
- シックハウス対策の換気回数は、どうやって求める?
- 建築基準法にもとづく計算式は?
- 換気回数を算定するときの具体例が知りたい。
こんな疑問に答えます。
本記事では、建築基準法におけるシックハウス対策として重要な「換気回数」について解説。
24時間換気に使用する換気扇の風量や個数を決めるのに欠かせない情報です。

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住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築基準法の知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
換気回数の計算とは【換気回数=排気量/容積】
『換気回数』とは、一定の時間に室内の空気が入れかわる回数のこと。
排気量(または給気量)を部屋の容積(床面積×天井の高さ)で割って求めます。
✔️ 換気回数の計算式
シックハウス対策で、換気回数の検討が必要となるのは居室。
ただし、居室の換気を行うための経路に廊下・階段・浴室・トイレも含む場合は、全体を居室とみなした計算が必要です。
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例えば、住宅の居室それぞれに換気扇をつけることは少ないはず。

寝室などには給気口のみを設置し、トイレや浴室で排気する計画が一般的ですね。
【建築基準法】シックハウス対策における換気回数
シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの発散を防ぐために、建物の居室には24時間換気が義務化されています。

この24時間換気設備に求められる換気回数は、用途ごとに異なります。
✔️ 24時間換気で満たすべき換気回数
- 住宅等の居室:0.5回/h
- その他の居室:0.3回/h
住宅等の居室には、以下の用途も含まれています。
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換気回数の緩和【天井高さ2.9m以上で使える】
天井の高さが2.9m以上の居室では、高さに応じて換気回数の緩和があります。
✔️ 換気回数の緩和
天井の高さ CH | 2.9m≦CH<3.9m | 3.9m≦CH<5.8m | 5.8m≦CH<11.5m | 11.5≦CH |
換気回数(回/h) | 0.4 | 0.3 | 0.2 | 0.1 |
換気回数の計算事例
以下のような建築物の居室で、24時間換気の換気回数を求めてみます。
上記の居室は、換気回数0.57回/hだとわかりました。
住宅用途であれば、換気回数0.5回以上のため、建築基準法に適合とみなされます。
換気回数について建築基準法を読む
換気回数の基準は、建築基準法施行令28条の8。
「建築基準法を読みたくない」という場合は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル や建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。
居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準
第20条の8 換気設備についてのホルムアルデヒドに関する法第28条の2第3号の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
1 居室には、次のいずれかに適合する構造の換気設備を設けること。
イ 機械換気設備(ロに規定する方式を用いるものでロ(1)から(3)までに掲げる構造とするものを除く。)にあつては、第129条の2の5第2項の規定によるほか、次に掲げる構造とすること。
(1) 有効換気量(立方メートル毎時で表した量とする。(2)において同じ。)が、次の式によつて計算した必要有効換気量以上であること。
Vr=nAh
(この式において、Vr、n、A及びhは、それぞれ次の数値を表すものとする。Vr 必要有効換気量(単位 1時間につき立方メートル)
n 前条第1項第2号の表備考1の号に規定する住宅等の居室(次項において単に「住宅等の居室」という。)にあつては0・5、その他の居室にあつては0・3
A 居室の床面積(単位 平方メートル)
h 居室の天井の高さ(単位 メートル))
前条第1項第2号とは、施行令20条の7第1項二号を示しており、そこに換気回数の計算式が書かれています。
(居室を有する建築物の建築材料についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)
第20条の7 建築材料についてのホルムアルデヒドに関する法第28条の2第三号の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
備考
一 中略
二 この表において、換気回数とは、次の式によつて計算した数値をいうものとする。
n=V/Ah
(この式において、n、V、A及びhは、それぞれ次の数値を表すものとする。n 1時間当たりの換気回数
V 機械換気設備の有効換気量(次条第1項第1号ロに規定する方式を用いる機械換気設備で同号ロ(1)から(3)までに掲げる構造とするものにあつては、同号ロ(1)に規定する有効換気換算量)(単位 1時間につき立方メートル)
A 居室の床面積(単位 平方メートル)
h 居室の天井の高さ(単位 メートル))
まとめ
- 換気回数とは、一定の時間に室内の空気が入れかわる回数のこと。
- 換気回数の計算式
- 換気回数(回/h)=排気量(㎥/h)/ 容積(㎥)
- シックハウス対策で、換気回数の検討が必要となるのは居室。
- ただし、居室の換気を行うための経路に廊下・階段・浴室・トイレ等も含む場合、全体を居室とみなした計算が必要。
- シックハウス症候群の対策として、建物の居室には24時間換気が義務化。
- 24時間換気で満たすべき換気回数
- 住宅等の居室:0.5回/h
- その他の居室:0.3回/h
- 天井の高さが2.9m以上の居室では、高さに応じて換気回数の緩和がある。