
- 木造で高さ16mを超える建築物は、耐火建築物にしないといけない?
- 4階建ての建築物を木造でつくりたい。
- 延床面積3000㎡を超える大規模な木造建築物は設計できる?
こんな疑問や悩みに答えます。
本記事では、大規模な木造建築物を設計するときにかかる主要構造部への規制について解説。
4階建てや高さ16m超など、規模の大きい木造建築物を計画するときに必要となる知識です。

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住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
大規模な木造建築物にかかる主要構造部の規制とは
以下のいずれかに当てはまる木造の建築物は、主要構造部に一定の耐火性能が必要となります。これは建築基準法21条による規制。
- 法21条1項
- 地階を除く階数:4以上
- 高さ:16m超
- 法別表第一(い)欄(五)または(六)の特殊建築物で、高さが13m超
- 法21条2項
- 延べ面積3000㎡超
木造を設計するときに耐火被覆をできるだけ減らしたいなら、上記に当てはまらない規模に抑える必要がありますね。
法21条1項による規制【階数4・高さ16m超の木造建築物】
✓ 法21条1項の対象となる木造建築物(※下記いずれかに当てはまるもの)
- 地階を除く階数:4以上
- 高さ:16m超
- 法別表第一(い)欄(五)または(六)の特殊建築物で、高さが13m超
上記に該当する場合は、建築物を以下のいずれかで設計しなければなりません。(令109条の5)
- 火災時対策準耐火構造
- 耐火構造
- 耐火性能検証法による耐火建築物
本記事では特に「①火災時対策準耐火構造」の基準を詳しく解説します。
「②耐火構造」について知りたい方は、耐火構造とは|主要構造部の耐火被覆に関する基準【木造も設計可能】の記事をご確認ください。
火災時対策準耐火構造とは
「火災時対策準耐火構造」は、建築物の階数に応じて求められる耐火性能と仕様が変わります。
告示第193号に定められた具体的な基準は下記のとおり。
- 火災時倒壊防止構造
- 75分準耐火構造(4階建て)
- 60分準耐火構造(3階建て)※倉庫・自動車車庫の用途を除く
- 30分相当の防火構造(2階建て)※倉庫・自動車車庫の用途を除く
火災時倒壊防止構造
「火災時倒壊防止構造」の基準をまとめると下記のとおり。
- 床面積100㎡以内ごとに区画(スプリンクラー等設置による緩和あり)
- 給水管などの区画貫通処理
- 換気設備の風道(ダクトなど)の区画貫通処理
- 以下にあてはまる直通階段の設置
- 特別避難階段とする
- 階段室と付室の壁を固有通常火災終了時間に応じた仕様とする
- 階段室と付室の壁・天井の仕上げを不燃材料とする
- 屋内からバルコニーor付室への出入口:75分防火設備
- バルコニーor付室から階段室への出入口:20分防火設備
- バルコニーor付室の床面積:10㎡以上、かつ、各居室の床面積の3/100以上
- 外壁の開口部に上階延焼抑制防火設備を設置
- 居室に自動火災報知設備を設置
- 道に接していない外壁の周囲に、幅3m以上の通路を確保
- スプリンクラー設備等を設置
75分準耐火構造(4階建て)
木造4階建ての建築物を設計するときの基準をざっくりまとめました。
- 階数4以下
- 倉庫・自動車車庫・自動車修理工場には適用不可
- 階段室・付室を除く200㎡以内ごとに下記で区画(※常時閉鎖式の防火設備であれば、床面積500㎡以内ごとに区画)
- 75分準耐火構造の床・壁
- 75分防火設備
- 区画された部分ごとにスプリンクラー設備等を設置
- 給水管などの区画貫通処理
- 換気設備の風道(ダクトなど)の区画貫通処理
- 天井の仕上げ:準不燃材料
- 以下にあてはまる直通階段の設置
- 特別避難階段
- 階段室・付室の壁・天井の仕上げ:不燃材料
- バルコニーor付室の床面積:10㎡以上、かつ、各居室の床面積の3/100以上
- 階段室・バルコニー・付室の壁:75分準耐火構造
- 屋内からバルコニーor付室への出入口:75分防火設備
- バルコニーor付室から階段室への出入口:20分防火設備
- 延焼ライン内の開口部に防火設備を設置
- 居室に自動火災報知設備を設置
- 屋内廊下(外気に開放されていない廊下)に排煙設備を設置
- 用途地域が定められた区域内にあること
60分準耐火構造(3階建て)
階数3以下の建築物に適用できる基準をまとめました。
- 地階を除く階数:3以下
- 道に接する部分以外の建物周囲に幅3m以上の通路を設けること(※ただし、下記すべてを満たす場合は免除)
- 床面積200㎡以内ごとに1時間準耐火構造の床・壁、または防火設備で区画
- 外壁の開口部で、上階へ延焼のおそれがある場合、庇などを設置
30分相当の防火構造(2階建て)
階数2以下の建築物が満たすべき基準は下記となります。
- 地階を除く階数:2以下
- 建築物の各室および通路について、下記のいずれかを満たすこと
- 壁(床面からの高さ1.2m以下を除く)および、天井の仕上げ:難燃材料
- 自動式スプリンクラー設備および排煙設備を設置
【法21条1項の緩和】延焼防止上有効な空地とは
法21条1項による大規模な木造建築物への防火規制は、建物周囲に十分な空地がある場合は免除されます。
空地の具体的な基準は「建築基準法 施行令109条の6」に規定。
(延焼防止上有効な空地の技術的基準)
第百九条の六
法第二十一条第一項ただし書の政令で定める技術的基準は、当該建築物の各部分から当該空地の反対側の境界線までの水平距離が、当該各部分の高さに相当する距離以上であることとする
法21条1項の目的は、木造建築物が火災で倒壊したとき、周囲の建物への延焼を防ぐことです。

よって、建築物の高さと同じだけの水平距離を「空地」として確保することで制限が緩和されるわけですね。
法21条2項による規制【延べ面積3000㎡超の木造建築物】
延べ面積3000㎡を超える木造の建築物は、下記のいずれかに適合させる必要があります。
- 耐火建築物
- 床面積3000㎡以内ごとに大臣認定による区画
建築基準法21条を読む
木材・プラスチックなどの可燃材料を使用した大規模な建築物に対する防火上の規制は、建築基準法21条に書かれています。
「建築基準法を読みたくない」という場合は、建築申請memo2025 のような書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。
(大規模の建築物の主要構造部等)
第二十一条 次の各号のいずれかに該当する建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、その主要構造部を通常火災終了時間(建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間をいう。)が経過するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、その周囲に延焼防止上有効な空地で政令で定める技術的基準に適合するものを有する建築物については、この限りでない。
一 地階を除く階数が四以上である建築物
二 高さが十六メートルを超える建築物
三 別表第一(い)欄(五)項又は(六)項に掲げる用途に供する特殊建築物で、高さが十三メートルを超えるもの
2 延べ面積が三千平方メートルを超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の前項の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものに限る。)は、次の各号のいずれかに適合するものとしなければならない。
一 第二条第九号の二イに掲げる基準に適合するものであること。
二 壁、柱、床その他の建築物の部分又は防火戸その他の政令で定める防火設備(以下この号において「壁等」という。)のうち、通常の火災による延焼を防止するために当該壁等に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものによつて有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ三千平方メートル以内としたものであること。
国土交通大臣が定めた構造方法は、「令和元年6月21日号外国土交通省告示第193号」に定められています。
文章量がとても多いため、詳細は基本建築関係法令集 告示編 令和7年版でご確認ください。
まとめ
- 以下のいずれかに当てはまる木造の建築物は、建築基準法21条の対象となる。
- 法21条1項
- 地階を除く階数:4以上
- 高さ:16m超
- 法別表第一(い)欄(五)または(六)の特殊建築物で、高さが13m超
- 法21条2項
- 延べ面積3000㎡超
- 法21条1項
- 法21条1項に当てはまる建築物は、以下のいずれかで設計すること。(※建物周囲に十分な空地がある場合は免除)
- 火災時対策準耐火構造
- 建築物の階数に応じて求められる耐火性能と仕様が変わる。
- 耐火構造
- 耐火性能検証法による耐火建築物
- 火災時対策準耐火構造
- 延べ面積3000㎡を超える木造の建築物は、下記のいずれかに適合させること。
- 耐火建築物
- 床面積3000㎡以内ごとに大臣認定による区画
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