耐火建築物としなければならない特殊建築物|建築基準法27条を解説

耐火建築物としなければならない特殊建築物 防火規定
  • 特殊建築物は、耐火建築物としなければいけない?
  • 耐火建築物とすべき建物用途・規模・階数が知りたい。
  • 事務所は、耐火構造で設計しなくてもOK?

こんな悩みに答えます。

 

本記事では、耐火建築物としなければならない建築物(建築基準法27条)について解説。

特殊建築物の設計をする方にとって、欠かせない知識です。

”特殊建築物”や”耐火建築物”といった用語の意味が知りたい方は、先に以下の記事をご確認ください。

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耐火建築物としなければならない特殊建築物【法27条・別表1】

建築基準法の別表第1に当てはまる建築物は、階数・床面積に応じ、耐火建築物 (または準耐火建築物)として設計しなければなりません。

これは、法27条による制限。

規制内容をおおまかにまとめると、下表のとおりです。

用途 階数・規模 「耐火建築物 or 準耐火建築物」の種別
1
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場 3階以上 耐火建築物
客席が200㎡(屋外観覧席は1000㎡)以上 準耐火建築物
2
病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅(木三共を除く)、寄宿舎、児童福祉施設等 3階以上 耐火建築物
2階が300㎡以上 準耐火建築物
3
学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場 3階以上 耐火建築物
2000㎡以上 準耐火建築物
4
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗(床面積>10㎡) 3階以上 耐火建築物
2階が500㎡以上 準耐火建築物
5
倉庫 3階以上の部分が200㎡以上 耐火建築物
1500㎡以上 準耐火建築物
6
自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ 3階以上 耐火建築物
150㎡以上 準耐火建築物
除外 ※以下の用途に当てはまり、階数3・延べ面積200㎡未満で、警報設備を設けたものは上記から除かれます。

  • 病院
  • ホテル
  • 共同住宅
  • 寄宿舎
  • 児童福祉施設等

特殊建築物が耐火性能に関する制限を受けるのは、以下のような理由で火災時の危険性が高いからですね。

  • 多くの人が利用する建築物(病院、共同住宅、 学校、児童福祉施設など):避難が難しい
  • 火災荷重が大きな建築物(自動車車庫・倉庫など):炎が燃えひろがりやすい

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準耐火建築物としなければならない危険物の数量

危険物の貯蔵場または処理場で、下表の数量を超える場合は、準耐火建築物(または耐火建築物)で設計する必要があります。

危険物の種類 常時貯蔵の数量 以下のいずれかで処理する場合の数量

  • 製造所
  • 他の事業を営む工場
火薬類(玩具煙火を除く) 火薬 20t 10t
爆薬 20t 5t
工業雷管及び電気雷管 300万個 50万個
実包 1000万個 5万個
信管及び火管 10万個 5万個
マッチ 300マッチトン 300マッチトン
可燃性ガス 700㎥ 2万㎥
圧縮ガス 7000㎥ 20万㎥
液化ガス 70t 2000t

 

Q&A

建築基準法の27条に関して「よくある質問」をまとめました。

  • 事務所ビルの設計における耐火建築物の可否について
  • 工場の耐火建築物の可否について

 

3階建ての事務所は耐火建築物としなければならない?

Q. 3階建ての事務所ビルは耐火建築物としなければならない?
A. 事務所は特殊建築物ではないため、法27条の対象外となります。よって、耐火建築物が必須となるわけではありません。

ただし、防火地域・準防火地域で設計する場合は、法61条によって耐火建築物が要求されることもあります。

建築基準法の全体をみたうえで、総合的な判断が必要ですね。

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工場は法27条の規制がかかる?

Q. 工場は、階数・規模に応じて耐火建築物としなければいけない?
A.  自動車修理工場であれば、階数・規模に応じて耐火建築物とすべきケースがあります。その他の工場は、別表第一の特殊建築物に該当しないため、法27条の規制対象外です。

 

建築基準法27条を読む

”耐火建築物等としなければならない特殊建築物”は、建築基準法27条に定められています。

「建築基準法を読みたくない」という場合は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル 建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

第二十七条

次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

一 別表第一(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもの(階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(二)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。)

二 別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分(同表(一)項の場合にあつては客席、同表(二)項及び(四)項の場合にあつては二階の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計が同表(は)欄の当該各項に該当するもの

三 別表第一(い)欄(四)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が三千平方メートル以上のもの

四 劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が一階にないもの(階数が三以下で延べ面積が二百平方メートル未満のものを除く。)

2 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物としなければならない。

一 別表第一(い)欄(五)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する三階以上の部分の床面積の合計が同表(は)欄(五)項に該当するもの

二 別表第一(ろ)欄(六)項に掲げる階を同表(い)欄(六)項に掲げる用途に供するもの

3 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物(別表第一(い)欄(六)項に掲げる用途に供するものにあつては、第二条第九号の三ロに該当する準耐火建築物のうち政令で定めるものを除く。)としなければならない。

一 別表第一(い)欄(五)項又は(六)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が同表(に)欄の当該各項に該当するもの

二 別表第二(と)項第四号に規定する危険物(安全上及び防火上支障がないものとして政令で定めるものを除く。以下この号において同じ。)の貯蔵場又は処理場の用途に供するもの(貯蔵又は処理に係る危険物の数量が政令で定める限度を超えないものを除く。)

建築基準法の別表1に類する用途が、施行令115条の3に規定されています。

耐火建築物等としなければならない特殊建築物

第百十五条の三

法別表第一(い)欄の(二)項から(四)項まで及び(六)項(法第八十七条第三項において法第二十七条の規定を準用する場合を含む。)に掲げる用途に類するもので政令で定めるものは、それぞれ次の各号に掲げるものとする。

一 (二)項の用途に類するもの 児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む。以下同じ。)

二 (三)項の用途に類するもの 博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場

三 (四)項の用途に類するもの 公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗(床面積が十平方メートル以内のものを除く。)

四 (六)項の用途に類するもの 映画スタジオ又はテレビスタジオ

法27条3項二号にもとづく危険物の数量は、建築基準法施行令116条に規定。

(危険物の数量)
第百十六条 法第二十七条第三項第二号の規定により政令で定める危険物の数量の限度は、次の表に定めるところによるものとする。

以下省略

 

まとめ

  • 別表第1に定められた特殊建築物は、階数・床面積に応じ、耐火建築物等で設計しなければならない。
  • 危険物の貯蔵場または処理場で、規定の数量を超える場合は、準耐火建築物(または耐火建築物)で設計。
  • 事務所は特殊建築物ではないため、法27条の対象外。
  • 自動車修理工場以外の工場は、法27条の規制対象外。

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