
- 増築の確認申請を提出するときに必要な書類が知りたい。
- 新築の確認申請との違いは何?
- 既存建物の検査済証は必要?
こんな疑問に答えます。
本記事では、増築の確認申請を出す際の必要書類について紹介します。
増築の建築確認を初めて提出する方で「どんな資料を揃えればよいかわからない…」といった方に有益な情報かと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。
住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。
増築の確認申請に必要な書類とは
増築の確認申請を行うにあたって、必ず準備しておきたい2つの書類があります。
- 既存建物の検査済証の写し or 台帳記載事項証明書
- 既存建物の確認申請図書(副本)

既存建物の検査済証は、すでに敷地に建っている建築物が『違反建築物』でないことを証明するために必要。
既存建物の検査済証や副本は、建築主や建物の管理者が保管している事が多いかと。確認申請をスムーズに進めるために、コピーを取らせてもらうといいですね。
もし、検査済証の原本が紛失した等の理由で無い場合は、市役所の建築課で、台帳記載事項証明書を取得しましょう。
台帳記載事項証明書とは、既存建物が検査済証を取得していることを証明する書類のことで、検査済証の代わりになります。
既存建物が検査済証を取得していない場合は要注意
もしも既存の建物が完了検査を受けておらず、検査済証が交付されていない場合は、『増築』を行うことが非常に難しくなります。

なぜ、既存建物が検査済証を取得していないと増築ができないんですか?

「違反建築物のある敷地には増築できない」という原則が、建築基準法にはあるからです。
違反建築物は、ただちに建築基準法に適合するように改修しなければならず、是正を終えるまでは、増築を行うことができません。
検査済証が無いということは、「既存の建物が建築基準法に適合していること」を証明することができない状態。
既存建物が違反建築物の疑いがあると『増築』できないので、既存建物の検査済証の有無は最重要です。
検査済証がない敷地の増築申請を確認検査機関に提出しようとしても、「受付できない」と門前払いを受ける確率が高いかと。まずは計画敷地を管轄している特定行政庁に相談することをおすすめします。
確認申請図書の副本が無い場合はどうする?
確認申請当時の副本が残っていない場合、既存建物に関する情報(図面など)が不足するため、増築をおこなう設計者が既存部分の図面を作成することになります。
とても手間のかかる作業ですし、正しい図面を復元できるかどうかが怪しい…。
特に『同一棟増築』の計画で、副本が無いときは要注意。
『同一棟増築』では既存部分と増築部分が一体で「一つの建築物」とみなし、建築基準法の防火避難規定などに適合させなければいけません。

副本が無いと既存建物の状況をつかむのに苦労するため、設計がスムーズに進まないことがあります。
最低でも「竣工図」や「既存建物の概要書」などの図面を手に入れたうえで、民間検査機関に出向き、確認申請の受付が可能かどうかを相談しておきましょう。
都市計画情報(用途地域など)に関する資料を準備
市役所などの行政機関の窓口、もしくはインターネットで申請敷地の現在の都市計画情報を調べましょう。
特に確認しておきたいのは、既存建物が建設された時点から、都市計画情報が変更されていないかどうか。以下の項目は必ずチェックしておきたいですね。
- 都市計画区域等の区域区分(市街化区域 or 市街化調整区域など)
- 用途地域
- 防火地域など
- 指定建ぺい率・指定容積率
- 地区計画(高度地区など)

上記を調べた上で、既存建物の申請図書(副本)と違いがないか比較しましょう。
既存建物が建築された時点から、都市計画情報が一つでも変更されている場合は要注意。
「変更後の都市計画において、既存建物が建築基準法に適合しているかどうか」を調べる必要が出てきます。

既存建物が現在の都市計画では、建築基準法に適合していないことがわかったらどうすればいいですか?

変更後の地域地区で建築基準法に適合しない場合は「既存不適格建築物」となります。現在の法律に適合するよう既存建物を改修するか、一定の条件を満たして緩和を適用するかの二択かと。
詳しくは、【増築】既存不適格建築物の取り扱いをわかりやすく解説という記事にまとめましたので、ご参考までにどうぞ。

見逃しやすい!日影規制に関する検討の有無
都市計画の変更により、建築基準法の再検討が必要となる項目の中で、特に見逃しやすいのが日影規制に関する検討。

確認申請の事前相談で、設計者の方が日影規制に関する検討を忘れていたというケースを何度か経験しました。
例えば、敷地内に高さ10mを超える既存建物がある場合で、申請地の用途地域が日影規制対象エリアに変更されていると、増築する建物は10m以下であったとしても日影図の作成が必要となります。
申請地の用途地域が変更されていなかったとしても、敷地周辺の用途地域が日影規制対象区域に変更されており、既存建物の影が落ちる場合も同じように、日影規制の検討が必要ですね。
既存建物の日影図を描くのは、副本などの既存図面がないと非常に難しい…。

敷地内にある建物すべての棟を合わせた「平均地盤面」を検討する必要がありますし、建物の高さも必要となるため副本などがないと無理ですよね。
「日影規制の検討に自信がない、理解を深めたい」という方には建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル が役立つかと。
「別棟増築だから既存の検査済証さえあれば大丈夫」などと安易に考えてはいけません。増築しても敷地全体が集団規定に適合するかどうか、徹底的に調査したうえで設計に進みましょう。
まとめ
- 増築の確認申請を行うにあたって2つの書類を準備
- 既存建物の検査済証の写し or 台帳記載事項証明書
- 既存建物の確認申請図書(副本)
- 既存建物の確認申請図書(副本)がない場合は「竣工図」や「既存建物の概要書」などの図面を手に入れる
- 既存建物に検査済証が交付された後で、都市計画が変わっている場合、変更後の都市計画にも法適合しているか検討が必要
- 用途地域の変更がある場合、日影規制の再検討の有無に要注意

