木三共(=木造3階建て共同住宅)とは|建築基準法の用語を解説

防火規定

2019年(令和元年)の建築基準法改正にともない、記事を加筆・修正しました。

  • 木三共(もくさんきょう)って何?聞き覚えはあるけど、具体的にはよくわからない…。
  • 木三共を建てるメリットはある?

こんな疑問に答えます。

本記事では「木三共(もくさんきょう)」という用語の意味と、建設する際のメリットについて解説。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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木三共とは【1時間準耐火構造の木造3階建て共同住宅】

「木三共(読み:もくさんきょう)」とは通称で、木造3階建て共同住宅を省略した言葉です。

なぜ「鉄骨3階建て共同住宅=鉄三共(てつさんきょう)」といった用語はないのに、「木三共」だけ特殊な言い回しがあるのでしょうか?理由を解説していきます。

 

階数3以上の共同住宅は原則、『耐火建築物』にしなければなりません。

しかし、建物の防火性能を確保し、避難に関する一定の条件を満たすことで、”耐火建築物”とすべきところを『1時間準耐火建築物(イ-1)』に緩和する方法があります。

このように、『1時間準耐火建築物(イ-1)』として設計される”木造3階建て共同住宅”が、「木三共」と呼ばれます。

念のため、上記の内容を建築基準法にもとづいて解説しておきます。

建築基準法27条において、3階建以上の共同住宅は原則「耐火建築物」としなければなりません。

しかし、 ”国土交通省告示第255号”に定められた一定の基準を満たす共同住宅は、「耐火建築物としなければいけない」という規制が緩和され、1時間準耐火建築物(イ-1)で建築可能という流れですね。

2019年(令和元年)の建築基準法27条の改正により、階数が3で延べ面積が200㎡未満の共同住宅であれば、「耐火建築物以外」でも建築できるようになっています。
1時間準耐火建築物(イ-1)とは、主要構造部を告示または大臣認定で定められた1時間準耐火性能を有する構造とした準耐火建築物。

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木三共(=木造3階建て共同住宅)の規模は、どのくらい?

確認検査員としての経験上、木三共の規模として多いのは、床面積250~500㎡程度でしょうか。

500㎡を超えると建てられないということは無いのですが、大阪市内では建築基準法施行条例で耐火建築物にしなければならない場合があるなど、告示255号の条件を満たしたとしても「耐火建築物」にしなければいけないケースも出てきます。

 

木三共(=木造3階建て共同住宅)を建てるメリットとは?

「1時間準耐火建築物」と「耐火建築物」を比較すると、耐火被覆の仕様が異なるため、木三共は施工費を抑えやすい、という大きなメリットがあるかと。

一般的な耐火建築物は、鉄骨造もしくはRC造で建築されることが多いため、木造で建てるよりも施工時のコストが上がります。

最近は木造でも耐火建築物が建てられるように法改正や大臣認定構法の開発がされていますが、耐火被覆材(石膏ボードなど)が1時間準耐火構造に比べると大幅に必要。やはり、コスト面で1時間準耐火建築物の方が有利でしょう。

建設費をできるだけ安く抑えて、住戸を満室にした時点で売却するなど、資産運用における需要があるようですね。

 

まとめ

  • 「木三共」とは、木造3階建て共同住宅を省略した言葉。
  • 「木三共」は、一定の設計条件を満たした1時間準耐火構造の「木造3階建て共同住宅」
  • 木三共の規模として多いのは、床面積250~500㎡程度。(※個人的な統計)
  • 「木三共」の設計基準を満たすことによって、RC造と鉄骨造に比べて低コストで3階建ての共同住宅を建てることができる。

 

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