用途地域がまたがるときの建築制限を解説【建ぺい率・容積率にも影響あり】

用途地域_またがる集団規定
  • 用途地域が2つ以上またがる敷地での建築物の制限について知りたい。
  • 2つの用途地域の敷地面積を比べて、過半を占める用途地域が適用される?それとも両方の地域の制限がかかる?

こんな疑問に答えます。

本記事では、計画敷地に2つの用途地域がまたがるときの建築制限について解説。

2以上の用途地域の境界線上にある敷地は意外と多いので、建築設計を続けているといつかは出会います。

記事を読んでもらえれば、用途地域がまたがる敷地で計画するときの「建物用途の制限」や「建ぺい率・容積率の按分計算の方法」がわかるかと。

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住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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用途地域がまたがるときの建築制限(法48条)

Q. 敷地の中で、2つの用途地域がまたがるとき、建築可能な建物用途は、どのように判断すればいいですか?
A. 敷地面積の過半を占める用途地域の建築制限が適用されます。

例えば、敷地内に”一種住居地域”と”二種住居地域”の境界がある場合、まずはそれぞれの用途地域ごとの敷地面積を算出します。

敷地面積が200㎡として、、、

  • 一種住居地域:120㎡
  • 二種住居地域:80㎡

上記の割合だと、過半の敷地面積を占める”一種住居地域”の建物用途の制限が適用されるということ。

用途地域がまたがる敷地_法48条

「用途地域ごとの建物用途制限(法48条)」に関する一覧表が見たい方は、[用途地域別]建築可能な建物用途の一覧表|建築基準法(別表第2)を見やすく整理という記事をどうぞ。

[用途地域別]建築可能な建物用途の一覧表|建築基準法(別表第2)を見やすく整理
用途地域によっては建築できない建物用途がある?各用途地域に建築可能な建物用途がわかる一覧表ってない?こんな疑問に答えます。本記事では『用途地域ごとに建築可能な建物をまとめた一覧表』を公開。設計中の建物が「用途地域の建築制限に適合しているか」簡単に判定できます。

 

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用途地域がまたがるときの建ぺい率(法52条)・容積率(法53条)

Q. 用途地域がまたがるときの指定建ぺい率・指定容積率は過半の地域の数値を採用すればいいですか?
A. 答えはNOです。
指定建ぺい率、容積率は按分計算で求める必要があります。

用途地域がまたがる敷地の建ぺい率・容積率は「建物用途の制限(法48条)」とは異なります。

例えば、敷地面積200㎡の敷地で、2つの異なる用途地域にまたがっているとき、容積率の按分(あんぶん)計算の方法は以下のとおり。

 

用途地域がまたがる敷地_法53条

2つの用途地域が敷地内にあり、それぞれの指定容積率・建ぺい率の限度が異なるときは、「按分計算をおこなうことで建ぺい率・容積率の限度が決まる」ということ。

按分計算の方法は、建築基準法の法文には書かれてません。本サイトや建築法規PRO2020 図解建築申請法規マニュアルなどの書籍を参考にしてみてください。

 

用途地域が2つまたがるとき、建物全体が片方の地域に収まっていたら?

Q. 敷地の中で用途地域が2つあるときに、ひとつの用途地域に建物が収まっていれば、「敷地の過半を占める用途地域」の適用は受けない?
A. 間違いです。
あくまでも”用途地域内における建物用途の制限(法48条)”は、敷地の過半を占める地域の基準が適用されます。

 

用途地域_建物が片方の地域に収まるときの図

 

例えば、一種住居地域と二種住居地域が敷地内でまたがるときに、一種住居が過半を占めていたとしましょう。

そんな場合でも、「建物が二種住居地域内に収まっていれば、一種住居に建てられない建物でも建築可能か?」という質問。

答えはNOですね。

用途地域がまたがるときは過半の地域を採用。

 

この質問をした設計者の方は、”ひとつの敷地に防火地域と準防火地域がまたがるときの考え方”と混同していたようです。

防火地域・準防火地域の境界が敷地内にあるときに、準防火地域内に建物全体が入っていれば、防火地域の適用を受けません。用途地域内における建築制限(法48条)の考え方とは異なります。

混乱しないように整理しておきましょう。

 

”用途地域がまたがるときの取り扱い”を建築基準法で読んでみる

用途地域がまたがるときの取り扱いは、建築基準法91条に定められています。

(建築物の敷地が区域、地域又は地区の内外にわたる場合の措置)

第91条

建築物の敷地がこの法律の規定第52条、第53条、第54条から第56条の2まで、第57条の2、第57条の3、第67条第1項及び第2項並びに別表第三の規定を除く。以下この条において同じ。)による建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する禁止又は制限を受ける区域(第22条第1項の市街地の区域を除く。以下この条において同じ。)、地域(防火地域及び準防火地域を除く。以下この条において同じ。)又は地区(高度地区を除く。以下この条において同じ。)の内外にわたる場合においては、その建築物又はその敷地の全部について敷地の過半の属する区域、地域又は地区内の建築物に関するこの法律の規定又はこの法律に基づく命令の規定を適用する。

用途地域内の建築制限は、建築基準法48条の規定なので、上記の青字部分の除外規定には含まれていません。

だから、過半の属する敷地の用途地域制限が適用されるわけですね。

 

まとめ

  • 敷地の中で2つの用途地域がまたがるとき、敷地面積の過半を占める用途地域の建築制限が適用される。
  • 2つの用途地域が敷地内にあり、それぞれの指定容積率・建ぺい率の限度が異なるときは、按分計算をおこなうことで建ぺい率・容積率の限度が決まる。