- 胴縁(どうぶち)って何?
- 縦胴縁と横胴縁の違いは?
- 胴縁の一般的な寸法を知りたい。
こんな疑問に答えます。
本記事では、建築物の外壁に設ける「胴縁」について、図を使いながらわかりやすく解説。
記事を読むことで、胴縁が果たす役割、建物の耐久性を高めるために効果的な配置を理解することができます。
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住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
胴縁とは【外壁の下地部材】
胴縁(読み:どうぶち)とは、柱や梁などの構造部材に、羽目板やボード類または波形鉄板などを取り付けるために設ける下地部材です。
✓ 胴縁の目的
- 壁の強度を高める
- 木造の通気工法において空気の通り道をつくる
【役割①】壁の強度を高める
厚みの薄い外壁材は強度が低く、柱や梁に留め付けただけでは、曲がってしまうおそれがあります。
胴縁を細かく配置し、壁を留め付けることで強風を受けても外壁材が飛ばないよう補強します。
【役割②】通気工法において空気の通り道をつくる
木造の建築物において、外壁に通気工法を採用する場合、胴縁が大きな役割を果たします。
柱や間柱(の上に張った透湿防水シート)と外壁材の間に胴縁を設置し、その厚みが通気層となります。
通気工法によって、空気の通り道をつくることで壁の内部の湿度が適正に保たれるわけですね。
胴縁を設置する建築物
胴縁を設置する主な建築構造は以下のとおり。
- 木造
- 鉄骨造
RC造(鉄筋コンクリート造)など、外壁材が単体でも風圧力に耐えられる構造では、胴縁を設置しません。
胴縁材の断面寸法
胴縁材の寸法は、木造と鉄骨造で異なります。
✓ 木造における胴縁の寸法例
13㎜×45㎜から18㎜×45㎜の間でサイズを決めることが多いでしょう。
✓ 鉄骨造における胴縁の寸法例(単位:㎜)
- C形鋼:C-100×50×20×2.3以上
- 角形鋼:□-100×50×2.3以上
胴縁の間隔
胴縁ごとの取り付け間隔は、木造と鉄骨造で異なります。
✓ 木造の取付間隔
一般的には、303mm(一尺)か455mm(一尺五寸)の間隔で設計されます。
ただし、サイディング材のメーカー各社が定めた取扱説明書や施工マニュアル等によって寸法を指定されていることもあるため注意が必要。
✓ 鉄骨造の取付間隔
最大610mm以下となるよう施工します。606mm間隔が一般的です。
縦胴縁と横胴縁の違い
胴縁は取り付ける方向によって、以下のように呼び方が変わります。
- 縦胴縁(たてどうぶち):縦方向に取り付ける胴縁。梁や土台に垂直に設置。
- 横胴縁(よこどうぶち):横方向に取り付ける胴縁。柱や間柱に水平に設置。
縦胴縁は、外壁内に下部から上部へとまっすぐ隙間が空くため、通気が機能しやすいという特徴があります。
空気は温まると上昇することから、熱気が下から上へと移動して排気されます。
サイディングを縦に張るときは横胴縁となるため、空気の流れを遮らないよう、30mm以上の通気スペースを1820mm間隔で設けます。
野縁と胴縁の違い
野縁(のぶち)とは、主に天井の下地に使われる角材のこと。
天井板を打ちつけるための下地骨ですね。
天井仕上げ工事において、仕上げ材を張り付けるときの下地として使用されます。
✓ 野縁と胴縁の違い
- 野縁:天井の下地材
- 胴縁:壁の下地材
まとめ
- 胴縁とは、柱や梁などに外壁材を取り付けるために設ける下地。
- 胴縁の目的
- 壁の強度を高める
- 木造の通気工法において空気の通り道をつくる
- 胴縁を設置する主な建築構造
- 木造
- 鉄骨造
- 胴縁の寸法例
- 木造:6分×1寸5分(18㎜×45㎜)
- 鉄骨造
- C形鋼:C-100×50×20×2.3以上
- 角形鋼:□-100×50×2.3以上
- 胴縁の取付間隔
- 木造:303mm(一尺)または、455mm(一尺五寸)
- 鉄骨造:606mm
- 胴縁に関する用語
- 縦胴縁:縦方向に取り付ける胴縁
- 横胴縁:横方向に取り付ける胴縁
- 野縁と胴縁の違い
- 野縁:天井の下地材
- 胴縁:壁の下地材
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