敷地面積とは|建築確認に使える計算方法を解説【求め方は2種類】

敷地面積とは 集団規定
  • 敷地面積って何?
  • 敷地面積の計算方法は?
  • 「建築面積」や「延床面積」との関連性も知りたい。

こんな悩みに答えます。

 

本記事では、建築基準法における『敷地面積』の定義、計算方法について解説。

建ぺい率や容積率といった建物のボリュームを決める重要な指標ともなるので、すべての建築設計者に必要な知識です。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築基準法の知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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敷地面積とは【土地の水平投影面積】

『敷地面積』とは、建築物の建つ土地の水平投影面積です。

土地の表面積を算定するわけではないので、斜面地であっても水平に面積を算定します。

敷地面積とは

単位は、平方メートル(㎡)。

不動産情報として、坪(1平方メートル=0.3025坪)で表現されることも多いですね。

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敷地面積の基本ルール

敷地面積を算定する際の基本ルールをまとめると、以下のとおり。

  • 敷地の水平投影面積により算定する(法92条、令2条)
  • 以下の道路部分は敷地面積に算入しない
    • 法42条2項道路
    • 法42条3項道路
    • 法42条5項道路

敷地面積_道路の不算入

例えば、法42条2項道路の幅員を確保するためにセットバックした部分は”建築基準法の適用前から存在するもの”以外、建築することができません。

つまり、門・塀などがセットバック部分にある場合は撤去する必要がありますね。

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敷地面積の求め方は2種類【三斜求積・座標求積】

敷地面積を計測する方法は2種類

  • 三斜さんしゃ求積
  • 座標ざひょう求積

 

三斜求積

三斜求積とは、土地をいくつかの三角形に分割して面積を求める方法です。

三斜求積の手順は以下のとおり。

  1. 土地を三角形になるように分割
  2. 各三角形の底辺と高さを測る
  3. メートル(m)単位に変換する
  4. 各三角形の面積を合計する

 

座標求積

座標求積とは、測量によって境界点(金属プレート・コンクリート杭がある点)の位置を座標値に変換し、求積する方式。

敷地面積_座標求積_盛岡地方法務局画像提供:盛岡地方法務局

座標の位置関係から敷地面積を割り出します。

計算方法が少し複雑なので、専用のソフトを用いて計算するのが一般的。

正確な求積を行うためにも、資格を持った測量士に計測してもらいましょう。

 

「敷地面積」と「登記上の土地面積」の違い

敷地面積は、登記上の土地面積と一致しないことがあります。

これは、敷地境界線と筆界(公法上の境界)の違いによるもの。

  • 敷地境界線:一団の土地と一団の土地の境
  • 筆界:一筆の土地の公法上の境界
一団の土地:土地利用上、一体として利用することが可能なひとまとまりの土地

建築基準法における敷地面積は、敷地境界線による区画の範囲を示しています。

筆界とは異なるので、所有権・賃借権など私法上の権利がおよぶ範囲とは一致しないこともあるわけですね。

 

特殊な形状の敷地における面積算定(旗竿地など)

実務で設計をしていると、敷地面積の算定に悩む「特殊な形状の敷地」があります。

この記事では、以下の3つの事例を紹介。

  1. 路地状部分のある敷地(旗竿地)
  2. 敷地内に都市計画道路があるケース
  3. 位置指定道路による隅切りのあるケース

 

路地状部分のある敷地(旗竿地)

敷地内に建築物の利用者専用の通路がある敷地(旗竿地)では、通路部分も敷地面積に含みます。

敷地面積_旗竿地

 

敷地内に都市計画道路があるケース

敷地内に事業を行うことが決定されている「都市計画道路」がある場合は、以下のような取り扱いとなります。

  • 計画道路の段階:敷地面積に算入
  • 法42条1項4号の道路の指定がされた段階:敷地面積に算入できない

 

位置指定道路による隅切りのあるケース

位置指定道路(法42条1項五号)や開発許可による道路(都市計画法29条)で設けられた隅切りは、道路の一部となるため、敷地面積に含まれません。

 

条例などによって敷地に道路状の隅切りをつくる場合は、敷地面積に算入することができます。

 

建ぺい率・容積率との関係性

敷地面積は建ぺい率と容積率に関係します。

  • 建ぺい率=建築面積÷敷地面積
  • 容積率=延べ面積÷敷地面積

建ぺい率とは【わかりやすく図解】

容積率とは

どちらも土地に建てられる建物の規模を決める指標。

建ぺい率・容積率について詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

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敷地面積について建築基準法を読む

敷地面積の定義は、建築基準法の施行令2条に書かれています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル 建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解するのがおすすめです。

(面積、高さ等の算定方法)

第2条 次の各号に掲げる面積、高さ及び階数の算定方法は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 敷地面積

敷地の水平投影面積による。ただし、建築基準法(以下「法」という。)第42条第2項、第3項又は第5項の規定によつて道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、算入しない。

以下省略

 

まとめ

  • 敷地面積とは、建築物の建つ土地の水平投影面積。
  • 敷地面積の算定ルール
    • 敷地の水平投影面積により算定する
    • 以下の部分は敷地面積に算入しない
      • 法42条2項道路
      • 法42条3項道路
      • 法42条5項道路
  • 敷地面積を計測する具体的な方法は2種類。
    1. 三斜求積:土地を三角形に分割して面積を求める方法。
    2. 座標求積:境界点の位置を座標値に変換して求積する方式。
  • 敷地面積は、登記上の土地面積と一致しないことがある。

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