竪穴区画とは|区画が必要な建築物・構造・緩和基準を総まとめ

竪穴区画とは 防火規定

※2021年9月に記事を加筆・修正しました。

  • 竪穴区画(たてあなくかく)って何?
  • どんな建築物に必要?
  • 区画の構造、緩和の基準が知りたい。

こんな悩みに答えます。

 

本記事では、建築基準法における竪穴区画について解説。

区画が求められる建築物の用途・規模、区画の位置、構造をわかりやすくまとめます。

階数3以上の建物を設計する方にとって、欠かすことのできない知識。

以下のいずれかに当てはまる場合は、竪穴区画の検討が必要です。

  1. 耐火構造、準耐火構造等で3階or地階に居室のあるもの
  2. 病院・診療所・児童福祉施設等で階数3・延べ面積<200㎡
  3. 共同住宅・ホテル・寄宿舎で階数3・延べ面積<200㎡

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築基準法の知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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竪穴区画とは【階段・EV等につくる防火区画】

竪穴区画とは

「竪穴区画」とは、階段や吹き抜けなど、火災時の炎や煙が階をまたいで拡がる部分に設ける防火上の区画。

建築基準法の施行令112条に定められた防火区画の一種です。

防火区画は4種類

  1. 面積区画
  2. 高層区画
  3. 竪穴区画
  4. 異種用途区画

ちなみに、竪穴区画という言葉は通称で、建築基準法の本文には出てきません。

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区画が必要となる“吹き抜け部分”とは

竪穴区画では、以下の“吹き抜け部”に対して、炎・煙を遮る区画をつくります。

  • 屋内階段
  • 屋外階段
  • 昇降機(エレベーターなど)の昇降路
  • 吹き抜け
  • ダクトスペース

注意してほしいのが、屋外階段にも竪穴区画が必要という点。

屋外階段に接する壁・開口部も、防火区画の対象となります。

 

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竪穴区画が必要な建築物は3パターン

竪穴区画が必要となる建築物の用途・規模は、以下の3パターンで、それぞれ基準が異なります。

  1. 耐火構造、準耐火構造等で3階 or 地階に居室のあるもの
  2. 病院・診療所・児童福祉施設等で階数3・延べ面積<200㎡
  3. 共同住宅・ホテル・寄宿舎で階数3・延べ面積<200㎡

対象となる建築物と区画の構造をまとめると下記のとおり。

対象となる建築物 壁の構造 床の構造 開口部の構造
  • 主要構造部を準耐火構造(または、耐火構造)とした建築物
  • 令136の2-1-ロの基準適合建築物
  • 令136の2-2-ロの基準適合建築物
準耐火構造(または、耐火構造) 準耐火構造(または、耐火構造) 防火設備(遮煙性能付き)

  • 常時閉鎖式
  • 随時閉鎖式(煙感知器、熱煙複合式感知器連動
病院・診療所・児童福祉施設等で階数3・延べ面積<200㎡ 間仕切壁
共同住宅・ホテル・寄宿舎で階数3・延べ面積<200㎡ 間仕切壁 戸(ふすま・障子などは不可)

 

区画①〜③の複数に当てはまる場合、優先順位は「竪穴区画①>竪穴区画②・竪穴区画③」です。

例えば、主要構造部が準耐火構造の共同住宅で、3階建て床面積190㎡の建築物は、①と③の両方に該当。

そのときは、竪穴区画①の基準を満たす防火区画が必要ということですね。

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【区画①】準耐火構造等で3階or地階に居室がある建築物

以下のいずれかの建築物で、3階または地階に居室のあるものは、竪穴区画が必要です。

  • 主要構造部を準耐火構造(または耐火構造)とした建築物
  • 令136の2-1-ロの基準適合建築物(=延焼防止建築物)
  • 令136の2-2-ロの基準適合建築物(=準延焼防止建築物)

竪穴区画①の構造

  • 床:準耐火構造(または耐火構造)
  • 壁:準耐火構造(または耐火構造)
  • 開口部:遮煙性能付きの防火設備(または特定防火設備)

竪穴区画①の緩和

  1. 建築物の用途上、竪穴区画ができない部分(劇場・映画館・集会場・体育館など)
  2. 避難階の上下階で一層のみに通じる吹き抜け部分
  3. 階数3以下で床面積200㎡以内の住宅部分

 

【図解】避難階の上下階で一層のみに通じる吹き抜け部分

竪穴区画_緩和

【図解】階数3以下で床面積200㎡以内の住宅部分

竪穴区画_緩和_住宅

さらに詳しい内容を知りたい方は、【竪穴区画①】耐火・準耐火構造で3階または地階のある建築物の区画という記事をご確認ください。

 

【区画②】病院・診療所・児童福祉施設等で階数3・延べ面積<200㎡の建築物

3階に以下の用途がある建築物で、階数3・延べ面積200㎡未満のものは竪穴区画②を設けます。

  • 病院
  • 診療所(患者の収容施設があるもの)
  • 寝室のある児童福祉施設等

竪穴区画②の構造

  • 壁:間仕切り壁
  • 開口部:遮煙性能付きの防火設備(20分間の遮炎性能)で以下のいずれかの構造
    • 常時閉鎖式
    • 常時開放の場合は、以下のいずれかと連動して自動閉鎖するもの
      • 煙感知器
      • 熱煙複合式感知器

竪穴区画②の緩和

居室・倉庫などの部分にスプリンクラー設備等を設けた場合は、竪穴区画の開口部の基準が緩和されます。

  • スプリンクラー設備あり:防火設備(10分間遮炎性能)の設置
  • スプリンクラー設備なし:防火設備(20分間遮炎性能)の設置

さらに詳しい内容は、【竪穴区画②】病院・児童福祉施設等(3階建て床面積<200㎡)の区画という記事で解説しています。

 

【区画③】共同住宅・ホテル・寄宿舎で階数3・延べ面積<200㎡の建築物

3階に以下の用途がある建築物で、階数3・延べ面積200㎡未満のものは竪穴区画③を設けます。

  • 共同住宅
  • ホテル、旅館
  • 寄宿舎
  • 下宿

竪穴区画③の構造

  • 壁:間仕切り壁
  • 開口部:戸(ふすま・障子は不可)

竪穴区画③の緩和

以下の2点を満たすとき、複数の竪穴を一つにまとめて防火区画することが可能。

  1. 竪穴部分の用途:以下のいずれか
    • 劇場等の客席
    • 体育館
    • 工場
    • 階段室
    • 竪穴部分を区画することが難しいもの
  2. 壁・天井の下地・仕上げ:準不燃材料

さらに詳しい内容は、【竪穴区画③】共同住宅・ホテル・寄宿舎(3階建て床面積<200㎡)の区画という記事でまとめています。

 

竪穴区画が免除される部分

建築基準法において、竪穴区画が免除される部分があります。

  • 外気に開放された廊下・バルコニー
  • 階段からのみ人が出入りできる便所など

 

外気に開放された廊下・バルコニー

竪穴区画_免除_開放廊下

外気に開放された廊下・バルコニーに面する吹き抜け部分には、竪穴区画が免除されています。

例えば、開放性の高い廊下に面する階段には、耐火構造の壁や防火設備の設置が不要。

吹きさらしの廊下に屋外階段がついたマンションをイメージするとわかりやすいと思います。廊下と階段を扉や壁で仕切っていませんね。

 

階段からのみ出入りできる便所など

階段からのみ出入りできるトイレは、階段の一部とみなされ、区画が免除されます。

建築基準法において竪穴部分の対象から除外。

建築基準法 施行令112条

11 中略

竪穴部分(長屋又は共同住宅の住戸でその階数が二以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分(当該部分からのみ人が出入りすることのできる便所、公衆電話所その他これらに類するものを含む。)、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分をいう。以下この条において同じ。)

便所や公衆電話所が階段の一部とみなされることが明記されています。

 

竪穴区画に接する外壁はスパンドレルが必要

竪穴区画に接する外壁には、区画の内側から外側へ屋外を経由した炎のまわり込みを防ぐ「スパンドレル」が必要です。

スパンドレル

竪穴区画が外壁と接する部分は準耐火構造(または耐火構造)とし、以下のいずれかを設置。

  • 幅90㎝以上の外壁
  • 外壁から50㎝以上突出した庇、バルコニー
  • 外壁から50㎝以上突出したそで

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防火区画の設計で参考となる書籍3選

防火区画の設計に役立つ書籍は以下の3冊。

建築物の防火避難規定の解説

防火区画が必要となる建築物を設計するのであれば、必須の書籍。

建築基準法には詳細が書かれていない法解釈があるため、建築物の建築物の防火避難規定の解説を読んでいなければ、確認申請がスムーズに進まないと思います。

プロのための主要都市建築法規取扱基準

建築基準法の取り扱いや法解釈は、各特定行政庁ごとにバラつきがあります。

プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版は、さまざまな行政機関の建築基準法解釈が掲載されているため、設計に迷ったときに参考となる書籍。

”ぎょうせい”が出版しており、確認検査機関の検査員も目を通しています。

建築申請memo

確認申請に携わるなら常備しておきたい1冊。

とくに建築基準法令集を読みたくないという方は、最低でも建築申請memo2025 を読む習慣は身につけましょう。

 

まとめ

  • 竪穴区画とは、火災時の炎や煙が階をまたいで拡がる部分に設ける防火区画。
  • 区画の必要な吹き抜け部
    • 屋内階段
    • 屋外階段
    • EVなどの昇降路
    • 吹き抜け
    • ダクトスペース
  • 竪穴区画は3パターンある。
  • 1.耐火構造、準耐火構造等で3階 or 地階に居室のあるもの
    • 竪穴区画①の構造
      • 床:準耐火構造(または耐火構造)
      • 壁:準耐火構造(または耐火構造)
      • 開口部:遮煙性能付きの防火設備(または特定防火設備)
    • 竪穴区画①の緩和
      • 建築物の用途上、区画ができない部分(劇場・映画館・集会場など)
      • 避難階の上下階で一層のみに通じる吹き抜け部分
      • 階数3以下で床面積200㎡以内の住宅部分
  • 2.病院・診療所・児童福祉施設等で階数3・延べ面積<200㎡
    • 竪穴区画②の構造
      • 壁:間仕切り壁
      • 開口部:遮煙性能付きの防火設備(20分間の遮炎性能)で以下のいずれか
        • 常時閉鎖式
        • 常時開放の場合は、以下のいずれかと連動して自動閉鎖するもの
          • 煙感知器
          • 熱煙複合式感知器
    • 竪穴区画②の緩和
      • 居室・倉庫にスプリンクラーを設けた場合、開口部の基準が緩和
        • スプリンクラーあり:防火設備(10分間遮炎性能)
        • スプリンクラーなし:防火設備(20分間遮炎性能)
  • 3. 共同住宅・ホテル・寄宿舎で階数3・延べ面積<200㎡
    • 竪穴区画③の構造
      • 壁:間仕切り壁
      • 開口部:戸
    • 竪穴区画③の緩和
      • 以下を満たすとき、複数の竪穴を一つにまとめて区画可能。
        1. 竪穴部分の用途:以下のいずれか
          • 劇場等の客席
          • 体育館
          • 工場
          • 階段室
          • 竪穴部分を区画することが難しいもの
        2. 壁・天井の下地・仕上げ:準不燃材料
  • 区画①〜③の複数に当てはまる場合、竪穴区画①が優先。
  • 竪穴区画が免除される部分
    • 外気に開放された廊下・バルコニー
    • 階段からのみ人が出入りできる便所など
  • 竪穴区画に接する外壁には、スパンドレルが必要。
  • 防火区画の設計に役立つ書籍3選
    1. 建築物の防火避難規定の解説
    2. プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版
    3. 建築申請memo2025

 

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