都市計画区域とは|区域の調べ方・用途地域の有無をわかりやすく解説

都市計画区域とは 集団規定
  • 都市計画区域って、どんなエリア?
  • 用途地域の制限はある?
  • 都市計画区域の調べ方が知りたい。

こんな疑問に答えます。

本記事では、都市計画区域について分かりやすく解説。

都市計画区域の成り立ちや建築物にかかる制限を理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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都市計画区域(都市計画法5条)とは

都市計画区域とは、主に以下の社会的条件をふまえて、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する区域のことです。

  • 人口
  • 土地利用
  • 交通量
  • 就業者数

都市計画区域外

都市計画区域は、都道府県知事や国土交通大臣が指定。

都市計画区域は、市街化すべき地域を効率的に整備するため3つのエリアに分けられています。

  1. 市街化区域
  2. 市街化調整区域
  3. その他の区域(非線引き区域)

出典:国土交通省

市街化区域

市街化区域は「すでに市街地を形成している区域」または「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」です。

積極的な建築活動が可能。

市街化区域には「用途地域」が定められています。

市街化調整区域

市街化調整区域とは、市街化を抑制すべき区域です。

新たに建築物を建てたり、増築することが原則としてできない地域といえます。

「用途地域」も定められていません。

その他の区域(非線引き都市計画区域)

都市計画区域には、市街化区域および市街化調整区域の区分のないエリアもあります。

通称として「非線引き区域」や「白地地域」で呼ばれることも。

非線引き都市計画区域の中には「用途地域」が指定されているエリアもあります。

 

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都市計画区域に適用される法規制

建築基準法において、都市計画区域および準都市計画区域で建築するときの主な規定は以下のとおり。

  • 建築物又はその敷地と道路又は壁面線との関係等(第四十三条―第四十七条)
  • 建築物の用途(第四十八条―第五十一条)
    • 用途地域等
    • 特別用途地区
    • 特定用途制限地域
  • 建築物の敷地及び構造(第五十二条―第六十条)
    • 容積率
    • 建蔽率
    • 建築物の敷地面積
    • 第一種低層住居専用地域等内における外壁の後退距離
    • 第一種低層住居専用地域等内における建築物の高さの限度
    • 建築物の各部分の高さ
    • 日影による中高層の建築物の高さの制限
    • 高度地区
    • 高度利用地区
    • 特定街区
  • 都市再生特別地区、居住環境向上用途誘導地区及び特定用途誘導地区(第六十条の二―第六十条の三)
  • 防火地域及び準防火地域(第六十一条―第六十六条)
  • 特定防災街区整備地区(第六十七条・第六十七条の二)
  • 景観地区(第六十八条)
  • 地区計画等の区域(第六十八条の二―第六十八条の八)

逆にいえば、都市計画区域・準都市計画区域以外では上記の制限が適用されないということ。

詳しくは、都市計画区域外とは|建築確認の要否、建築時のメリット・デメリットという記事にまとめています。

 

都市計画区域の調べ方

都市計画区域を調べる手順は以下のとおりです。

  1. 都市計画マップを確認する
  2. 地方自治体のウェブサイトを調べる
  3. 市町村役場に問い合わせる

都市計画マップを確認する

都市計画マップは市町村が作成している地図で、都市計画法によって指定された区域を表示しています。

「○○(自治体の名称) 都市計画」などのキーワードでインターネット検索してみましょう。

都市計画マップを公開している自治体であれば、検索結果の上位に表示されるため、すぐに見つかると思います。

地方自治体のウェブサイトを調べる

敷地のある地方自治体のホームページに都市計画情報が掲載されていることがあります。

ただし、ウェブサイトはあくまでも参考程度。詳しい情報は市町村役場で確認することをおすすめします。

市町村役場に問い合わせる

ウェブサイトで情報が得られない場合は、市町村役場(都市計画課など)に問い合わせます。

土地の所有者や地番の情報を伝えれば、都市計画区域に関する情報を確認することができます。

 

都市計画区域で建築するメリット

都市計画区域に建築物を建てると「●利便性の向上や地価の上昇●環境面の改善●規制の確保」など、様々なメリットがあります。

利便性の向上

都市計画区域は、市街地や住宅地など、それぞれの用途に合わせた地域が指定されています。

商業施設や住宅などがエリアごとに整備されているため、日常生活の利便性は高いでしょう。

地価の上昇

都市計画区域は、都市計画に基づいて適切に整備された地域であるため、周辺の地価が上昇する傾向があります。

環境面の充実

都市計画区域には、緑地・公園・遊歩道など、自然環境の保全に配慮した地域もあります。

また、道路や橋などのインフラ整備も進みやすいですね。

規制の確保

都市計画区域には、建築物の高さや面積など、建築基準法に基づいた規制が定められています。

規制への遵守が求められることで、その地域に適した建築物が建ち並びます。

 

都市計画区域で建築するデメリット

都市計画区域に建築物を建てる場合、「●細かな規制●高い土地価格●環境面の悪化●自然災害のリスク」といったデメリットもあります。

厳しい法規制

都市計画区域では、建築物の形状や高さ、色、配置など、細かな規制が定められています。

これらの規制に適合しなければ、建築許可を得ることができないため、建物のデザインに制約がかかります。

土地の価格が高い

交通の便がよく、商業の発展した地域は、都市計画区域外に比べて土地の価格が高くなります。

環境面の悪化

都市計画区域には多くの建築物が建ち並ぶため、騒音や大気汚染などによる環境の悪化が懸念されます。

地盤沈下や自然災害のリスク

都市計画区域は、地盤沈下や地震、洪水などの自然災害のリスクが高い地域も含まれています。

建築物を建てる際は、これらのリスクを踏まえて適切な対策が必要となります。

 

建築基準法を読む

建築基準法において、都市計画区域および準都市計画区域内のみに適用されるのは「法第三章」の各規定です。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2024 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2024といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

第三章 都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途

第一節 総則

(適用区域)

第四十一条の二 この章(第八節を除く。)の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用する。

 

都市計画法を読む

都市計画区域の指定方法は、都市計画法5条に定められています。

(都市計画区域)

第五条 都道府県は、市又は人口、就業者数その他の事項が政令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。この場合において、必要があるときは、当該市町村の区域外にわたり、都市計画区域を指定することができる。

2 都道府県は、前項の規定によるもののほか、首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)による都市開発区域、近畿圏整備法(昭和三十八年法律第百二十九号)による都市開発区域、中部圏開発整備法(昭和四十一年法律第百二号)による都市開発区域その他新たに住居都市、工業都市その他の都市として開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。

3 都道府県は、前二項の規定により都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴くとともに、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。

4 二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、国土交通大臣が、あらかじめ、関係都府県の意見を聴いて指定するものとする。この場合において、関係都府県が意見を述べようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければならない。

5 都市計画区域の指定は、国土交通省令で定めるところにより、公告することによつて行なう。

6 前各項の規定は、都市計画区域の変更又は廃止について準用する。

 

まとめ

  • 都市計画区域とは、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する区域のこと。
  • 都市計画区域は、3つのエリアに分けられている。
    1. 市街化区域
    2. 市街化調整区域
    3. その他の区域(非線引き区域)
  • 都市計画区域を調べる手順
    1. 都市計画マップを確認する
    2. 地方自治体のウェブサイトを調べる
    3. 市町村役場に問い合わせる

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