【道路斜線の緩和】2つの道路に接する敷地の『2aの取り方』を解説

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  • 道路斜線の検討をするときの「2A」って、どういう意味?
  • 敷地に2つの道路が接するときの道路斜線の緩和について知りたい。
  • 敷地が2つの道路に挟まれている場合は、斜線の緩和が使える?

こんな疑問に答えます。

 

この記事では、敷地に2つ以上の道路が接するときの道路幅員の緩和について図解付きで解説。

道路斜線の緩和の一つ「2aの範囲内における幅員の緩和」について、正しく理解できるかと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。

住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

 

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2つの道路に接するときの道路斜線の緩和

道路斜線制限には、敷地が2つの道路に接するときに使える緩和方法があります。

例えば、角敷地で2つの道路の幅員がそれぞれ違うときに、「狭い方の幅員」を「広い方の幅員」とみなして、斜線を検討することが可能。

 

以下の条件に当てはまる部分では、狭い方の道路を「広い方の道路幅員とみなす」緩和が使えます。

  • 2A(=広い方の道路幅員A×2)かつ、35m以内の部分
  • 狭い方の道路中心から10mを超える部分

 

2つの道路に接するときの道路斜線の緩和 (平面図)

 

2つの道路に接するときの道路斜線の緩和 (立面図)

 

角敷地だけでなく、どのような形でも、敷地に2つ以上の道路が接していれば、斜線の緩和が適用できます。

「2つの道路に接する敷地」は、大きく分けて4パターン。

  • 2つの道路が交わる敷地(角地)
  • 2つの道路に挟まれた敷地
  • T字路に面する敷地
  • 幅員の違う2つの道路が接続する敷地

言葉で聞いてもイメージしづらいですよね…。

ここからは、4つのパターンごとに図解付きで解説していきます。

 

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「2つの道路が交わる敷地(角地)」の2Aの取り方

先ほども軽く触れましたが、2つの道路が敷地に接すると聞いて、パッと思いつくのは、角地ですね。

角地のときの2aの範囲の取り方は、以下のとおり。

 

2つの道路に接するときの道路斜線の緩和 (平面図)

 

当たり前ですが、2aかつ35m以内の範囲に敷地全体が入っている場合は、敷地全域を広い方の道路幅員とみなして、斜線検討が可能。

戸建て住宅を設計するときなど、敷地が狭ければ、敷地内すべて2aの範囲内ということも、わりと多いですね。

 

「2つの道路に挟まれた敷地」の2Aの取り方

『2つの道路に挟まれた敷地』というのは、道路と道路にサンドイッチされているような敷地ですね。

 

2つの道路に挟まれているときの道路斜線の緩和

設計者から確認申請の相談を受けるときに、「道路に挟まれた敷地でも斜線の緩和が使えるのか」という質問が結構あります。

上記の図を参考として、2Aの領域の中であれば、道路斜線の緩和を適用してもOK。

 

「T字路に面する敷地」の2Aの取り方

敷地の前の道路が「T字路」に面するときも道路斜線の緩和があります。

 

T字路のときの道路斜線の緩和

 

意外と知らない人が多いかと。

確認申請で審査をしていても、T字路での斜線の緩和を使っているケースは、見ることが少ないです。

この緩和を知っていたらもう少し建物を高く設計していたという方もいるかもしれませんね。

 

「幅員の異なる2つの道路が接続する敷地」の2Aの取り方

幅員の異なる2つの道路が敷地前面で接続している敷地でも、斜線の緩和が適用可能です。

文章にすると、意味がわからないと思うので、以下の図で確認してください。

 

幅員の異なる道路に接する敷地の道路斜線緩和

 

上記のイメージ図のような敷地に出会うことは、めったに無いかと…。500件くらい審査していたら1〜2件あるかなという印象ですね。

なんとなく記憶に留めておいて、いざ緩和が使えそうな敷地に出会ったら、改めてこの記事を読んでもらえればいいかと思います。

 

【番外編】広い方の道路幅員が一定でないときの2Aの取り方

以下の図のように、敷地に道路が2つ接しているけど、広い方の道路幅員が一定ではないとき、2Aの範囲はどのように取ればいいでしょうか?

 

広い方の道路幅員が一定でないときの平面図

 

明確な答えはなく、建築主事の法解釈によって変わる可能性はありますが、ひとつの案としては、以下の考え方がよいかと。

 

広い方の道路幅員が一定でないときの斜線緩和 

 

一つの道路のなかで、「最も幅員が広い位置」から「狭い方に2m離れた位置」を道路幅員と仮定した上で、2aの範囲を設定するという考え方。

実際に確認申請を出すときは、上記の検討方法でよいか、事前に検査機関に相談してから提出することをおすすめします。

 

まとめ

  • 道路斜線制限には、2つの道路に接する敷地で使える緩和がある。
  • 以下の条件に当てはまる部分では、狭い方の道路幅を「広い方の道路幅とみなす」
    • 2A(=広い方の道路幅員A×2)かつ、35m以内の部分
    • 狭い方の道路中心から10mを超える部分
  • 「2つの道路に接する敷地」は、大きく分けて4パターン。
    • 2つの道路が交わる敷地(角地)
    • 2つの道路に挟まれた敷地
    • T字路に面する敷地
    • 幅員の違う2つの道路が接続する敷地
  • 広い方の道路幅員が一定でないときは、「最も幅員が広い位置」から「狭い方に2m離れた位置」を道路幅員と仮定して2Aの範囲を設定する。