控え壁とは|控え壁の不要なブロック塀の基準も解説【建築基準法】

控え壁 構造規定
  • 控え壁って、どんなブロック塀に必要?
  • 控え壁が不要になる高さの基準が知りたい。
  • 控え壁は何メートル以内の間隔でつくればいい?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、コンクリートブロック塀の『控え壁』について、建築基準法をもとに解説。

これからブロック塀をつくる方や、塀が倒れないか不安という方にとって役立つ情報です。

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控え壁とは

控え壁とは、建築物を構成する壁に対して直角方向に突き出した補助的な壁のことです。

代表的な例として、コンクリートブロック塀の控え壁があります。

塀_補強CB(コンクリートブロック)造_控壁あり

ブロック塀が倒れないように強度を高める目的で用いるもの。

建築基準法によって、控え壁の必要な塀の構造と高さが定められていますね。

ここからは以下の2つの構造について、控え壁の設置基準を解説していきます。

  1. 組積造(読み:そせきぞう)
  2. 補強コンクリートブロック造

 

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組積造における控え壁の基準

組積造とは、コンクリートブロックやレンガを積む構造のことです。

コンクリートブロックをモルタルで接着してつくり、内部に鉄筋(補強筋)は入れません。

「組積造」と「補強コンクリートブロック造」は見た目が同じでも、内部に鉄筋があるかどうかによって区別されますね。

控え壁が不要となる塀の高さ

組積造の塀は、原則として控え壁が必要。

ただし、以下の基準を満たす組積造の塀は、控え壁が不要となります。

塀の厚さ(t)≧ 地面から塀の頂部までの垂直距離(h)×1.5/10

控え壁の突出長さ

組積造の控え壁は、壁の厚さの1.5倍以上、突きだすこと。

控え壁を設ける間隔

組積造の控え壁は、長さ4m以下ごとに設けること。

 

補強CB造における控え壁の基準

補強コンクリートブロック造とは、コンクリートブロックの空洞に鉄筋を入れながら積み上げて、そこにモルタルを補充して補強した構造のことです。

控え壁が必要となる塀の高さ

補強コンクリートブロック造で、高さ1.2mを超える塀は、控え壁が必要となります。

計画地と隣地との間に高低差があるとき、塀の高さは低い方の地盤面から測るという点に注意しましょう。

塀の高さ2

控え壁を設ける間隔

補強コンクリートブロック造の控え壁は、長さ3.4m以下ごとに設けること。

控え壁の鉄筋径

補強コンクリートブロック造の控え壁には、径9㎜以上の鉄筋が必要です。

控え壁の突出長さ

控え壁の突き出す長さ(※基礎部分で測る)≧塀の高さ×1/5

 

控え壁に関するQ&A

控え壁について、よくある質問をまとめました。

  1. 塀の上にフェンスを設ける場合の控え壁の要否は?
  2. 施工基準を知りたいときに参考となる書籍は?
  3. 既存の塀に控え壁が設置されていないときはどうする?

塀の上にフェンスを設ける場合の控え壁の要否は?

Q. 補強コンクリートブロック造の塀の上にフェンスを設けるとき、控え壁の要否を決める高さは、どの部分で測る?
A. 原則として、ネットフェンスや目隠しフェンス等を含めた高さで算定します。

たとえば、京都市の取り扱いは以下のとおり。

高さ(H)は、敷地の内外に関わらず、低位の地盤面からの高さとし、 基礎の立ち上がり、笠木の部分、ネットフェンス及び目隠しフェンス等を含めた高さとなる。

出典:京都市建築法令実務ハンドブック

 

施工基準を知りたいときに参考となる書籍は?

Q. コンクリートブロック塀の控え壁を設計・施工する場合に参考となる書籍は?
A. 壁式構造関係設計規準・同解説 (メーソンリー編)を参照することが多いです。

 

既存の塀に控え壁が設置されていないときはどうする?

Q. 敷地内にある既存のコンクリートブロック造の塀が建築基準法の規定を満たしておらず、控え壁が設置されていないときは、どうすればいい?
A. 以下のいずれかの対応が必要でしょう。
・控え壁を新たに設ける
・控え壁が不要となる高さまで、コンクリートブロック塀を切断する。

たとえば、補強コンクリートブロック塀の塀であれば、高さ1.2m以下となるように塀を除去するわけですね。

 

控え壁について建築基準法を読む

組積造の控え壁に関する制限は、建築基準法施行令61条に書かれています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2024 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2024といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

第四節 組積造

(組積造のへい)

第六十一条 組積造のへいは、次の各号に定めるところによらなければならない。

一 高さは、一・二メートル以下とすること。

二 各部分の壁の厚さは、その部分から壁頂までの垂直距離の十分の一以上とすること。

三 長さ四メートル以下ごとに、壁面からその部分における壁の厚さの一・五倍以上突出した控壁(木造のものを除く。)を設けること。ただし、その部分における壁の厚さが前号の規定による壁の厚さの一・五倍以上ある場合においては、この限りでない。

四 基礎の根入れの深さは、二十センチメートル以上とすること。

補強コンクリートブロック造の控え壁については、建築基準法施行令62条の8を参照。

第四節の二 補強コンクリートブロック造

(塀)

第六十二条の八 補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ一・二メートル以下の塀にあつては、第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

一 高さは、二・二メートル以下とすること。

二 壁の厚さは、十五センチメートル(高さ二メートル以下の塀にあつては、十センチメートル)以上とすること。

三 壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径九ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。

四 壁内には、径九ミリメートル以上の鉄筋を縦横に八十センチメートル以下の間隔で配置すること。

五 長さ三・四メートル以下ごとに、径九ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの五分の一以上突出したものを設けること。

六 第三号及び第四号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあつては壁頂及び基礎の横筋に、横筋にあつてはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の四十倍以上基礎に定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。

七 基礎の丈は、三十五センチメートル以上とし、根入れの深さは三十センチメートル以上とすること。

 

まとめ

  • 控え壁とは、建築物を構成する壁に対して直角方向に突き出した補助的な壁。
  • 以下の基準を満たす組積造の塀は、控え壁が不要。
    • 塀の厚さ(t)≧ 地面から塀の頂部までの垂直距離(h)×1.5/10
  • 補強コンクリートブロック造の塀における控え壁の要否
    • 高さ1.2mを超える塀は、控え壁が必要。

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