耐火建築物とは|主要構造部と開口部の基準をわかりやすく図解

耐火建築物とは 防火規定
  • 『耐火建築物』って何?
  • 耐火建築物を設計するには、どんな基準を満たせばいい?
  • 開口部には防火設備が必要?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、建築基準法における『耐火建築物』の基準について、図解を交えてわかりやすく解説。

防火地域での建築、階数3以上の特殊建築物を計画する設計者にとって、有益な情報かと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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耐火建築物とは

耐火建築物

『耐火建築物』とは、建築基準法に定められた以下の2つの要件を満たす建築物のことです。

  1. 主要構造部:以下のいずれかの基準を満たすこと
    • 耐火構造
    • 耐火性能検証法等により耐火性能が確認されたもの
  2. 延焼ライン内の開口部:防火設備(建築基準法2条九の二号ロ)

耐火性能検証法等で耐火建築物とみなされるケースは、かなり少ないので今回の記事では省略しています。

 

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【耐火建築物】主要構造部の基準:耐火構造

耐火建築物とみなされるためには、主要構造部が耐火構造となるよう、被覆をほどこす必要があります。

主要構造部:建築物の部分のうち「①壁・②柱・③床・④はり・⑤屋根・⑥階段」の6つのことで、建築基準法2条の規定。

さらに、耐火構造における主要構造部は、建築物の階数ごとに決められた耐火時間を確保しなければなりません。

建築基準法にもとづく主要構造部ごとの耐火時間を表にまとめると、以下のとおり。

 

耐火建築物の主要構造部ごとの基準

最上階からの階数 はり 屋根 階段
間仕切壁 外壁
耐力壁 非耐力壁 耐力壁 非耐力壁
延焼ライン内 延焼ライン外
非損傷性 1~4 1 1 1 1 1 0.5 0.5
5~14 2 2 2 2 2
15~ 3 3
遮熱性 1 1 1 1 0.5 3 1
遮炎性 1 1 0.5 0.5

たとえば、6階建ての耐火建築物であれば、2階の柱(最上階から数えて5階)には「2時間耐火(性能)」を持つ被覆が必要。3階の柱(最上階から数えて4階)は「1時間耐火」。

建築物の階数が高くなればなるほど、下層階に必要な耐火時間が長く設定されています。

高層階から避難するときに、下の階が炎に耐えられないと逃げることができず、建物も倒壊してしまうからですね。

 

表を見るだけではわかりにくいので、図解で確認してください。

耐火建築物_耐火時間

耐火構造の仕様は、以下のいずれかを選択。

  • 告示仕様:建築基準法における建設省告示第1399号の仕様
  • 大臣認定仕様:耐火被覆の仕様ごとに、大臣の認定を受けているもの

 

告示仕様とは

建築基準法の告示で定められた仕様による耐火構造とする場合は、告示1399号の基準を満たす必要があります。

建設省告示第1399号

耐火構造の構造方法を定める件

建築基準法第2条第七号の規定に基づき、耐火構造の構造方法を次のように定める。

第 1

壁の構造方法は、次に定めるものとする。この場合において、かぶり厚さ又は厚さは、それぞれモルタル、プラスターその他これらに類する仕上材料の厚さを含むものとする。

 

大臣認定仕様とは

耐火構造の大臣認定仕様は、「FP060BE-1234」のように、それぞれの主要構造部ごと、仕様ごとに異なる認定番号が定められています。

大臣認定ごとに”認定書”が発行されており、書面で記載された仕様どおりに耐火被覆を設計・施工しなければいけません。

 

耐火構造の”大臣認定番号の読み方”は以下のとおり。

耐火構造_大臣認定

 

【耐火建築物】延焼ライン内の開口部:防火設備

耐火建築物の延焼ラインにかかる開口部は、”建築基準法2条九の二号ロ”による防火設備が必要です。

 

防火設備は、告示仕様か大臣認定仕様のいずれかを選択。

  • 告示仕様:建築基準法における建設省告示第1360号に適合すること
  • 大臣認定仕様:各サッシの種別ごとに、防火設備として大臣認定を受けているもの

 

告示仕様とは

防火設備の告示仕様は、建築基準法における建設省告示第1360号で定められています。

たとえば、鋼製建具であれば0.8㎜以上の厚みを確保し、炎が入り込むようなすき間のないものを製作しなければなりません。

確認申請時には、告示の仕様を満たしているかどうかを確認します。建具の構造詳細図の添付が必要となるので、図面を作成しておきましょう。

 

建設省告示第1360号の条文は以下のとおり。

平成12年5月24日建設省告示第1360号

防火設備の構造方法を定める件

建築基準法第2条第九号の二ロの規定に基づき、防火設備の構造方法を次のように定める。

第一 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第109条の2に定める技術的基準に適合する防火設備の構造方法は、次に定めるものとする。

〈中略〉

第二 第一に定めるもののほか、防火戸が枠又は他の防火設備と接する部分は、相じゃくりとし、又は定規縁若しくは戸当りを設ける等閉鎖した際にすき間が生じない構造とし、かつ、防火設備の取付金物は、取付部分が閉鎖した際に露出しないように取り付けなければならない。

条文をすべて掲載すると長くなってしまうので、一部を抜粋しています。必ず基本建築関係法令集 法令編 令和7年版で確認してください。

 

大臣認定仕様とは

防火設備の大臣認定仕様は、火災時に炎をさえぎる性能ごとに、「EA」「EB」「EC」という3つの種類があります。

 

3つの種別を整理した一覧表をご覧ください。

耐火建築物_防火設備

耐火建築物には、表に記載されている「EB」もしくは「EA」の認定を受けた防火設備を使用します。

遮炎時間20分の防火設備は、サッシの種別ごとに「EB-1234」などの通し番号が割り振られているため、サッシメーカーのWebサイトやカタログで調べましょう。

確認申請の提出時には、設置する予定のサッシが”防火設備”かどうかを確認するために、大臣認定番号の表記がもとめられます。

 

耐火建築物について建築基準法で読んでみる

耐火建築物については、建築基準法2条に定められています。

第二条

九の二 耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。

イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。

(1) 耐火構造であること。

(2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。

(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。

(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。

ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。

 

まとめ

  • 『耐火建築物』とは、以下の2つの要件を満たす建築物のこと。
    1. 主要構造部:以下のいずれかの基準を満たすこと
      • 耐火構造
      • 耐火性能検証法等により耐火性能が確認されたもの
    2. 延焼ライン内の開口部:防火設備(建築基準法2条九の二号ロ)
  • 耐火構造の仕様は、以下のいずれかを選択。
    • 告示仕様:告示第1399号に定められた仕様
    • 大臣認定仕様:耐火被覆ごとに大臣の認定を受けた仕様
  • 防火設備は、告示仕様か大臣認定仕様のいずれかを選択。
    • 告示仕様:告示第1360号に適合すること
    • 大臣認定仕様:サッシの種別ごとに大臣認定を受けたもの

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