
- 旗竿地(はたざおち)って何?
- 旗竿地に家を建てるときのデメリットが知りたい。
- 旗竿地にかかる建築基準法の制限はある?
こんな疑問に答えます。
本記事では、旗竿地に建築物を建てるときにかかる建築基準法の制限について解説。
旗竿地は建物から道路までの距離が長く、避難に支障が出るケースもあるため、法律や条例による制限が多数あります。
記事を読めば、旗竿地での建築計画に必要な知識はおおむね身につくかと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。
住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。
旗竿地(路地上敷地)とは
旗竿地(はたざおち)とは、道路から建物に至るまでに、細い通路上のアプローチがある敷地のこと。
上空から見ると「竿に旗をつけたような形」に見えることから「旗竿地」と呼ばれいています。

別名で「路地上(ろじじょう)敷地」と呼ぶことも。
旗竿地は、不動産の観点から以下のメリットがあると言われており、都市部の狭小地において家を建てるケースが多いです。
- 土地の価格が安い
- 道路から離れているので静かに暮らせる
- 路地を活かしたアプローチが造れる
旗竿地に建築する利点はあるものの、建築基準法における制限が厳しくなるというデメリットもあります。
ここからは、旗竿地で建築設計するときの法律面での注意点をまとめていきます。
旗竿地における接道幅の算定位置
旗竿地では、専用通路部分の最も狭い位置で、2m以上の幅を確保する必要があります。
建築基準法では、敷地に道路が2m以上接してなくてはいけません。
さらに旗竿地では、接道幅の要件が厳しくなり、専用通路のどこを測定しても2つ以上の通路幅が必要となります。
【旗竿地】代替進入口(非常用進入口に代わる開口部)の位置
旗竿地で3階建ての建物を設計するときは、代替進入口(非常用進入口に代わる開口部)の位置が重要。
代替進入口は道路から見える位置に設置する必要があり、以下のような基準が定められています。
- 建築物の用途は、特殊建築物以外の用途であること
- 道から直接確認できる位置に代替進入口、もしくはバルコニーがあること
- 道路境界線から20m以内に代替進入口(バルコニーでも可)が設置されていること
- 専用通路の幅が全て2m以上であること
特定行政庁によっては、異なる見解を示している地域もあるので、詳しくはプロのための 主要都市建築法規取扱基準やインターネット上に掲載された情報を調べてみてください。
例えば、横浜市では別の解釈が書かれています。
特定行政庁が旗竿地の代替進入口の取り扱いを公開していない場合は、全国的な指針である建築物の防火避難規定の解説にしたがって設計しましょう。
旗竿地に適用される条例【具体例で解説】
計画敷地の市町村によっては条例で、2mを超える通路幅が必要となるケースがあります。
例えば、京都市の建築基準条例であれば、以下のとおり。
(路地状部分の建築制限等)
第5条
都市計画区域内において,建築物の敷地が幅員が8メートル未満の路地状の部分(以下「路地状部分」という。)のみにより道路に接するときは,路地状部分の1の幅員は,次の表の左欄に掲げる路地状部分の長さに応じ,同表の右欄に掲げる数値以上としなければならない。

通路の奥行きが長くなればなるほど、災害時の逃げ遅れや消防隊による救出活動に支障が出るため、より広い幅員が求められるわけですね。
【旗竿地】住宅の間取りでは採光窓の配置がポイント
旗竿地は、道路に面して窓が取れないため、居室への採光をどう採るかが設計のポイント。
特に、戸建て住宅居室に採光に有効な窓の設置が必須なので、間取りを慎重に考えましょう。
どうしても隣地との空きがとれず、採光無窓となる場合は、トップライト(天窓)の設置が必要ですね。

検査機関で審査をしていたときも、シビアに採光補正係数の計算をすると、NGとなった物件がいくつかありました…。
まとめ
- 旗竿地(はたざおち)とは、細い通路上のアプローチがある敷地。
- 旗竿地は、専用通路の最も狭い位置で、2m以上の幅を確保する必要あり。
- 旗竿地で3階建ての建物を設計するときは、代替進入口の位置が重要。
- 建築物の用途は、特殊建築物以外の用途であること
- 道から直接確認できる位置に代替進入口、もしくはバルコニーがあること
- 道路境界線から20m以内に代替進入口(バルコニーでも可)が設置されていること
- 専用通路の幅が全て2m以上であること
- 市町村の条例で、2mを超える通路幅が必要となるケースあり。
- 旗竿地は、道路に面して窓が取れないため、居室への採光がとりづらい。