建築主とは|建築基準法上の定義、所有者との違いをわかりやすく解説

建築主2 建築基準法まとめ
  • 建築主の定義は?
  • 施主との違いはある?
  • 建築主事とは、どう違う?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、「建築主(読み:けんちくぬし)」という用語についてわかりやすく解説。

建築業界ではひんぱんに使われる言葉なので、正しく意味を理解しておきましょう。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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建築主の定義とは

『建築主』とは、建物の建設工事を発注する人や組織、または自分でその工事を行う人のことです。

つまり、建築主は以下のいずれかに当てはまるもの。

  • 建物を作るために工事を依頼する人
  • 自分自身で建設作業をする人

一般的には、プロジェクトの発注者であることが多いでしょう。

建築物の設計や建設に関する意思決定を行うのが主な役割。

建築家や建設会社と協力して、プロジェクトの目的、予算、スケジュールを定めて、建物の完成を目指します。

 

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建築主の読み方

建築主の読み方は「けんちくぬし」です。

主(ぬし)という言葉は、中心となる人、支配する者といった意味を持ちますね。

 

建築基準法における建築主の定義

建築基準法において、『建築主』は以下のように定義されています。

(用語の定義)

第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

中略

十六 建築主 建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。

 

確認申請において建築主を変更する場合【建築主等変更届】

指定確認検査機関に確認申請を提出し、確認済証が交付されたあとに建築主を変更したい場合は、その証書を交付した機関へ「建築主等変更届」を提出します。

この届出が受理されると、確認申請手続きにおける建築主が変更されます。

たとえば、「確認済証交付→建築主等変更届→検査済証交付」という流れであれば、確認済証と検査済証に記載された建築主が異なるわけですね。

 

「施主」との違い

『施主(読み:せしゅ)』とは、建物の工事を発注した人もしくは組織の代表者です。

つまり、建築業界において、施主と建築主は同じ意味を示すということ。

ただし、「施主」はあくまでも業界用語のような位置づけです。法律や契約書上で使う言葉は「建築主」となります。

ちなみに、施主は「葬式や法要などの当主」という意味でつかわれることもありますね。

 

「建築主事」との違い

『建築主事(読み:けんちくしゅじ)』とは、地方公共団体(都道府県・市町村など)に所属し、建築確認や中間・完了検査などを行う公務員のことです。

国土交通大臣が実施する「建築基準適合判定資格者検定」に合格し、市町村または都道府県知事から任命された職員。

建築主とは漢字が似ているだけで、意味はまったく異なりますね。

 

「所有者」との違い

『所有者(読み:しょゆうしゃ)』とは、建築物の法的な権利を持つ個人または団体のことです。

所有者は、その建築物に関する決定をくだすため、物件に関する以下の権利をもっています。

  • 維持管理
  • 改修
  • 販売
  • 賃貸

税金・ローンの支払い・保険・法的責任など、多くの責任を負うもの。

所有権は、登記・購入契約・相続などによって証明され、法的に保護されます。

建築基準法において、所有者には建物の維持保全が義務づけられていますね。

(維持保全)

第八条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

 

「管理者」との違い

『管理者(読み:かんりしゃ)』とは、建物を所有者に代わって管理する個人または団体のことです。

管理者の主な役割

  1. 施設管理と保守
  2. 入居者との連絡
  3. 契約管理
  4. 法的事務
  5. 予算管理
  6. 安全対策
  7. 公共サービスの手配
  8. 入居者募集
  9. 報告と文書作成
  10. 物件価値の向上

管理者は建物の適切な状態維持や入居者との円滑な関係構築を担当するもの。所有者の手間やストレスを減らしてくれます。

物件の種類や規模によっては、専門の管理会社や個人を雇うこともありますね。

 

まとめ

  • 建築主とは、建物の建設工事を発注する人や組織、または自分でその工事を行う人。
  • 確認申請において、建築主を変更したい場合は、「建築主等変更届」を指定確認検査機関へ提出。
  • 施主とは、建物の工事を発注した人もしくは組織の代表者。
  • 建築主事とは、地方公共団体(都道府県・市町村など)に所属し、確認審査や中間・完了検査などを行う公務員。
  • 所有者とは、建築物の法的な権利を持つ個人または団体。
  • 管理者とは、建物を所有者に代わって管理する個人または団体。

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