有効細長比とは|木造の柱の有効細長比の求め方【わかりやすく解説】

有効細長比 構造規定
  • 有効細長比って何?
  • 木造の柱の有効細長比は、どのように求める?
  • 吹き抜けに面する柱の有効細長比を求めるときの注意点が知りたい。

こんな疑問や要望に答えます。

本記事では、主に木造建築物における柱の「有効細長比」についてわかりやすく解説。

有効細長比の定義や計算方法を正しく理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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有効細長比とは

有効細長比とは、柱がどれくらい細長いかを表す指標です。

具体的にいえば、「断面の最小二次率半径に対する座屈長さの比」となります。

最小二次半径(i):「断面の形状がどれくらい曲がりにくいか」を表す指標。

断面の慣性モーメント(I)と断面積(A)を使って次の式で求めます。

i(断面の最小二次半径)=√I/A
  • I(断面二次モーメント):形状が曲がりにくいかどうかを表す数値
  • A(断面積):柱の太さを表す数値

 

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木造の柱の有効細長比の計算式

木造の柱の「有効細長比の計算式」は以下のとおり。

柱の有効細長比 (最大値) = √12 x横架材相互間の垂直距離 (最大値)÷柱の小径
出典:国交省

たとえば、1階の横架材相互間の垂直距離の最大値が273cm、柱の小径が12cmの場合、柱の有効細長比は、√12×273÷12=78.9 (小数点第2位を切り上げ) となります。

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有効細長比の設計基準

木造建築物における構造耐力上主要な柱の有効細長比は、150以下とする必要があります。

 

有効細長比に関するQ&A

Q. 吹き抜けに面した通し柱の座屈長さは、どのように計算する?
A. 吹抜けに面した壁に通し柱を設ける場合、壁の方向(図のY方向)には胴差が設けられるため、柱の座屈長さは土台から胴差、胴差から軒げた部分になります。

出典:国交省

一方、吹抜け方向(図のX方向)には通し柱の変形を拘束するものが存在しないため、座屈長さは土台から軒げたまでとなります。

解決策として、胴差を優先して「耐風ばり」として設計することが考えられますね。

耐風ばり:風圧に対する安定性を確保するために設ける梁のこと。特に、壁の強度が担保できない構造において、水平方向の強度を増すために使用されます。

 

有効細長比について建築基準法を読む

木造の柱の有効細長比について、建築基準法施行令46条3項に定められています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(柱の小径)
第四十三条

中略

6 構造耐力上主要な部分である柱の有効細長比(断面の最小二次率半径に対する座屈長さの比をいう。以下同じ。)は、百五十以下としなければならない。

以下省略

 

まとめ

  • 有効細長比は、柱がどれくらい細長いかを示す。
  • 有効細長比の計算式
    • 柱の有効細長比 (最大値) = √12 x横架材相互間の垂直距離 (最大値)÷柱の小径
  • 構造耐力上主要な柱の有効細長比は、150以下とする。

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