)並びに第三号の規定に基づき、換気設備の衛生上有効な換気を確保するための構造方法を次のように定める。
換気設備の構造方法を定める件
第1 居室に設ける自然換気設備、第2 居室に設ける機械換気設備 中略
第3 調理室等に設ける換気設備
一 中略
二 令第20条の3第2項第一号イ(4)の規定により国土交通大臣が定める数値は、次のイ又はロに掲げる場合に応じ、それぞれイ又はロに定める数値とすること。
イ 排気口又は排気筒に換気扇等を設ける場合 次の式によつて計算した換気扇等の必要有効換気量の数値
V=40KQ
この式において、V、K及びQは、それぞれ次の数値を表すものとする。
V 換気扇等の必要有効換気量(単位 1時間につき立方メートル)
K 燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量(別表(い)欄に掲げる燃料の種類については、同表(ろ)欄に掲げる数値によることができる。以下同じ。)(単位 立方メートル)
Q 火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量(単位 キロワット又は1時間につきキログラム)ロ 中略
三 中略
四 令第20条の3第2項第一号イ(7)の規定により国土交通大臣が定める数値は、次のイ又はロに掲げる場合に応じ、それぞれイ又はロに定める数値とすること。
イ 排気フードを有する排気筒に換気扇等を設ける場合、次の式によつて計算した換気扇等の必要有効換気量の数値
V=NKQ
この式において、V、N、K及びQは、それぞれ次の数値を表すものとする。
V 換気扇等の必要有効換気量(単位 1時間につき立方メートル)
N (イ)に定める構造の排気フードを有する排気筒にあつては30と、(ロ)に定める構造の排気フードを有する排気筒にあつては20とする。(イ) 次の(i)から(iii)までにより設けられた排気フード又は廃ガスの捕集についてこれと同等以上の効力を有するように設けられた排気フードとすること。
(i) 排気フードの高さ(火源又は火を使用する設備若しくは器具に設けられた排気のための開口部の中心から排気フードの下端までの高さをいう。以下同じ。)は1メートル以下とすること。
(ii) 排気フードは、火源又は火を使用する設備若しくは器具に設けられた排気のための開口部(以下「火源等」という。)を覆うことができるものとすること。ただし、火源等に面して下地及び仕上げを不燃材料とした壁その他これに類するものがある場合には、当該部分についてはこの限りでない。
(iii) 排気フードの集気部分は、廃ガスを一様に捕集できる形状を有するものとすること。(ロ) 次の(i)から(iii)までにより設けられた排気フード又は廃ガスの捕集についてこれと同等以上の効力を有するように設けられた排気フードとすること。
(i) 排気フードの高さは、1メートル以下とすること。
(ii) 排気フードは、火源等及びその周囲(火源等から排気フードの高さの2分の1以内の水平距離にある部分をいう。)を覆うことができるものとすること。ただし、火源等に面して下地及び仕上げを不燃材料とした壁その他これに類するものがある場合には、当該部分についてはこの限りでない。
(iii) 排気フードは、その下部に5センチメートル以上の垂下り部分を有し、かつ、その集気部分は、水平面に対し10度以上の傾斜を有するものとすること。
K 燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量(単位 立方メートル)
Q 火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量(単位 キロワット又は1時間につきキログラム)ロ 省略
以下省略
まとめ
- 火気使用室における換気扇等の有効換気量を求める計算式:V = N × K × Q
- V:換気扇等の有効換気量(m³/h)
- N:排気フードの有無や構造による定数(40・30・20)
- K:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量(m³/kW)
- Q:実況に応じた燃料消費量(kW)
- 換気計算式における定数「N」は、火源と排気フードの離隔距離やフードの形状によって「40」「30」「20」の3パターンに分かれる。
- 換気設備が免除される3つのケース
- 密閉式燃焼器具等のみを設置している室
- 住宅の調理室における緩和(発熱量12kW以下+窓換気)
- 調理室「以外」の室における緩和(発熱量6kW以下+窓換気)
- 確認申請時に指定確認検査機関から指摘されやすいポイント
- 換気扇の有効排気量(P-Q曲線)の確認不足
- Q値の根拠となる「機器カタログ」の添付忘れ
- V=30kQで計算しているのに離隔距離が不明
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