
- 突き合わせ溶接って、どんな溶接方式?
- 記号の読み方が知りたい。
- 突き合わせ溶接の脚長は?
こんな疑問に答えます。
本記事では、建築構造における溶接方式の一つ「突き合わせ溶接」についてわかりやすく解説。
✓ 溶接方式の種類
- 突き合せ溶接(完全溶け込み溶接)
- すみ肉溶接
- 部分溶け込み溶接
記事を読むことで「突き合わせ溶接」の定義や記号の読み方など、主に鉄骨造の設計で欠かせない基礎知識が身につきます。

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突き合わせ溶接(完全溶け込み溶接)とは
突き合わせ溶接とは、母材どうしを接合するのに用いる溶接です。接合部に開先と呼ばれる溝を設けて、母材と溶接棒を溶かし、母材を一体化します。
部材どうしを溶かして一体化するため、 応力の伝達がスムーズになるというメリットがありますね。
使用する鋼板よりも強度の高い溶着金属を使用することによって、溶接する鋼板と同等の強度をもたせることが可能に。

許容応力度は溶接する鋼板と等しくすることができます。
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突き合わせ溶接の記号の書き方
開先の形状がV型の場合、溶接記号は以下のとおり。
開先の形状がI型の場合は、下図のように示します。
突き合わせ溶接の「のど厚」とは
のど厚とは、溶接の厚みです。
溶接する板の厚みが異なる場合、有効のど厚は薄い方の板の厚みで決まります。

「有効のど厚」は、有効にはたらく溶接の厚み。溶接をする板の厚みと等しくとります。
突き合わせ溶接の「開先」とは
開先(読み:かいさき)とは、溶接する鋼板の端部を切り欠いてつくった溝です。
主な開先は2種類。
- V型
- I型
V型
V型の開先は、開先取りが必要となるため前処理が必要。
溝の間隔がI型よりも広いことから、溶接棒を使用する量が多くなるものの、強度は高くなります。
I型
I型の開先は、前処理なしで作業できるため、V型に比べて簡易です。
溶接棒の使用も少なく済みますね。
突き合わせ溶接の「余盛高さ」とは
余盛高さとは、母材の表面を基準として溶接ビードの高さを示す数値です。
余盛は多すぎても、少なすぎても施行不良とみなされます。

母材よりも滑らかに膨らみ、一定の高さを保つ施工が求められるわけですね。
突き合わせ溶接の「エンドタブ」とは
エンドタブとは、溶接の施行中に開始点と終点へ設ける鋼片です。
溶接を終えると、エンドタブをはずして完成。
溶接は開始点と終了点で不完全になるもの。エンドタブを使用することで、溶接部を全長にわたって良好に仕上げることができます。
有効断面積の算定方法
突き合わせ溶接の有効断面積を求める計算式は以下のとおり。
l : 有効長さ(cm)
a: 有効のど厚 (cm)
有効長さは、溶接が全長にわたって良好であれば、部材幅と等しくとることができます。
突き合わせ溶接とすみ肉溶接の違い
すみ肉溶接とは、母材(溶接する鋼板)を重ねたり、T字形に接合する場合に用いられる方式です。
溶接継手の断面においては、二つの部材面の間に三角形の溶接金属を形成します。
✓ 「突き合わせ溶接」と「すみ肉溶接」の違い
- 突き合わせ溶接:2つの材料の端を直接接触させ、溶接する方法。
- すみ肉溶接:2つの材料が直角に交差する場所で行われる溶接方法。
詳しくは、すみ肉溶接とは|記号の書き方、脚長・サイズ・のど厚の意味を解説をご確認ください。
まとめ
- 突き合わせ溶接とは、母材どうしを接合するのに用いる溶接。
- のど厚とは、溶接の厚み。
- 開先とは、溶接する鋼板の端部を切り欠いてつくった溝。
- 余盛高さとは、母材の表面を基準として溶接ビードの高さを示す数値。
- エンドタブとは、溶接の施行中に開始点と終点へ設ける鋼片。
- 突き合わせ溶接の有効断面積を求める計算式
- A=l・a
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