容積率の緩和まとめ|備蓄倉庫・車庫・地下室・エレベーター等の免除

容積率_緩和集団規定
  • 容積率が緩和される基準を教えてほしい。
  • 車庫や共同住宅の廊下は緩和の対象?
  • 容積率が緩和される用途の一覧はある?

こんな疑問に答えます。

本記事では、建築基準法における『容積率の緩和』を適用するための基準についてまとめています。

車庫や備蓄倉庫など、容積率が緩和される建物用途や条件について知ることで、設計の自由度が高まるかと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談をうけて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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容積率の緩和基準まとめ【一覧表で解説】

容積率には、建築基準法にもとづく緩和があり、建物用途に応じて床面積の一部が計算から免除されます。

 

 容積率の緩和基準【一覧表】

設備・施設の名称概要不算入となる限度
地階の住宅・老人ホーム等住宅・老人ホーム・福祉ホームの居室、物置、廊下、階段、便所など住宅・老人ホーム等の床面積の1/3
昇降機(エレベーター)の昇降路ホームエレベーター、オープンタイプエレベーターなど限度なし(停止部分のすべて)
共同住宅・老人ホーム等の共用部廊下、階段、エントランスホールなど限度なし
自動車車庫など自動車・自転車の停留、駐車施設延べ面積の1/5
備蓄倉庫非常食料、救助物資などの保管倉庫延べ面積の1/50
蓄電池据置型、定置型の蓄電池と付加設備延べ面積の1/50
自家発電設備敷地内の建築物において、電気を消費することを目的として発電する設備延べ面積の1/100
貯水槽水を貯える槽で、内部に人が入ることのない構造延べ面積の1/100
宅配ボックス配送された物品の一時保管ができる荷受箱延べ面積の1/100

敷地内の建築物に上記の用途があれば、それぞれの「床面積不算入となる限度」まで、容積率の算定から除くことが可能。

 

例えば、250㎡の敷地に、車庫付きの共同住宅で延べ面積200㎡の建物を計画する場合で、床面積の内訳が以下だったとしましょう。

  • 住戸部分130㎡
  • 共用廊下20㎡
  • 車庫50㎡

この場合、「共同住宅の共用廊下・階段」と「車庫部分」は、容積率を算定するときの床面積から除かれます。

容積率_緩和事例

車庫は延べ面積の1/5までは容積率の算定から除外。

延べ面積200㎡×1/5=40㎡<50㎡(実際の車庫面積)

つまり、車庫面積のうち、40㎡までは容積率を計算するときの床面積から除けることに。

計算式に当てはめると、

容積率52%=(延べ面積200㎡-共用廊下20㎡-車庫40㎡)÷敷地面積250㎡

 

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『住宅・老人ホーム・福祉ホームの地下室』の容積率緩和

『住宅・老人ホーム・福祉ホームの地階』で、天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものは、”その用途部分の床面積の1/3”を限度として容積率の対象から免除。

「住宅の用途部分」の具体例は以下のとおり。

  • 住宅
  • 兼用住宅、併用住宅、長屋、共同住宅の住戸
  • 住戸利用者のために設けられた管理人室、トランクルーム、機械室、電気室など

 

『住宅・老人ホーム等の地下室』の容積率緩和を建築基準法で読む

『住宅・老人ホーム等の地下室』の容積率緩和は、建築基準法52条3項と4項に書かれています。

第52条

3 第1項(ただし書を除く。)、前項、【-中略-】に規定する建築物の容積率(第59条第1項、第60条の2第1項及び第68条の9第1項に規定するものについては、建築物の容積率の最高限度に係る場合に限る。第6項において同じ。)の算定の基礎となる延べ面積には、建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅又は老人ホーム、福祉ホームその他これらに類するもの(以下この項及び第6項において「老人ホーム等」という。)の用途に供する部分第6項の政令で定める昇降機の昇降路の部分又は共同住宅若しくは老人ホーム等の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分を除く。以下この項において同じ。)の床面積(当該床面積が当該建築物の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の1/3を超える場合においては、当該建築物の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の1/3)は、算入しないものとする。

4 前項の地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が3mを超える場合においては、その高低差3m以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。

 

『昇降機(エレベーター)の昇降路』の容積率緩和

昇降機(エレベーター)の昇降路となる部分は、容積率の対象から免除されます。

容積率緩和_エレベーター

「容積率から免除される昇降機」に、ダムウェーター(小荷物専用昇降機)やエスカレーターは該当しません。

 

「昇降機(エレベーター)の昇降路」の容積率緩和を建築基準法で読む

「昇降機(エレベーター)の昇降路となる部分」の容積率不算入については、建築基準法52条6項。

法52条

6 第一項、第二項、【-中略-】に規定する建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、政令で定める昇降機の昇降路の部分又は共同住宅若しくは老人ホーム等の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとする。

政令で定める昇降機は、建築基準法施行令135条の16に定められています。

(容積率の算定の基礎となる延べ面積に昇降路の部分の床面積を算入しない昇降機)

第135条の16 法第52条第6項の政令で定める昇降機は、エレベーターとする。

 

『自動車車庫・駐輪場』の容積率緩和

自動車車庫や自転車の駐輪場は、延べ床面積の1/5までは、容積率の対象から免除。

容積率緩和_車庫

 

「車庫等」の容積率緩和を建築基準法で読む

自動車車庫や自転車の駐輪場における容積率緩和は、建築基準法”施行令2条1項四号””施行令2条3項”に定められています。

第2条

四 延べ面積 建築物の各階の床面積の合計による。ただし、法第52条第1項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、次に掲げる建築物の部分の床面積を算入しない。

イ 自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む。)の用途に供する部分(第三項第一号及び第百三十七条の八において「自動車車庫等部分」という。)

中略

3 第1項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする。
一 自動車車庫等部分 1/5

以下省略

 

『備蓄倉庫』の容積率緩和

防災のために設ける備蓄倉庫は、延べ床面積の1/100まで容積率から免除。

備蓄倉庫とは、非常用の食料や応急救助物資などを保管するための防災専用倉庫のことで
利用者に見えやすい位置に「防災倉庫」と表示する必要があります。

防災備蓄倉庫_参考画像

出典:左の画像⇒星野総合商事㈱ 右の画像⇒㈱稲葉製作所

『備蓄倉庫』の容積率緩和Q&A

Q. 備蓄倉庫の対象者は?
A. 対象は限定されていません。建物の滞在者に提供するもの、地域住民に配るもの等が想定されるかと。

 

Q. 備蓄倉庫であることを表示するための仕様は?
A. 明確な規定はありませんが、以下の条件を満たすものです。
  • 容易に識別できる大きさの文字
  • 時間が経っても劣化しない塗料で作られているもの
  • 扉や壁面に表示して、固定すること

 

『蓄電池』の容積率緩和

蓄電池は、延べ床面積の1/50を限度として、容積率の対象から除外。

「蓄電池」とは、蓄電池の本体、蓄電池に電気を蓄えるために設けられる付加設備が対象。床に据えられて固定された、いわゆる据置型・定置型でないといけません。

 

『蓄電池』の容積率緩和Q&A

Q. 蓄電池に電気を蓄えるために設けられる付加設備の場所が、蓄電池本体と離れていても容積率免除の対象となる?
A. 蓄電池本体と付加設備が同じ室にある場合のみ免除の対象。

 

『自家発電設備』の容積率緩和

自家発電設備は、延べ床面積の1/100を限度として、容積率の対象から除外。

「自家発電設備」とは、同一敷地の建築物において電気を消費することを目的に発電する設備のこと。発電機の本体、発電機の稼働に必要な機器・燃料等も含まれます。

 

『自家発電設備』の容積率緩和Q&A

Q. 自家用と売電用を併用する発電設備は、容積率免除の対象にならない?
A. 自家発電設備で自家用に電気を供給してれば、余剰発電を充電していても容積率免除の対象となります。

 

Q. 自家発電設備室とは壁で区画されて隣接する”発電設備専用の旧廃棄ダクトスペース”も容積率の免除となる?
A. 自家発電設備室と別に区画された室は適用対象となりません。

 

Q. 非常用発電設備は、容積率免除の対象となる?
A. 容積率免除の対象となります。自家用に電気を供給するものだからです。

 

『貯水槽』の容積率緩和

貯水槽を設置する部分は、延べ床面積の1/50を限度として、容積率の算定から免除。

「貯水槽」とは、水を蓄える槽で、修理・清掃のときを除いて内部に人が入ることのない構造のもの。

水の使用目的はなんでもOK。

容積率緩和が適用できる水槽の具体例は、以下のとおり。

  • 上水の受水槽
  • 消防水槽
  • 貯湯槽
  • 蓄熱槽
  • 膨張水槽
  • 圧力水槽
  • エコキュートや電気温水器の貯水槽ユニット(貯水タンクのある機器)
  • 雨水利用・中水利用の貯水槽

 

『貯水槽』の容積率緩和Q&A

Q. 貯水槽のポンプ等の機械部分は、容積率免除の対象ですか?
A. 対象となりません。

 

『宅配ボックス』の容積率緩和

宅配ボックスは、延べ床面積の1/100を限度として、容積率の対象から除外。

容積率緩和_宅配ボックス_国交省

出典:国土交通省

容積率の緩和が適用される「宅配ボックスの設置部分」の具体例は以下のとおり。

  • 宅配ボックス本体の設置部分
  • 「宅配ボックス」の利用のために設ける区画、
  • 配達された物品の預け入れ・取り出しをする部分

壁で囲まれていなくても、宅配ボックスを利用する空間として、明確に区画されていれば容積率の免除対象となります。

 

『共同住宅・老人ホーム・福祉ホームの共用廊下・階段』の容積率緩和

共同住宅・老人ホーム・福祉ホームの共用廊下や共用階段は、容積率の算定となる床面積から免除されます。

容積率緩和_共用部

 

容積率対象から除外される共用部の事例は以下のとおり。

  • 共用廊下
  • 共用階段(屋内階段・屋外階段含む)
  • エントランスホール
  • エレベーターホール
  • 特別避難階段の附室
  • エントランスと一体で利用するメールコーナー
  • 屋上へ通じる廊下・階段
  • 共用の車庫・倉庫へ通じる廊下・階段

容積率の緩和が適用されるのは、「共同住宅の共用部」であり、寄宿舎や下宿は含まれていないのでご注意を。

 

まとめ

  • 住宅・老人ホーム等の地階で、天井が地盤面からの高さ1m以下にあるもの:”住宅・老人ホーム部分の床面積の1/3”を限度として容積率から免除。
  • 昇降機(エレベーター)の昇降路:容積率から免除。
  • 自動車車庫・自転車駐輪場:延べ床面積の1/5まで容積率から免除。
  • 防災のために設ける備蓄倉庫:延べ床面積の1/100まで容積率から免除。
  • 蓄電池:延べ床面積の1/50まで容積率から免除。
  • 貯水槽:延べ床面積の1/50まで容積率から免除。
  • 宅配ボックス:延べ床面積の1/100まで容積率から免除。
  • 共同住宅・老人ホーム等の共用廊下・共用階段:容積率から免除。