都市計画区域外とは|建築確認の要否、建築時のメリット・デメリット

都市計画区域外 集団規定
  • 都市計画区域外って、どんな地域?
  • 都市計画区域外に建築するときのメリットとデメリットが知りたい。
  • 「建築確認申請を受ける必要がない」ってホント?

こんな疑問に答えます。

本記事では、「都市計画区域以外の地域」における建築規制についてわかりやすく解説。

都市計画区域外の成り立ち、建築物をつくるときのメリット・デメリットなどを理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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都市計画区域外とは

「都市計画区域外」とは、都市計画区域・準都市計画区域に含まれない地域のことです。

都市計画区域外

日本の国土は、以下の3種類に大きく分けられます。

  1. 都市計画区域:人口・土地利用・交通量などの社会的条件をふまえて、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する区域
  2. 準都市計画区域:一体の都市として積極的な整備や開発を行わないものの、乱開発を防ぐために土地利用規制のみが求められる区域
  3. 行政区域(都市計画区域外

都市計画区域外には、都市計画法が適用されません。建設や土地利用に関する規制は都道府県や市町村の条例等によって定められます。

主に、市街地や宅地化が進んでいない以下のようなエリア。

  • 農村
  • 山間部や森林地域
  • 海岸
  • 湖沼周辺

都市部から離れていることから自然豊かな場所が多いでしょう。

交通の便が悪いため、価格の安い土地が数多くあります。アウトドアに興味のある人や、安価な住宅を求める人にとって魅力的な地域ですね。

 

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都市計画区域外における建築確認の要否

以下の区域以外で、建築基準法6条1項四号に当てはまる建築物(※四号建築物)を建築するとき、確認申請は不要となります。

  • a. 都市計画区域・準都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く)
  • b. 景観法第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く)
  • c. 都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域

4号建築物_区分けチャート2

つまり、都市計画区域外で「d.都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域」にも含まれない地域であれば、四号建築物は確認申請が不要ということ。

確認申請の手続きは不要となるものの、建築基準法を守って設計する必要はあります。

都市計画区域外であっても、建築基準法に違反するような建物をつくってはいけません。勘違いしないようにしましょう。

 

対象外となる建築基準法の制限【接道・建ぺい率・容積率など】

建築基準法第三章に含まれる規定は、都市計画区域または準都市計画区域にのみ適用されます。

建築基準法第三章の主な規定(集団規定)

  • 接道
  • 用途地域
  • 建ぺい率
  • 容積率
  • 高さ制限
  • 防火地域・準防火地域

逆にいえば、都市計画区域外で建築物をつくる場合は上記の制限を受けないということ。

たとえば、公道に面していない敷地に住宅を建てたり、建ぺい率の制限がないことから敷地いっぱいに建物を建てられますね。

建築基準法による規制が緩いというメリットを活かした自由度の高い建築計画が可能となります。

 

都市計画区域外のメリット・デメリット

都市計画区域外には、建築物を建てる際のメリットとデメリットがあります。

都市計画区域外のメリット

広々としたスペースを利用できる

広大なスペースを利用した自由なアイデアやプロジェクトを実現することができます。

自然環境に恵まれた場所

山や海、川、湖などの自然に恵まれた土地で、健康的なライフスタイルを送ることができます。

自由度の高い建築物の建設が可能

都市計画区域内と比較して法規制がゆるいため、建築主の希望に合わせた建築物を実現しやすくなります。

都市計画区域外のデメリット

交通の便が悪い

交通の便が悪い場所が多いため、移動に時間がかかります。

自家用車などの交通手段を持っていない場合は、生活が不便になるでしょう。

資産価値が低い

別荘地や観光地などは別として、土地の価値は建築した時点から下落していくでしょう。

戸建て住宅をローンで購入する場合、大手銀行では審査が通らない可能性もあります。

生活環境が不安定

都市計画区域内と比較して生活環境が安定しません。

  • 自然災害のリスクが高くなる
  • 医療機関や商業施設が少ない

規制が少ないため、トラブルが起きやすい

規制が少ないため、以下のようなトラブルの危険性が高くなります。

  • 近隣住民とのトラブル
  • 建物や施設の機能不全

 

建築基準法を読む

建築基準法のなかで都市計画区域に関連する条文をまとめました。

(用語の定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

中略

二十 都市計画区域又は準都市計画区域 それぞれ、都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域又は準都市計画区域をいう。

(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの

二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの

三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの

四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

以下省略

第三章 都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途
第一節 総則
(適用区域)
第四十一条の二 この章(第八節を除く。)の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用する。

第八節 都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域内の建築物の敷地及び構造
第六十八条の九 第六条第一項第四号の規定に基づき、都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内においては、地方公共団体は、当該区域内における土地利用の状況等を考慮し、適正かつ合理的な土地利用を図るため必要と認めるときは、政令で定める基準に従い、条例で、建築物又はその敷地と道路との関係、建築物の容積率、建築物の高さその他の建築物の敷地又は構造に関して必要な制限を定めることができる。

2 景観法第七十四条第一項の準景観地区内においては、市町村は、良好な景観の保全を図るため必要があると認めるときは、政令で定める基準に従い、条例で、建築物の高さ、壁面の位置その他の建築物の構造又は敷地に関して必要な制限を定めることができる。

 

都市計画法を読む

都市計画区域および準都市計画区域の定義は、都市計画法に定められています。

(都市計画区域)
第五条 都道府県は、市又は人口、就業者数その他の事項が政令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。この場合において、必要があるときは、当該市町村の区域外にわたり、都市計画区域を指定することができる。

2 都道府県は、前項の規定によるもののほか、首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)による都市開発区域、近畿圏整備法(昭和三十八年法律第百二十九号)による都市開発区域、中部圏開発整備法(昭和四十一年法律第百二号)による都市開発区域その他新たに住居都市、工業都市その他の都市として開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする。

3 都道府県は、前二項の規定により都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴くとともに、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。

4 二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、国土交通大臣が、あらかじめ、関係都府県の意見を聴いて指定するものとする。この場合において、関係都府県が意見を述べようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければならない。

5 都市計画区域の指定は、国土交通省令で定めるところにより、公告することによつて行なう。

6 前各項の規定は、都市計画区域の変更又は廃止について準用する。

(準都市計画区域)
第五条の二 都道府県は、都市計画区域外の区域のうち、相当数の建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の建築若しくは建設又はこれらの敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる区域を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)その他の法令による土地利用の規制の状況その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、そのまま土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域を、準都市計画区域として指定することができる。

2 都道府県は、前項の規定により準都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければならない。

3 準都市計画区域の指定は、国土交通省令で定めるところにより、公告することによつて行う。

4 前三項の規定は、準都市計画区域の変更又は廃止について準用する。

5 準都市計画区域の全部又は一部について都市計画区域が指定されたときは、当該準都市計画区域は、前項の規定にかかわらず、廃止され、又は当該都市計画区域と重複する区域以外の区域に変更されたものとみなす。

 

まとめ

  • 「都市計画区域外」とは、都市計画区域・準都市計画区域に含まれない地域のこと。
  • 都市計画区域外で「都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域」にも含まれない地域であれば、四号建築物は確認申請が不要。
  • 都市計画区域外では、建築基準法における以下の規定は適用されません。
    • 接道
    • 用途地域
    • 建ぺい率
    • 容積率
    • 高さ制限
    • 防火地域・準防火地域

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