
- 建築確認申請を通すために役立つ本はある?
- 建築基準法が苦手だから、図解でわかる本があれば知りたい。
- 増築・用途変更の申請をはじめて出す初心者向けの本ってない?
こんな疑問に答えます。
確認申請をスムーズに進めるために役立つ、おすすめの本を10冊まとめました。
確認申請の本質を理解したい方や、建築基準法について実践で使える知識を身につけたい方にとって有益な情報かと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。
住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識をできるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。
確認申請マニュアル コンプリート版
おすすめ度:★★★★★
確認申請に必要な知識は、『確認申請マニュアルコンプリート版』一冊で身につくといっても過言ではありません。
申請に必要な知識や、申請図面の作り方まで、多くの情報が網羅されている一冊。
住宅から特殊建築物まで、どの建物用途を設計するときでも役に立ちます。
また、建物の規模についても、床面積2000㎡程度からそれ以上まで『確認申請マニュアルコンプリート版』で十分対応できると思います。
建築設計の初心者から上級者まで幅広く使えるのが魅力。
悩んだときに読める「確認申請の教科書」として、手元にあると心強いです。
確認申請[面積・高さ]算定ガイド
おすすめ度:★★★★★
建築物のボリュームを決めるうえで最も重要な「面積」と「高さ」の算定方法について、大量の図を使って解説している書籍。
主に、以下の項目について詳しく学べます。
- 床面積
- 建築面積
- 高さ制限(道路斜線・隣地斜線・北側斜線)
- 天空率
- 階数
建築基準法における集団規定の解説本としては、決定版といえます。
指定確認検査機関に建築確認を出したときに、床面積の算定方法などで指摘を受けた経験のある方は、ぜひ目を通してみてください。

確認申請[面積・高さ]算定ガイドをよく読んで設計すれば、計画全体に影響を及ぼすような、致命的な指摘を受けることは無くなるはず。
建築申請memo
おすすめ度:★★★★★
建築確認申請に関する情報がコンパクトにまとめられた書籍です。
確認申請に携わる設計者にとっては、紹介するまでもなく知名度の高い本。
確認検査機関の検査員、行政の建築主事でも愛用している方が数多くいます。
建築基準法の法文を読みたくなければ、最低限『建築申請memo』を読みましょう。
『建築申請memo』は、1年に1回、3月ごろに最新版が発行されます。

確認検査機関の相談窓口で、古い『建築申請memo』を使っている設計者の方を見かけますが、かなり危険です。
建築基準法の改正により緩和された条文を見逃して、意図せずに過剰な設計をしてしまうおそれも。
建築基準法の改正内容を把握するためにも、できる限り最新版を購入することを心掛けましょう。
設計初心者や確認検査員になったばかりの方は、『建築申請memo』を購入し、『建築関係法令集』とセットで活用するといいですね。
[用途別]建築法規エンサイクロペディア
おすすめ度:★★★★
建物用途ごとに、関連する“建築基準法”と“その他の法律”の制限を調べることができる本。
今まで経験したことのない用途の設計を任されたとき、まずは『建築法規エンサイクロペディア』に目を通すことをおすすめします。
例えば、「住宅中心に設計をしているけど、保育所の設計をはじめて依頼された。どうしよう…」など、未経験の用途に挑戦する設計者が読むべき一冊。
物品販売店舗、児童福祉施設、事務所など、商業系から福祉系まで数多くのジャンルが掲載されています。
建築基準法だけでなく、都市計画法やバリアフリー法といった関連法規も扱われているため、設計事務所・不動産会社・コンサルタント・行政の担当者など幅広い実務に役立ちます。
プロのための主要都市建築法規取扱基準
おすすめ度:★★★★
主要な都市ごとに建築基準法の取り扱いが異なるポイントをまとめてくれている一冊。
確認申請経験をたくさん積んでいる設計者の方は、よくご存じかと思いますが、建築基準法の解釈というのは各地域ごとに少なからずバラつきがあります。
でも、建築基準法の取り扱いについて、悩むたびに確認検査機関に問い合わせをしていたら、設計はいっこうに進みません。
そんなとき、『プロのための主要都市建築法規取扱基準』を読めば、行政によって違いがでやすい建築基準法の解釈を知ることができて便利。
確認申請を何度か出したことのある中級者向けの書籍かと。設計に悩んだときの一冊として活用してみてください。
プロが読み解く 増改築の法規入門|Q&Aと実例で学ぶ「可否の分かれ目」
おすすめ度:★★★★
『プロが読み解く 増改築の法規入門』は、確認検査機関で審査する立場として、増築や用途変更を手がける設計者には必ず読んでほしい本。
増築・用途変更の確認申請を提出するにあたって、最低限身につけておきたい情報が収録されています。
なかでも増築・用途変更をする際に、既存建物に遡及適用される建築基準法の条文が、一目でわかる一覧表がとても便利。

『増築・用途変更』の相談や確認審査を受けるたびに、何度も見返している一冊です。
検査員が明かす建築確認の誤解|申請が「すんなり通る」100のツボ
おすすめ度:★★★★
本のタイトルどおり、確認申請を「すんなり通す」ために、誤解されやすいポイントをまとめてくれている本。
確認申請の本質を理解しようとしない設計者は、何件申請をこなしても、肝心なところが押さえられていないのでスムーズに審査が進みません。
『検査員が明かす建築確認の誤解』に一度目を通すことで、確認申請に対する見方・考え方が確実に変わります。
イラストも豊富で見やすいため、本を読むのが苦手という方でも、サクサク読み進められますよ。
建築法規PRO|図解建築申請法規マニュアル
おすすめ度:★★★★★
「建築基準法を本文で読むとむずかしい」「図解で理解したい」という方には、『建築法規PRO 図解建築申請法規マニュアル』がおすすめ。
建築基準法の解説本のなかでも、図や表がふんだんに使われていて、読んでいてストレスが少ない点が高評価。
建築基準法の全体像をつかむのに最適な一冊です。

個人的には建築面積のさまざまな算定パターンが書かれた部分を、審査で判断が迷うたびに見返しています。
世界で一番やさしい確認申請【戸建て住宅編】
おすすめ度:★★★★
戸建て住宅の確認申請に必要な知識は『世界で一番やさしい確認申請』を読めば、8割がた身につきます。(※残りの2割は実践のなかで得られる知識です)

僕が確認検査機関機関に就職し、審査部に配属されたときに、はじめて購入した書籍。
設計初心者〜中級者向けの本ですが、図やイラストが多彩で、今読み返しても有益な情報が得られます。
設計事務所の新人社員の方が、確認申請に関する本を、まず1冊選ぶのであれば、『世界で一番やさしい確認申請』がおすすめです。
建築消防アドバイス
おすすめ度:★★★
消防法に関する基礎知識、消防用設備の設置基準などを図や表を使ってわかりやすく解説された本です。
建築と消防は切っても切れない関係。
1年に1回、最新版が発行されるので、消防法の改正についていくためにも毎年買い替えるべきですね。
建築確認申請でも所轄消防署の同意が必要な建物もあるため、消防法に関する知識を高めておきましょう。
【おまけ】建築確認申請 条文改正経過スーパーチェックシート
おすすめ度:★★★
建築基準法が制定されてから現在に至るまでの建築基準法法改正の変遷がわかる本。
増築や用途変更で、既存建物が建築された当時の建築基準法について知りたいときに活用します。
特に、同一棟増築で既存建物に現行法が遡及するときに「今の基準とどのように違うのか」「どこを改修する必要があるのか」を調べたいときに重宝するかと。

既存建物の活用を主に手がけている設計者におすすめする上級者向けの書籍です。
まとめ
確認検査員として1000件以上の物件を審査してきた経験を活かして「自信を持っておすすめできる本」10冊を紹介してきました。
読んでみればどれも間違いなく、設計の実務で役立つと思えるはず。
確認検査員を上回る建築基準法の知識を身につけて、建築確認を最短で通しましょう。
✔ 建築確認申請に役立つおすすめ本10冊