- すみ肉溶接って何?
- 記号の読み方や描き方は?
- 「脚長」や「のど厚」といった用語の意味も知りたい。
こんな疑問に答えます。
本記事では、「すみ肉溶接」についてわかりやすく解説。
建築に使用される代表的な溶接は、 継目の形状から3つに分類されます。
- 突合せ溶接
- すみ肉溶接
- 部分溶込み溶接
記事を読むことで、鉄骨造の建築計画に欠かせない溶接への理解が深まります。
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住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
すみ肉溶接とは
すみ肉溶接とは、母材(溶接する鋼板)を重ねたり、T字形に接合する場合に用いられる方式です。
溶接継手の断面においては、二つの部材面の間に三角形の溶接金属を形成します。
部材の開先を設けずに隅部だけで溶接。溶接棒を溶かしてつないだ部分のみ応力を伝達します。
すみ肉溶接の結合強度は低いため、一般的に引張力のかかる部分には使用しません。梁の「ウェブ」などせん断力のかかる部分に用いられます。
すみ肉溶接を示す記号
すみ肉溶接の記号はJIS規格で定められており、以下の部分で構成されます。
- 基本記号:すみ肉溶接を示す記号。基線の下にある三角形
- 引き出し線:矢につながる斜めの線
- 基線(きせん):引き出し線につながる水平な線
- 矢:左下の矢印の部分
- 尾:くの字
母材の開先方向は基本記号を基線の下側に描くか、上側に描くかで区別します。
たとえば、設計者がT継手の右側を脚長6ですみ肉溶接してもらいたいときは、図面上に以下のように記します。
すみ肉溶接の「脚長」とは
脚長とは、すみ肉溶接(三角形の断面をもつ溶接)において、根元の部分(すみ肉継手のルート)から止端(母材の面と溶接ビードの表面とが交わる点)までの距離のこと。
縦方向の脚長と横方向の脚長寸法が等しいものは「等脚」、異なるものは「不等脚」と呼ばれます。
すみ肉溶接の「のど厚」とは
のど厚とは、すみ肉溶接(三角形の断面をもつ溶接)において、溶接金属の余盛りの部分を除いた断面の厚さです。
「余盛り」は大きく盛りすぎると、応力集中が起きやすく、ひび割れ等の原因となるため注意が必要です。
すみ肉溶接の「サイズ」とは
サイズとは、すみ肉の溶接金属の大きさを示すために用いる寸法です。
板厚の異なるものを溶接する場合は、すみ肉溶接のサイズを薄いほうの母材以下とするのが原則。
サイズを不必要に大きくすると、以下のような問題があるからですね。
- 平均破壊応力度が小さくなる。
- 入熱の増大によって、ひずみが大きくなる。
- 溶接費が増える。
まとめ
- すみ肉溶接とは、母材(溶接する鋼板)を重ねたり、T字形に接合する場合に用いられる方式。
- すみ肉溶接の記号
- 基本記号
- 引き出し線
- 基線(きせん)
- 矢
- 尾
- すみ肉溶接に関する用語
- 脚長:根元の部分から止端までの距離。
- のど厚:溶接金属の余盛りの部分を除いた断面の厚さ。
- サイズ:すみ肉の溶接金属の大きさを示すために用いる寸法。
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