- 曲げモーメントって何?
- 建築構造における基礎知識が知りたい。
- 正(プラス)と負(マイナス)はどのように決まる?
こんな疑問に答えます。
本記事では、建築構造力学における「曲げモーメント」についてわかりやすく解説。
用語の定義や公式、モーメント図の書き方など、基本的な知識が身につきます。
このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
曲げモーメントとは
曲げモーメントとは、部材を曲げようとする力のことです。
部材を「引っ張る力」と「圧縮する力」の両方がはたらいて湾曲させるイメージ。
「長方形」を「扇形」に変形させる力がはたらくとき、梁のなかに一対の「ねじこむ力=曲げモーメント」が発生します。
部材断面において…
- 凹状に変形する側は「圧縮力」がはたらく
- 凸状に変形する側では「引張り力」がはたらく
- 圧縮力と引張り力の境界を中立軸と呼ぶ
曲げモーメントの記号
曲げモーメントを記号で表すときは「M」と書きます。
曲げモーメントの単位
曲げモーメントの単位は「kNm」や「Nm」です。
曲げモーメントを計算式にすると、「曲げモーメント=力×距離」。
よって、「力(N)」と「距離(m)」をかけ合わせた単位「Nm」となります。
曲げモーメントの符号【正負の考え方】
曲げモーメントの正負符号の考え方は以下のとおり。
- 下側に広がる変形の場合は、+(正)
- 上側に広がる変形の場合は、-(負)
曲げモーメント図の書き方【一覧表】
曲げモーメント図を書くときのルールは2つ。
- 部材に荷重がかかったときに、部材が裂ける位置(=曲げモーメントが最大となる位置)をイメージする。
- 集中荷重の場合は、曲げモーメントは直線。等分布荷重荷重の場合、曲げモーメントが曲線。
基本となる曲げモーメント図を一覧表にまとめました。
詳しくは、曲げモーメント図の書き方を解説|単純梁・片持ち梁の作成例一覧 という記事をご確認ください。
曲げモーメントの公式
「●単純梁●片持ち梁●両端固定梁」それぞれに集中荷重や等分布荷重が作用するときの曲げモーメントの公式をまとめました。
✓ 単純梁
荷重 | 荷重状態 | 曲げモーメント |
集中荷重 | M=PL/4 | |
集中荷重 | M=Pab/L | |
等分布荷重 | M=wL^2/8 | |
三角形分布荷重 | M=wL^2/9√3 |
✓ 片持ち梁
荷重 | 荷重状態 | 曲げモーメント |
集中荷重 | M=PL | |
等分布荷重 | M=wL^2/2 | |
三角形分布荷重 | M=wL^2/6 |
✓ 両端固定梁
荷重 | 荷重状態 | 曲げモーメント |
集中荷重 | MA=-PL/8
MC=PL/8 |
|
等分布荷重 | MA=-w L^2/12
MC=w L^2/24 |
詳しくは、曲げモーメントの公式一覧|単純・片持ち・両端固定梁の計算法まとめ の記事で解説しています。
まとめ
- 曲げモーメントとは、部材を曲げようとする力のこと。
- 凹状に変形する側は「圧縮力」がはたらく
- 凸状に変形する側では「引張り力」がはたらく
- 圧縮力と引張り力の境界を中立軸と呼ぶ
- 曲げモーメントを表す記号:M
- 曲げモーメントの単位:Nm
- 曲げモーメントの正負符号の考え方
- +(正):下側に広がる変形
- -(負):上側に広がる変形
- 曲げモーメント図を書くときのルール
- 荷重がかかったときに、部材が裂ける位置(=曲げモーメントが最大となる位置)をイメージ
- 集中荷重の曲げモーメントは直線。等分布荷重荷重の曲げモーメントは曲線。
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