
- 木造の構造設計における四分割法って何?
- どのような基準をクリアすればいい?
- 建築基準法にもとづく計算方法を教えてほしい。
こんな疑問や要望に答えます。
本記事では、木造の構造仕様規定における「四分割法」についてわかりやすく解説。
木造2階建ての住宅など、小規模な建築物を設計するときに役立つ知識が身につきます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
四分割法とは
四分割法とは、木造建築物の平面を東西・南北方向に4等分し、各側端部分の耐力壁の量とバランスを評価する構造設計手法です。
✓ 四分割法の流れ
- 側端部分の必要壁量を求める
- 各階・各方向の側端部分について、地震力に対する必要壁量を算出
- 側端部分の存在壁量を求める
- 壁量充足率を計算する
- 壁量充足率=存在壁量/必要壁量
- 壁率比を確認
- 壁率比=壁量充足率の小さい側/壁量充足率の大きい側
- バランスの判定 ※ABどちらか満たせばOK
- A:各階・各方向の壁量充足率>1.0
- B:各階・各方向の壁率比≧0.5
この方法は、2000年施行の建設省告示第1352号に定められているもの。
耐力壁が適切に配置されているか判断し、地震や風による「ねじれ」を防ぎます。

主に、2階建て以下の木造建築物に用いられていますね。
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四分割法の計算方法
建物の平面を縦方向と横方向にそれぞれ4等分し、外側1/4の部分(側端部分)を計算の対象とします。
側端部分の必要壁量を求める
各側端部分の床面積を計算し、「床面積あたりの必要壁量」を掛けて必要壁量を求めます。
床面積あたりの必要壁量は、建築物の荷重の実態に応じて算定。

以下の2種類の支援ツールを利用しましょう。
種類 | 概要 | |
A | 早見表 | 住宅の仕様等に対応した早見表の中から、計画している住宅の条件に合うものを選択。その表から床面積あたりの必要壁量を選ぶ。 |
B | 表計算ツール | 表計算プログラムで、「A 早見表」よりも詳細な情報を、入力または選択することで、床面積あたりの必要壁量が自動計算されます。「A 早見表」よりも精緻な算定が可能。 |
側端部分の存在壁量を求める
耐力壁の長さとその壁倍率を掛けて、存在壁量を計算します。
壁量充足率を計算
存在壁量を必要壁量で割って、壁量充足率を求めます。
壁量充足率が1を超えるかどうかを確認します。
壁率比を確認
壁量充足率が1以下の場合、左右・上下(または東西・南北)の壁量充足率のバランスを確認します。
壁率比が0.5以上であることを確認。
適合性の判定
各側端部分について、上記の手順を繰り返し、すべての方向(東西・南北)で壁量充足率と壁率比が適切であることを確認します。

2階建ての建物の場合も、同様の手順で各階の側端部分について計算を行います。
四分割法に関するQ&A
四分割法について、よくある質問をまとめました。
- 凹凸のある平面形状の建築物で四分割法を検討する場合
- 2階建ての建築物で、1階に下屋がある場合
凹凸のある平面形状の建築物で四分割法を検討する場合
2階建ての建築物で、1階に下屋がある場合


2階建てでも、下屋部分は平屋建てとして計算します。
2階外壁の中心が1階の1/4ライン上にある場合は、 平屋の必要壁量でOK。わずかでも2階がかかっている場合は、2階建ての1階部分の必要壁量を用いましょう。
建築基準法で四分割法について読む
四分割法は建築基準法46条4項に基づき、建設省告示1352号に定められています。
「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル や建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。
平成12年5月23日 建設省告示第1352号
改正 平成19年9月27日 国土交通省告示第1227号
木造建築物の軸組の設置の基準を定める件
建築基準法施行令(以下「令」という。)第46条第4項に規定する木造建築物においては、次に定める基準に従って軸組を設置しなければならない。ただし、令第82条の6第二号ロに定めるところにより構造計算を行い、各階につき、張り間方向及びけた行方向の偏心率が0.3以下であることを確認した場合においては、この限りでない。
一 各階につき、建築物の張り間方向にあってはけた行方向の、けた行方向にあっては張り間方向の両端からそれぞれ4分の1の部分(以下「側端部分」という。)について、令第46条第4項の表一の数値に側端部分の軸組の長さを乗じた数値の和(以下「存在壁量」という。)及び同項の表二の数値に側端部分の床面積(その階又は上の階の小屋裏、天井裏その他これらに類する部分に物置等を設ける場合においては、平成12年建設省告示第1351号に規定する数値を加えた数値とする。)を乗じた数値(以下「必要壁量」という。)を求めること。この場合において、階数については、建築物全体の階数にかかわらず、側端部分ごとに独立して計算するものとする。
二 各側端部分のそれぞれについて、存在壁量を必要壁量で除した数値(以下「壁量充足率」という。)を求め、建築物の各階における張り間方向及びけた行方向双方ごとに、壁量充足率の小さい方を壁量充足率の大きい方で除した数値(次号において「壁率比」という。)を求めること。
三 前号の壁率比がいずれも0.5以上であることを確かめること。ただし、前号の規定により算出した側端部分の壁量充足率がいずれも1を超える場合においては、この限りでない。
附 則(平成12年5月23日 建設省告示第1352号)
この告示は、平成12年6月1日から施行する。
まとめ
- 四分割法とは、平面を東西・南北方向に4等分し、各側端部分の耐力壁の量とバランスを評価する構造設計手法。
- 四分割法の流れ
- 側端部分の必要壁量を求める
- 側端部分の存在壁量を求める
- 壁量充足率を計算する
- 壁率比を確認
- バランスの判定
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