垂れ壁(下がり壁)とは|目的・種類・設置基準をわかりやすく解説

垂れ壁 建築基準法まとめ
  • 垂れ壁って何?
  • どんなときに設ける必要がある?
  • 建築基準法における垂れ壁の種類を整理したい。

こんな疑問に答えます。

本記事では、建設用語の「垂れ壁」についてわかりやすく図解。

記事を読むことで、垂れ壁を設けるべき位置や目的、種類を理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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垂れ壁とは【天井または梁から垂れ下がる壁】

垂れ壁(読み:たれかべ)とは、建築物の天井または梁から垂れ下がる壁のことです。

垂れ壁

垂れ壁をつくる主な目的は2パターン。

  1. デザイン
  2. 建築基準法による規制

デザイン性を求めてつくる垂れ壁は、空間を柔らかく仕切りたいときに用います。アーチ型(R型)にすることでかわいらしさを演出することも。

建築基準法にもとづく垂れ壁は、火災時に天井をはうように伝わる煙や炎を遮るかたちで設置します。

 

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建築基準法による垂れ壁の種類

建築基準法によって設ける垂れ壁を整理すると以下のとおり。

  • 防煙垂れ壁
  • 内装制限を緩和するための垂れ壁

防煙垂れ壁

建築基準法において定められた用途・規模に当てはまる建築物には「排煙設備」が必要となります。

この排煙設備に付属し、防煙区画を構成するのが「防煙垂れ壁」

詳しくは、防煙垂れ壁の設置基準とは|建築基準法による構造・高さを図解をご確認ください。

内装制限を緩和するための垂れ壁

建築基準法において、火気使用室(ガスコンロを設置するキッチンなど)には、壁・天井の内装仕上げが制限されています。

火災リスクの高い場所の壁や天井は、燃えにくい材料で仕上げるということ。

詳しくは、内装制限とは|建築基準法をわかりやすく解説【緩和条件も紹介】にまとめています。

この内装制限を緩和するために垂れ壁を設けることがあります。

垂れ壁_内装制限 緩和

図のように、 キッチンとダイニングの間に垂れ壁を設けた場合は、 キッチン部分のみが内装制限を受けることに。

ダイニングの内装を自由に選べるわけですね。

 

垂れ壁の構造

建築基準法によって設ける垂れ壁の構造は、以下のいずれかとします。

  • 不燃材料でつくる
  • 不燃材料で覆う

壁と同じ仕上げで垂れ壁をつくる場合、不燃材料として大臣認定を受けた石膏ボードとビニルクロスを組み合わせが多いですね。

ガラス性の垂れ壁を計画することもあります。

さらに、デザイン的に垂れ壁を見せたくないときは「可動式の垂れ壁」を設けることも。

普段は天井に収納されていて、火災が発生した際に煙感知器に連動して垂れ壁が降りてきます。

可動式の防煙垂れ壁の設計方法は、防火避難規定の解説2023を参照してください。

 

垂れ壁に必要な高さ

建築基準法において、垂れ壁に求められる高さは500㎜(50㎝)です。

排煙設備_防煙垂れ壁

どうしても垂れ壁が天井から50㎝確保できないときは、高さ30㎝の垂れ壁+常時閉鎖式の不燃戸でもOK。

防煙垂れ壁_300㎜+常時閉鎖式不燃戸

詳しくは、『排煙設備』とは|建築基準法の設置基準まとめ【免除の方法も解説】をご確認ください。

 

垂れ壁と下がり壁の違い

垂れ壁と下がり壁はほぼ同じ意味で用いられます。

ただ、建築基準法においては「垂れ壁」という言葉が使われているため、設計実務においては垂れ壁と表現するほうが無難でしょう。

 

垂れ壁について建築基準法を読む

排煙設備における防煙垂れ壁は、建築基準法施行令126条の2に書かれています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2024 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2024といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

第三節 排煙設備

(設置)
第百二十六条の二 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。

 

まとめ

  • 垂れ壁とは、建築物の天井または梁から垂れ下がる壁。
  • 建築基準法によって設ける垂れ壁
    • 防煙垂れ壁
    • 内装制限を緩和するための垂れ壁
  • 建築基準法によって設ける垂れ壁の構造(※以下のいずれか)
    • 不燃材料でつくる
    • 不燃材料で覆う
  • 建築基準法において垂れ壁に求められる高さは500㎜(50㎝)。
  • 垂れ壁と下がり壁は同じ意味。

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