- 積載荷重(読み:せきさいかじゅう)って何?
- 構造計算における考え方は?
- 建築基準法における建物用途ごとの積載荷重を一覧表にまとめてほしい。
こんな疑問や要望に答えます。
本記事では、「積載荷重」についてわかりやすく解説。
建築物の構造に影響を与える積載荷重について建築基準法に定められた数値を知ることができます。
このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
積載荷重とは
積載荷重とは、建築物の床の上に積載される単位面積あたりの荷重のことです。
簡単にいえば、床の上に置く物の重さ。
たとえば、建物の中にある以下の荷重です。
- 人
- 家具
- 物品
力の大きさや荷重の位置が一定ではないため、活荷重(LL:Live Load)と呼ばれることも。
ちなみにloadという英単語は負荷、荷重などを意味します。
積載荷重の単位
積載荷重の単位は「N/㎡」または「kN/㎡」で、平米当たりの重量を表しています。
kgf/㎡、t/㎡と表記することも。
建築基準法における積載荷重の一覧表
積載荷重は建築基準法において、建物の用途・居室の種類・構造計算の対象ごとに計算用の数値が定められています。
✓ 積載荷重の一覧表(建築基準法施行令85条)
室の種類 | 構造計算の対象 | ||||
床の構造計算をする場合 | 大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合 | 地震力を計算する場合 | |||
(一) | 住宅の居室、住宅以外の建築物における寝室又は病室 | 1800 | 1300 | 600 | |
(二) | 事務室 | 2900 | 1800 | 800 | |
(三) | 教室 | 2300 | 2100 | 1100 | |
(四) | 百貨店又は店舗の売場 | 2900 | 2400 | 1300 | |
(五) | 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類する用途に供する建築物の客席又は集会室 | 固定席の場合 | 2900 | 2600 | 1600 |
その他の場合 | 3500 | 3200 | 2100 | ||
(六) | 自動車車庫及び自動車通路 | 5400 | 3900 | 2000 | |
(七) | 廊下、玄関又は階段 | (三)から(五)までに掲げる室に連絡するものにあつては、(五)の「その他の場合」の数値による | |||
(八) | 屋上広場又はバルコニー | (一)の数値による。ただし、学校又は百貨店の用途に供する建築物にあつては、(四)の数値による。 |
「床用>柱・大梁・基礎用>地震用」の順に値が小さくなる。
積載荷重は室の種類ごとに統計的に決められた数値です。
床計算用、大梁・柱・基礎計算用、地震力計算用に分けられているのは、対象とする床面積の大きさを考慮しているから。
対象とする床面積が大きいほど平均的にならした積載荷重は小さく見積もることができるという考え方(面積低減の考え方)にもとづいています。
ただし、荷重の大きいもの(ピアノや本棚など)を設置する場合、建物の一部分に荷重が集中するため、別途、構造計算が必要となります。
積載荷重と固定荷重の違い
固定荷重は、建物そのものの自重。
建物の構造要素(建材・基礎・屋根・壁・床など)の固定された部分の重量を指します。
建物の構造設計をするうえで最初に把握しなければならない荷重。
力の方向が常に一定のため、死荷重 (DL:Dead Load) とも呼ばれますね。
積載荷重と固定荷重の違いをまとめると以下のとおり。
- 固定荷重:建物そのものの自重
- 積載荷重:建物が使用される際にかかる追加の荷重
積載荷重について建築基準法を読む
積載荷重は、建築基準法施行令85条に記載されています。
「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2024 図解建築申請法規マニュアルや建築申請memo2024といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。
(積載荷重)
第八十五条 建築物の各部の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しなければならない。ただし、次の表に掲げる室の床の積載荷重については、それぞれ同表の(い)、(ろ)又は(は)の欄に定める数値に床面積を乗じて計算することができる。中略
2 柱又は基礎の垂直荷重による圧縮力を計算する場合においては、前項の表の(ろ)欄の数値は、そのささえる床の数に応じて、これに次の表の数値を乗じた数値まで減らすことができる。ただし、同項の表の(五)に掲げる室の床の積載荷重については、この限りでない。
中略
3 倉庫業を営む倉庫における床の積載荷重は、第一項の規定によつて実況に応じて計算した数値が一平方メートルにつき三千九百ニュートン未満の場合においても、三千九百ニュートンとしなければならない。
まとめ
- 積載荷重とは、建築物の床の上に積載される単位面積あたりの荷重。
- 積載荷重の単位は「N/㎡」または「kN/㎡」。
- 積載荷重は建築基準法において、計算用の数値が定められている。
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