※令和元年(2019年)の建築基準法改正にともない、記事を加筆・修正しました。

- 竪穴区画の緩和ってある?
- 準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)は竪穴区画が不要ってホント?
- 逆に、準耐火建築物(イ-1・イ-2)は区画が必要?
こんな疑問に答えます。
本記事では、準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)による竪穴区画の緩和について解説。
3階や地階に居室があるときに検討が必要な竪穴区画。緩和条件が理解できれば、建築基準法の制限が軽くなり、設計の幅が広がるかと。

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準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)は竪穴区画が緩和?【準耐火構造ではないため区画免除】
ただし、2019年(令和元年)の法改正によって、準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)といった主要構造部が準耐火構造でない場合でも、区画が必要となる下記のパターンが追加されました。
- 小規模な『ホテル・共同住宅・(通所系)児童福祉施設』の竪穴区画
- 小規模な『病院・診療所(就寝施設あり)・児童福祉施設等(就寝施設あり)』の竪穴区画

「ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、病院・診療所・児童福祉施設等」の用途を設計している方は要注意。
【建築基準法改正】竪穴区画の新基準とは|『小規模な特殊建築物における区画』について解説という記事をあわせてご確認ください。


準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)で竪穴区画が免除される理由
まず、竪穴区画が必要となる条件を正しく理解しましょう。
竪穴区画が必要となる建築物とは、以下の2つの条件に当てはまるもの。
- 主要構造部を準耐火構造(もしくは耐火構造)とした建築物
- 地階、または3階以上の階に居室があるもの

”準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)”は、”準耐火構造”だから3階に居室があると竪穴区画が必要となるのでは?

少し勘違いされていますね。
準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)は、準耐火構造ではありません。
準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)は「準耐火構造」ではない
準耐火構造とは、壁・柱・床などの主要構造部が耐火被覆された、耐火構造に準ずる構造のことです。
準耐火構造の定義を理解したうえで、以下の準耐火建築物の定義を読んでください。
- 準耐火建築物(イ-1・イ-2):主要構造部が準耐火構造である建築物
- 準耐火建築物(ロ-1・ロ-2):主要構造部を準耐火構造とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物
”主要構造部を準耐火構造とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物”というのは、おかしな文章に思えますが、”建築基準法施行令109条の3”の表記そのままです。
準耐火建築物(ロ-1・ロ-2)は主要構造部が準耐火構造ではないため、竪穴区画が必要な建築物に該当しません。
よって、「ロ準耐火は竪穴区画が免除される」という結論に至るわけですね。
建築基準法で竪穴区画の基準を確認
竪穴区画の規定が書かれているのは、建築基準法施行令112条11項です。
以下に法文を抜粋しておきます。
竪穴区画が必要な建築物として「主要構造部を準耐火構造とした建築物」という条件があることがわかります。
(防火区画)※令和2年4月1日の建築基準法改正による更新済
第112条(前略)
11 主要構造部を準耐火構造とした建築物又は第136条の2第一号ロ若しくは第二号ロに掲げる基準に適合する建築物であつて、地階又は3階以上の階に居室を有するものの竪穴部分
(以下省略)
まとめ

