
- 定期報告って何?
- どんな建築物が対象?
- 報告書類の提出先が知りたい。
こんな悩みに答えます。
本記事では、建築物や建築設備の定期報告制度についてわかりやすく解説。
建築基準法に定められた対象施設や調査内容を紹介。特殊建築物の管理者や事業主にとって役立つ情報です。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築基準法の知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
定期報告とは
定期報告制度とは、以下の建築物が竣工後も安全に利用されている旨、特定行政庁へ一定期間ごとに報告する制度です。
- 不特定多数が利用する建築物
- 火災発生のおそれが高い建築物

ここからは、具体的に対象となる施設や規模をまとめていきます。
定期報告の対象となる建築物等
定期報告の対象となる施設は、大きく分けて2つの基準で定められています。
- 建築基準法施行令によるもの
- 特定行政庁が指定するもの
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建築基準法施行令によるもの
定期報告の対象について、建築基準法に定められた用途・規模は以下のとおり。
✔ 建築基準法による対象施設【一覧表】
| 定期調査・検査の対象 | 根拠となる条文 | 報告時期 | |
| 1 | 法別表第一(い)欄(1)から(4)項の特殊建築物で一定の規模以上のもの |
|
6ヶ月~3年 |
| 2 | 昇降機
|
|
6ヶ月~1年(大臣が定める項目は3年) |
| 3 | ①の建築物にある下記以外の防火設備
|
|
6ヶ月~1年(大臣が定める項目は3年) |
| 4 | 遊戯施設等 | 法12条 | 6ヶ月~3年 |
| 5 | 特定行政庁が指定する特定建築物
|
|
6ヶ月~3年 |
| 6 | 特定行政庁が指定する建築設備 | 法12条 | 6ヶ月~3年 |
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特定行政庁が指定するもの
特定行政庁が定期報告を求めている施設もあります。
例えば、東京都であれば下表に該当するものが対象。
出典:東京都
調査・報告内容
定期報告制度の調査対象は、大きく分けて4種類。
- 特定建築物の調査
- 建築設備の調査
- 防火設備の調査
- 昇降機等の調査
特定建築物調査
特定建築物の定期報告における主な調査内容は、以下となります。
- 地盤の状況
- 建物外部の劣化状況
- 屋上・屋根まわりの損傷状況
- 天井仕上げ等の劣化状況
- 避難施設の維持管理状況
建築設備
建築設備(昇降機以外)の調査内容は、主に以下の項目です。
- 換気設備
- 非常照明設備
- 排煙設備
防火設備
防火設備の点検対象は、随時閉鎖または作動できるもの(防火ダンパーを除く)が対象。
例えば、火災時に煙や熱等を感知し閉鎖する以下の防火設備を指します。
- 防火扉
- 防火シャッター
- 耐火クロススクリーン
- ドレンチャー
昇降機
以下のような昇降機が調査対象となり、高い専門性が求められます。
1. 建築物内の昇降機
- エレベーター
- エスカレーター
- 小荷物専用昇降機(テーブルタイプは除く)
- 段差解消機
- いす式階段昇降機
- 乗用エレベーター又はエスカレーターで観光のためのもの (一般交通用に供するものを除く)
2. 遊戯施設の昇降機
- 観覧車
- ジェットコースター
- ウォータースライド
- メリーゴーランド
- 上記以外の遊戯施設
調査者に必要な資格
定期報告の調査には、以下のいずれかの資格が必要です。
- 建築基準適合判定資格者
- 一級建築士
- 二級建築士

ただし、上記の資格を持っていなくても講習を受けることで、建築設備やEVなど、特定分野の調査資格者になることは可能。
必要資格と業務範囲を一覧表にまとめてみました。
✔ 調査資格者ごとの業務範囲
| 資格 | 建築物 | 建築設備 | 昇降機、遊戯施設 |
| 一級建築士・二級建築士 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 建築基準適合判定資格者 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 特殊建築物等調査資格者 | 〇 | × | × |
| 建築設備検査資格者 | × | 〇 | × |
| 昇降機検査資格者 | × | × | 〇 |
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提出先・報告時期
定期報告制度にもとづく調査結果報告書は、特定行政庁に提出します。
報告の時期は、特定行政庁が定めており、建物の用途によって異なる場合もあります。

6ヶ月〜3年の期間を定めていることが多いですね。
例えば、愛知県の特定建築物を例にすると下表のとおり。
出典:愛知県
定期報告について建築基準法を読む
定期報告の概要は、建築基準法12条に定めらています。
報告、検査等
第十二条
第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する特定建築物の管理者である国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者(以下この章において「国の機関の長等」という。)は、当該特定建築物の敷地及び構造について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員に、損傷、腐食その他の劣化の状況の点検(当該特定建築物の防火戸その他の前項の政令で定める防火設備についての第四項の点検を除く。)をさせなければならない。ただし、当該特定建築物(第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして前項の政令で定めるもの及び同項の規定により特定行政庁が指定するものを除く。)のうち特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て指定したものについては、この限りでない。
3 特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
定期報告が必要な建築物等は、建築基準法施行令16条に規定。
第五節 定期報告を要する建築物等
第十六条
法第十二条第一項の安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定める建築物は、次に掲げるもの(避難階以外の階を法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供しないことその他の理由により通常の火災時において避難上著しい支障が生ずるおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)とする。
一 地階又は三階以上の階を法別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供する建築物及び当該用途に供する部分(客席の部分に限る。)の床面積の合計が百平方メートル以上の建築物
二 劇場、映画館又は演芸場の用途に供する建築物で、主階が一階にないもの
三 法別表第一(い)欄(二)項又は(四)項に掲げる用途に供する建築物
四 三階以上の階を法別表第一(い)欄(三)項に掲げる用途に供する建築物及び当該用途に供する部分の床面積の合計が二千平方メートル以上の建築物2 法第十二条第一項の政令で定める建築物は、第十四条の二に規定する建築物とする。
3 法第十二条第三項の政令で定める特定建築設備等は、次に掲げるものとする。
一 第百二十九条の三第一項各号に掲げる昇降機(使用頻度が低く劣化が生じにくいことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
二 防火設備のうち、法第六条第一項第一号に掲げる建築物で第一項各号に掲げるものに設けるもの(常時閉鎖をした状態にあることその他の理由により通常の火災時において避難上著しい支障が生ずるおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
まとめ
- 定期報告とは、特定の建築物の維持管理状況を、特定行政庁へ報告すること
- 定期報告の対象は、2つの基準で決められている。
- 建築基準法施行令
- 特定行政庁による指定
- 定期報告制度の調査対象
- 特定建築物の調査
- 建築設備の調査
- 防火設備の調査
- 昇降機等の調査
- 調査者に必要な資格
- 建築基準適合判定資格者
- 一級建築士
- 二級建築士
- 上記以外で、法定講習の受講により、特定分野の調査資格者になることは可能。




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