突き合わせ溶接(完全溶け込み溶接)とは|溶接記号・余盛高さを図解

突き合わせ溶接 構造規定
  • 突き合わせ溶接って、どんな溶接方式?
  • 記号の読み方が知りたい。
  • 突き合わせ溶接の脚長は?

こんな疑問に答えます。

本記事では、建築構造における溶接方式の一つ「突き合わせ溶接」についてわかりやすく解説。

溶接方式の種類

  1. 突き合せ溶接(完全溶け込み溶接)
  2. すみ肉溶接
  3. 部分溶け込み溶接

記事を読むことで「突き合わせ溶接」の定義や記号の読み方など、主に鉄骨造の設計で欠かせない基礎知識が身につきます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

Sponsored Links

突き合わせ溶接(完全溶け込み溶接)とは

突き合わせ溶接とは、母材どうしを接合するのに用いる溶接です。接合部に開先と呼ばれる溝を設けて、母材と溶接棒を溶かし、母材を一体化します。

母材(読み:ぼざい):溶接・ブレーズ溶接・ろう接で、接合または肉盛りされる材料。金属材料の場合は、母材金属ともいう。

突き合わせ溶接とは

部材どうしを溶かして一体化するため、 応力の伝達がスムーズになるというメリットがありますね。

使用する鋼板よりも強度の高い溶着金属を使用することによって、溶接する鋼板と同等の強度をもたせることが可能に。

許容応力度は溶接する鋼板と等しくすることができます。

関連記事

 

Sponsored Links

突き合わせ溶接の記号の書き方

開先の形状がV型の場合、溶接記号は以下のとおり。

突き合わせ溶接_V型開先

開先の形状がI型の場合は、下図のように示します。

突き合わせ溶接_I型開先

 

突き合わせ溶接の「のど厚」とは

のど厚とは、溶接の厚みです。

突き合わせ溶接_断面図

溶接する板の厚みが異なる場合、有効のど厚は薄い方の板の厚みで決まります。

「有効のど厚」は、有効にはたらく溶接の厚み。溶接をする板の厚みと等しくとります。

 

突き合わせ溶接の「開先」とは

開先(読み:かいさき)とは、溶接する鋼板の端部を切り欠いてつくった溝です。

主な開先は2種類。

  1. V型
  2. I型

V型

V型の開先は、開先取りが必要となるため前処理が必要。

溝の間隔がI型よりも広いことから、溶接棒を使用する量が多くなるものの、強度は高くなります。

I型

I型の開先は、前処理なしで作業できるため、V型に比べて簡易です。

溶接棒の使用も少なく済みますね。

 

突き合わせ溶接の「余盛高さ」とは

余盛高さとは、母材の表面を基準として溶接ビードの高さを示す数値です。

溶接ビード:アーク溶接やレーザー溶接など各種溶接方法で母材を接合したとき、接合部分の表面でかまぼこのような凸形状に盛り上がっている部分

突き合わせ溶接_断面図_のど厚

余盛は多すぎても、少なすぎても施行不良とみなされます。

母材よりも滑らかに膨らみ、一定の高さを保つ施工が求められるわけですね。

 

突き合わせ溶接の「エンドタブ」とは

エンドタブとは、溶接の施行中に開始点と終点へ設ける鋼片です。

突き合わせ溶接_エンドタブ

溶接を終えると、エンドタブをはずして完成。

溶接は開始点と終了点で不完全になるもの。エンドタブを使用することで、溶接部を全長にわたって良好に仕上げることができます。

 

有効断面積の算定方法

突き合わせ溶接の有効断面積を求める計算式は以下のとおり。

A=l・a
A: 有効断面積(cm)
l : 有効長さ(cm)
a: 有効のど厚 (cm)

突き合わせ溶接_有効のど厚

有効のど厚:有効にはたらく溶接の厚み。有効のど厚は板厚と等しくとれます。

有効長さは、溶接が全長にわたって良好であれば、部材幅と等しくとることができます。

 

突き合わせ溶接とすみ肉溶接の違い

すみ肉溶接とは、母材(溶接する鋼板)を重ねたり、T字形に接合する場合に用いられる方式です。

すみ肉溶接

溶接継手の断面においては、二つの部材面の間に三角形の溶接金属を形成します。

 「突き合わせ溶接」と「すみ肉溶接」の違い

  • 突き合わせ溶接:2つの材料の端を直接接触させ、溶接する方法。
  • すみ肉溶接:2つの材料が直角に交差する場所で行われる溶接方法。

詳しくは、すみ肉溶接とは|記号の書き方、脚長・サイズ・のど厚の意味を解説をご確認ください。

 

まとめ

  • 突き合わせ溶接とは、母材どうしを接合するのに用いる溶接。
  • のど厚とは、溶接の厚み。
  • 開先とは、溶接する鋼板の端部を切り欠いてつくった溝。
  • 余盛高さとは、母材の表面を基準として溶接ビードの高さを示す数値。
  • エンドタブとは、溶接の施行中に開始点と終点へ設ける鋼片。
  • 突き合わせ溶接の有効断面積を求める計算式
    • A=l・a

人気記事 転職3回の一級建築士が語る。おすすめ転職サイト・転職エージェント

人気記事 副業ブログで月5万円を目指すには? 始め方とおすすめの収益化方法

人気記事 一級建築士試験のおすすめ資格学校・アプリ【総合資格とスタディング】