省エネ適判(適合性判定)とは|対象となる建築物・設計基準を解説

省エネ適判 建築基準法まとめ
  • 省エネ適判って何?
  • どんな建築物に必要?
  • 満たすべき基準は?

こんな疑問に答えます。

本記事では、省エネ適判(建築物エネルギー消費性能適合性判定)についてわかりやすく解説。

確認申請において省エネ適判が必要となる建築物や設計基準など、基礎知識を身につけることができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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省エネ適判(省エネ適合性判定)とは

省エネ適判(省エネ適合性判定)は、建築物が国の定める省エネ基準に適合しているかを判定する制度です。

正式名称は、建築物エネルギー消費性能適合性判定。

一定規模以上の非住宅建築物の新築や増改築をおこなう際に、所管行政庁または登録省エネ判定機関による「省エネ適判」を受けることが義務化されています。

適合性判定に必要なデータは、建築物の「一次エネルギー消費量」。

一次エネルギー消費量:住宅や建築物が1年間に消費するエネルギーの総量。冷暖房、給湯、照明、換気などのエネルギー消費が含まれる。

省エネ適判では、建築物の省エネ性能を示す指標「BEI(設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量)」が1.0以下であれば適合と判定されます。

BEI(Building Energy Index、ビルディング・エナジー・インデックス):建物のエネルギー効率を数値で示す指標。BEI値が低いほど、その建物のエネルギー効率が良いことを示す。

省エネ適判は、建築基準法による確認申請および完了検査の対象です。

省エネ基準に適合していなければ、確認済証や検査済証の交付を受けることができません。

 

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省エネ適判の対象となる建築物

省エネ適判の対象となるのは、「非住宅部分の床面積が300㎡以上の建築物」です。

非住宅(ひじゅうたく)とは、下記以外の用途のこと。

  • 戸建て住宅
  • 長屋
  • 共同住宅
  • 寄宿舎
  • 下宿

2024年4月現在は、戸建て住宅やマンションは省エネ適判が免除されています。

ただし、2025年(令和7年)4月1日から全ての建築物に対して、省エネ基準への適合が義務化。

建物の用途・規模に関わらず、省エネ適判または、同等の手続きが必要となる見込みです。

 

省エネ適判の申請手続き

省エネ適判の申請は、登録省エネ判定機関(または所管行政庁)へおこないます。

平面図や機器表といった設計図書や省エネ計算書などを登録省エネ判定機関に提出。省エネ基準の適合が認められると、適合判定通知書が交付されます。

この適合判定通知書がないと、確認済証が交付されません。

建築主が確認申請をおこなう指定確認検査機関へ「適合判定通知書の写し」を提出してはじめて、確認済証の受け取りが可能となります。

 

【重要】令和7年4月以降は省エネ基準の適合義務化

2025年(令和7年)4月から原則として、すべての建築物に省エネ基準適合が義務付けられます。

これは、令和4年6月17日に公布された建築物省エネ法の改正によるもの。

省エネ適判_法改正

出典:国土交通省

建築確認手続きの中に省エネ基準への適合性審査が組みこまれます。

2025年(令和7年)4月以降の建築確認申請の流れ

建築確認の流れ

出典:国土交通省

 

「省エネ適判」と「省エネ届出」の違い

省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律)により、延べ面積300㎡以上の建築物の新築・増改築で「省エネ適判の対象となる建築物(共同住宅など)」は、「建築物のエネルギー消費性能の確保のための構造及び設備に関する計画」(省エネ計画)を所管行政庁へ提出しなければいけません。

工事着工の21日前までに届出が必要。

ただし、適合性判定に準ずる書面として国土交通省令で定める書類を提出する場合は、3日前までの届出に短縮が可能です。

省エネ届出_フローチャート
出典:大阪市

この行政への届出は、省エネ基準に適合していなくても受理されます。

ただし、基準に適合していない場合は、指示や命令を受ける可能性があるため注意しましょう。

 

省エネ適判について省エネ法を読んでみる

省エネ基準への適合義務のある建築物について、省エネ法11条に定められています。

特定建築物の建築主の基準適合義務

第十一条 建築主は、特定建築行為(特定建築物(居住のために継続的に使用する室その他の政令で定める建築物の部分(以下「住宅部分」という。)以外の建築物の部分(以下「非住宅部分」という。)の規模がエネルギー消費性能の確保を特に図る必要があるものとして政令で定める規模以上である建築物をいう。以下同じ。)の新築若しくは増築若しくは改築(非住宅部分の増築又は改築の規模が政令で定める規模以上であるものに限る。)又は特定建築物以外の建築物の増築(非住宅部分の増築の規模が政令で定める規模以上であるものであって、当該建築物が増築後において特定建築物となる場合に限る。)をいう。以下同じ。)をしようとするときは、当該特定建築物(非住宅部分に限る。)を建築物エネルギー消費性能基準に適合させなければならない。

2 前項の規定は、建築基準法第六条第一項に規定する建築基準関係規定とみなす。

省エネ適判については、省エネ法12条。建築確認申請との関連性も同条8項でわかりますね。

建築物エネルギー消費性能適合性判定

第十二条 建築主は、特定建築行為をしようとするときは、その工事に着手する前に、建築物エネルギー消費性能確保計画(特定建築行為に係る特定建築物のエネルギー消費性能の確保のための構造及び設備に関する計画をいう。以下同じ。)を提出して所管行政庁の建築物エネルギー消費性能適合性判定(建築物エネルギー消費性能確保計画(非住宅部分に係る部分に限る。第五項及び第六項において同じ。)が建築物エネルギー消費性能基準に適合するかどうかの判定をいう。以下同じ。)を受けなければならない。

2~7 中略

8 建築主事又は建築副主事は、建築基準法第六条第一項の規定による確認の申請書を受理した場合において、指定確認検査機関は、同法第六条の二第一項の規定による確認の申請を受けた場合において、建築物の計画が特定建築行為に係るものであるときは、建築主から第六項の適合判定通知書又はその写しの提出を受けた場合に限り、同法第六条第一項又は第六条の二第一項の規定による確認をすることができる。

以下省略

 

まとめ

  • 省エネ適判は、建築物が省エネ基準に適合しているかを判定する制度。
  • 省エネ適判では、「BEI(設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量)」が1.0以下であれば適合と判定される。
  • 省エネ適判の対象は、「非住宅部分の床面積が300㎡以上の建築物」。
  • 省エネ適判の申請は、登録省エネ判定機関(または所管行政庁)へおこなう。
  • 2025年(令和7年)4月から原則として、すべての建築物に省エネ基準適合が義務付けられる。

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