- ダムウェーターって何?
- 確認申請の必要なダムウェーターがあるって本当?
- エレベーターとの違いが知りたい。
こんな疑問や要望に答えます。
本記事では、建築物に設ける「ダムウェーター」についてわかりやすく解説。
小さな荷物を上下階で運搬するリフトの設置を検討する方に役立つ情報です。
このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
ダムウェーターとは【小荷物専用昇降機】
ダムウェーターとは、小荷物専用昇降機(読み:こにもつせんようしょうこうき)のことで、荷物を運搬するための小型リフトです。
人は乗れません。
荷物専用のため、一般的な人荷用のエレベーターよりも安全に運用できます。
たとえば、飲食店や学校で、料理や飲み物、書類などをすばやく効率的に運ぶのに利用されていますね。
ダムウェーターの種類
ダムウェーターは、扉の高さやかごの大きさ、昇降路の工事の有無などによって3種類にわかれます。
- ユニットタイプ(コンパクトタイプ)
- テーブルタイプ
- フロアタイプ
ユニットタイプ(コンパクトタイプ)
出典:クマリフト株式会社
特徴 | 昇降機と昇降路が一体化しているのが特徴で、コンパクトな設計。 |
取り出し口の高さ | 約85cm。大体人間の腰と同じくらいの高さ。 |
積載量 |
|
主な利用方法 | 料理や書類の運搬に適している。飲食店や保育園、オフィスへの導入が多い。 |
工事内容 | 昇降路の築造が不要。施工は短期間で、最短1日で工事が完了。 |
テーブルタイプ
出典:クマリフト株式会社
特徴 | 腰の高さに出し入れ口があり、軽い物の運搬に活用できる。 |
取り出し口の高さ | 60〜85cm。大体人間の腰と同じくらいの高さ |
積載量 |
|
主な利用方法 | 飲食店や保育園の配膳用。オフィスや図書館の書類の運搬。 |
工事内容 | 昇降路の築造が必要。 |
フロアタイプ
出典:クマリフト株式会社
特徴 | 大型の荷物を台車やコンテナに載せたまま積み込むことができる。 |
取り出し口の高さ | フロア(床面)と同じ高さ。 |
積載量 |
|
主な利用方法 | 学校や病院の配膳、工場や倉庫の製品や資材の入出庫。 |
工事内容 | 昇降路の築造が必要。 |
確認申請の要否
ダムウェーターの確認申請の要否は、「テーブルタイプ」か「フロアタイプ」かによって決まります。
テーブルタイプは、基本的に確認申請は不要です。
ただし、 特定行政庁(市区町村)が条例で規定している場合は、確認申請が必要。
フロアタイプは、確認申請が必要です。
平成28年6月1日施行の建築基準法改正によって、確認申請の対象となりました。それ以前に設置されたものは、確認済証が交付されていません。
確認申請が必要な場合は、指定確認検査機関に申請書と図面などを提出し、確認を受ける必要があります。
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ダムウェーターの価格
ダムウェーターの総費用は、100万円~350万円程度です。価格の目安は以下のとおり。
本体価格 | 90~200万円 |
工事費用 | 15~50万円 |
申請費用 | 20~40万円 |
電気代 | 3000円/月 |
年次検査費用 | 1万円/年 |
メンテナンス費用 | 1~3万円 |
固定資産税 | 2万円/年 |
(油圧式の場合)オイル交換代 | 5万円/年 |
本体価格
一般的に本体価格は、90万円~200万円程度。主に以下の基準で算出されます。
- 設置場所や大きさ
- 荷物の積載量
- オプション
設置場所
1階と2階間の設置:比較的手軽に設置できるため、比較的安価な傾向。
3階以上の設置:設置工事が複雑になるため、本体価格が高くなります。
大きさ
荷物の積載量が多ければ大きいほど、本体価格は高くなります。
荷物の積載量
一般的な家庭用であれば、200kg~300kg程度で十分でしょう。
業務用であれば、500kg以上が必要になることもあります。
オプション
- 自動ドア
- インターロック装置
- 安全装置
設置工事費
一般的に設置工事費は、15万円~50万円程度。以下の基準によって変化します。
- 設置場所
- 建物の構造
- 業者
設置場所
1階と2階間の設置:比較的工事が簡易なので、設置工事費も安くなります。
3階以上の設置:設置工事が複雑になるため、設置工事費も高くなります。
建物の構造:
鉄筋コンクリート造など、頑丈な構造であれば、設置工事費は安くなります。
木造など、構造が弱い場合は、設置工事費が高くなります。
施工業者
経験豊富な施工業者を選ぶと、設置工事費は高くなります。
複数の業者から見積もりを取るのがおすすめ。
概算金額の具体例
1階と2階間に設置する、一般的な家庭用ダムウェーターの場合:
- 本体価格:100万円
- 設置工事費:20万円
- 総費用:120万円
3階建てのビルに設置する、業務用ダムウェーターの場合:
- 本体価格:200万円
- 設置工事費:40万円
- 総費用:240万円
エレベーターとの違い
エレベーター(昇降機)とダムウェーター(小荷物専用昇降機)は、どちらも建築物内での垂直移動を助ける昇降機ですが、主な違いは次のとおり。
✓ エレベーター
- かごの面積が1㎡を超え、高さが1.2mを超える。
- 人が乗ることができる。
✓ ダムウェーター (小荷物専用昇降機)
- かごの面積が1㎡以内、高さが1.2m以内。
- 人は乗れない。荷物専用。
エレベーターは、人や荷物を載せて垂直または斜め・水平に移動させる装置です。
乗用エレベーター、荷物用エレベーター、寝台用エレベーターなど、様々な種類があります。
ダムウェーターに関するQ&A
ダムウェーターについて、よくある質問をまとめました。
- ダムウェーターは差別用語?
- ダムウェーターは容積率から除外される?
ダムウェーターは差別用語?【正しくは small freight elevator】
英語の「dumbwaiter」は、「dumb(愚か)」と「waiter(給仕人)」を組み合わせた言葉で、元々、食器などを運ぶために使用されていた低床式の昇降機を指していました。
現代の日本では、「ダムウェーター」は一般的に差別用語とは考えられていません。
しかし、その歴史的背景から、不快に感じる人もいるため、避けた方が無難。
代替用語としては、「小荷物専用昇降機(small freight elevator)」、「サービスエレベーター」、「昇降荷用エレベーター」などがあります。
ダムウェーターは容積率から除外される?【されません】
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まとめ
- ダムウェーター(小荷物専用昇降機)とは、荷物を運搬するための小型リフト。
- ダムウェーターの種類
- ユニットタイプ(コンパクトタイプ)
- テーブルタイプ
- フロアタイプ
- 確認申請の要否
- テーブルタイプ:確認申請は不要
- フロアタイプ:確認申請が必要
- ダムウェーターの総費用は、100万円~350万円程度。
- エレベーターの基準
- かご面積:1㎡超
- 高さ:1.2m超。
- 人が乗れる。
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