【建築基準法改正】法27条(耐火建築物とすべき特殊建築物)が緩和

建築基準法改正
  • 建築基準法改正で『階数3以上の特殊建築物』について、耐火建築物の判定基準が緩和?
  • 3階建の戸建て住宅をグループホームに用途変更しても、耐火建築物にしなくてもいいってホント?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、2019年6月25日に施行された建築基準法改正のメイントピックの一つである、27条(耐火建築物等にしなければならない特殊建築物)の見直しについて解説します。

これまでは、階数3以上の特殊建築物だと、基本的には「耐火建築物」という選択しかありませんでした。ですが、今回の改正によって“小規模な建築物で、一定の条件を満たせば免除”といった緩和が追加されています。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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法27条(耐火建築物等とすべき特殊建築物)の基準が見直し

2019年6月25日施行の建築基準法改正によって、法27条(耐火建築物等とすべき特殊建築物)の基準が変更。

例えば、階数3の住宅をグループホーム(特殊建築物)に用途変更する場合、従来は耐火建築物への改修しか選択肢はありませんでした。

今回の改正により、200㎡未満の小規模建築物は耐火要求が免除されています。

出典:建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について

 

緩和①:『就寝用途以外の特殊建築物(飲食店など)』の耐火構造を免除する方法

以下にあてはまる建築物は、壁・柱などを耐火構造としなくてもOK。

建物規模:3階建て、かつ、延べ面積200㎡未満

 

緩和②:『就寝用途・医療福祉系の特殊建築物』の耐火構造を免除する方法

就寝用途・医療福祉系の建築物で、以下にあてはまる場合は、壁・柱などを耐火構造としなくてOK。

  • 建物用途:病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎及び児童福祉施設等(入所する者の寝室があるもの)
  • 建物規模:3階建て、かつ、延べ面積200㎡未満
  • 警報設備:自動火災報知設備などの設置
  • 防火区画:階段の安全措置

 

これまで、“建築基準法の別表第1に該当する特殊建築物”は、「階数3以上になると耐火建築物としなければならない」というのが、おおまかな考え方でした。(※木三共(木造3階建て共同住宅)など例外あり)

今回の法改正によって、『小規模な建築物であれば耐火構造が免除』という選択肢が増えたのが、とてつもなく大きなポイント。

 

『階段の安全措置』とは?小規模な建築物における竪穴区画の見直し

上記の緩和①の条件の一つ、『階段の安全措置』とは、ざっくり言うと『小規模な建築物における竪穴区画といったイメージ。

出典:建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について

法改正前は、3階建ての特殊建築物を設計すると『耐火建築物』が必須となっていたので…主要構造部が耐火構造となり、竪穴区画も強制的に設置でした。

ただ、今回の法改正によって、主要構造部の耐火構造が免除されたことで、竪穴区画まで無くなってしまうのは避難上の危険性が高い…。

 

そこで、現行の竪穴区画は残しつつ、少し基準を緩和した『小規模建築物における竪穴区画』が追加された、というわけですね。

 

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3階建の住宅などを他用途に転用しやすくするなる【用途変更に役立つ】

建築基準法27条の改正の主な目的は、『既存の戸建住宅等の活用』です。

例えば、木造3階建ての戸建住宅を、保育所などの特殊建築物へと用途変更したいとき、大きなハードルとなっていたのが、建築基準法27条でした。

 

3階建ての保育所へと建物の用途を変えると、法27条の規定によって建物全体を耐火建築物としなければならず…既存の建物の壁・柱などに耐火被覆を新たに施すというのは、施工面でも、コスト面でも、ほぼ不可能…。

家を借りる入居者も見つからないし、転用したいけど、なんとかならないものか…。

「既存建物を有効活用したい」という事業者は多かったと思いますが、法27条の基準が厳しいことによって、二の足を踏んでいた部分もありました。

 

今回の改正で、3階建ての特殊建築物でも小規模なものであれば耐火構造が免除できる緩和が追加されたので、用途変更がしやすくなりますね。

既存建築物の『用途変更』をこれから計画する設計者の方は、プロが読み解く 増改築の法規入門 増補改訂版は最低限読んでおくべき。建築基準法に違反しないために、最低でも押さえておきたい用途変更・増築の知識が得られる本です。

 

建築基準法改正後の『法27条』を読んでみる

改正後の建築基準法27条は、以下のとおり。

建築基準法を読むのが苦手という方は、建築法規PRO2020 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2020といった書籍で、図や表を見て理解するのがおすすめです。

第27条

耐火建築物等としなければならない特殊建築物

次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

一 別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(二)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。

以下省略

 

同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(二)項に掲げる用途で政令で定めるものの具体的な内容は、施行令110条の4に定められています。

(警報設備を設けた場合に耐火建築物等とすることを要しないこととなる用途)

第110条の4

法第27条第1項第一号の政令で定める用途は、病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎及び児童福祉施設等(入所する者の寝室があるものに限る。)とする。

 

政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものについては、施行令110条の5に定められています。

(警報設備の技術的基準)

第110条の5

法第27条第1項第一号の政令で定める技術的基準は、当該建築物のいずれの室(火災の発生のおそれの少ないものとして国土交通大臣が定める室を除く。)で火災が発生した場合においても、有効かつ速やかに、当該火災の発生を感知し、当該建築物の各階に報知することができるよう、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる警報設備が、国土交通大臣が定めるところにより適当な位置に設けられていることとする。

 

『法27条』の緩和方法は、国交省のWebサイトをチェック

建築基準法の改正内容について、この記事を読んだあとに、国土交通省のWebサイトも確認してください。

情報源を見ておかないと、自信を持って設計ができないからです。

 

このブログでざっくりした全体像をつかんでおいて、国土交通省のWebサイトにアップされた法文を確認するという流れが重要。

国交省の法改正情報のリンクを貼っておきますので、時間を見つけて読んでおき、確信を持って設計できるようにしておきましょう。

建築:建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

 

まとめ

  • 建築基準法の改正で、法27条(耐火建築物等とすべき特殊建築物)の基準が変わった。
  • 緩和①:『就寝用途以外の特殊建築物(飲食店など)』で以下にあてはまるものは、耐火構造を免除。
    • 建物規模:3階建て、かつ、延べ面積200㎡未満
  • 緩和②:『就寝用途のある特殊建築物』で以下にあてはまる場合は耐火構造を免除
    • 建物用途:病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎及び児童福祉施設等(入所する者の寝室があるもの)
    • 建物規模:3階建て、かつ、延べ面積200㎡未満
    • 警報設備:自動火災報知設備などの設置
    • 防火区画:階段の安全措置
  • 『階段の安全措置』とは、『小規模な建築物における竪穴区画』という新たな基準

 

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