病院と診療所の違い|建築基準法による定義【特殊建築物の区分も解説】

病院と診療所の違い 集団規定
  • 病院と診療所の違いは?
  • 建築基準法と医療法で定義が異なる?
  • 特殊建築物に当てはまるかどうかが知りたい。

こんな疑問や要望に答えます。

本記事では、建築基準法における「病院」と「診療所」の違いについて、わかりやすく解説。

建物用途ごとに異なる法規制(用途地域の建築制限・防火避難規定など)を正しく理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

Sponsored Links

病院と診療所の違い

「病院」と「診療所」は、医療法によって定義されており、主に病床数(入院用ベッドの数)で区別されます。

医療法による区分

  • 病院:入院用ベッドが20床以上
  • 診療所:ベッドなし、またはベッドが19床以下

「病院」は20床以上の病床を有する医療施設。建築基準法では「特殊建築物」として、厳しい防火や避難、構造に関する規制が適用されます。

対して、「診療所」は病床が19床以下、あるいは無床の施設を指し、一般建築物扱いで規制は比較的ゆるやかです。

ただし、診療所であっても1床以上の病床(入院用ベッド)がある場合は、「特殊建築物」となるので注意しましょう。

 

Sponsored Links

病院の定義

病院とは、入院収容施設が20床以上ある医療機関です。

医療法による定義は以下のとおり。

第一条の五

この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ、運営されるものでなければならない。

病院は科学的かつ適正な診療を提供できるものであることや、設備面でも充実が求められていますね。

 

診療所の定義

診療所とは、医業や歯科医業を行う場所で、入院用のベッドが19台以下の医療機関です。

医療法による定義は以下のとおり。

第一条の五

中略

2 この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。

施設の名称は『クリニック』や『医院』など自由につけられるものの、『病院』という名称は法律上、使用できません。

診療所は主に外来診療を中心に行い、地域の初期診療を担うことが多いですね。

 

用途地域ごとの建築可否

病院と診療所について、用途地域における建築可否を一覧表にまとめました。

用途地域 診療所 病院
第一種低層住居専用地域 ×
第二種低層住居専用地域 ×
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域 ×
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域 ×
工業専用地域 ×

関連記事

診療所

診療所は、すべての用途地域で建築可能です。

第一種低層住居専用地域など、住居系の地域にも建築できます。

病院

病院は、建築できない用途地域が複数あります。

病院は救急車の出入りがあり、騒音や交通量の増加が懸念されるため、住居系地域では建築が制限されていますね。

 

特殊建築物に当てはまるか否か

病院と診療所がそれぞれ特殊建築物に該当するかを整理すると、以下のとおり。

  • 病院:特殊建築物に該当。
  • 診療所:病床がある場合は、特殊建築物に該当。
施設の種類 病床数 建築基準法上の分類 主な特徴
病院 20床以上 特殊建築物 厳しい防火・避難規制あり
診療所(有床) 1床以上19床以下 特殊建築物 病院と同様の厳しい規制が適用
診療所(無床) 0床 一般建築物 通常の建築基準適用、特殊規制なし

病院は不特定多数の人が利用し、体調の悪い患者も多いことから、災害時に備えた避難経路や防火設備など厳しい規制が課せられます。

診療所は、病床が1床でもあると「特殊建築物」に該当。病院と同様の規制が適用されるため注意が必要です。

ちなみに、「病床がない診療所(無床診療所)」は一般建築物。特殊建築物ではありません。

事務所などと同様の建築基準が適用され、防火避難規定における規制はゆるめです。

 

防火・避難上の制限

「病院」と「有床の診療所」は特殊建築物に当てはまるため、建築基準法における防火・避難規定が適用されます。

防火に関する規定

病院と有床診療所は、規模・階数によって「耐火建築物」または「準耐火建築物」とする必要があります。

避難に関する規定

各階の床面積に応じて「2つ以上の階段」など、複数の避難経路が必要。

非常用照明の設置も求められます。

 

建築基準法を読む

「病院」および「有床の診療所」において、耐火建築物または準耐火建築物としなければならない階数や規模は、建築基準法27条に規定されています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2026 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2026といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)

第二十七条 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その特定主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために特定主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

一 別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの(階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(二)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。)

二 別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分(同表(一)項の場合にあつては客席、同表(二)項及び(四)項の場合にあつては二階の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計が同表(は)欄の当該各項に該当するもの

以下省略

 

まとめ

  • 医療法による区分
    • 病院:入院用ベッドが20床以上
    • 診療所:ベッドなし、またはベッドが19床以下
  • 用途地域の建築制限
    • 診療所:すべての用途地域で建築可能。
    • 病院:建築できない用途地域が複数あり。
  • 建築物の区分
    • 病院:特殊建築物に該当。
    • 診療所:病床がある場合は、特殊建築物に該当。

人気記事 転職3回の一級建築士が語る。おすすめ転職サイト・転職エージェント

人気記事 副業ブログで月5万円を目指すには? 始め方とおすすめの収益化方法

人気記事 一級建築士試験のおすすめ資格学校・アプリ【総合資格とスタディング】