- せん断力って、どのように求める?
- せん断力の計算方法は?
- 片持ち梁に集中荷重がかかるときのせん断力を求めたい。
こんな悩みに答えます。
本記事では、せん断力の求め方について図を交えながらわかりやすく解説。
読み進めていくことで、集中荷重を受ける梁に生じる「せん断力」を求めることができるようになります。
せん断力の基礎知識を身につけたい方は、先にせん断力とは|単位・計算方法・図の描き方をわかりやすく解説をご確認ください。
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せん断力の求め方
単純梁や片持ち梁が荷重を受けるときのせん断力は、切断法によって求めることができます。
ここからは具体的な事例をもとに、単純梁と片持ち梁に生じるせん断力の計算方法を解説していきます。
単純梁に生じるせん断力の求め方
以下の荷重を受ける単純梁のせん断力を切断法によって導きます。
- 集中荷重
- 分布荷重
- モーメント荷重
集中荷重を受ける場合
集中荷重を受けた単純梁に生じるせん断力を求めます。
荷重に対して釣り合う反力(構造物を支える力)は下図のとおり。
梁を任意の位置で切って、切断面をイメージ。
切断面には以下の力が存在しているため、それぞれ矢印で表します。
- 軸方向力:N
- せん断力:Q
- 曲げモーメント:M
ΣY=0: 30-Q=0
ΣM=0: 30x-M=0(ただし、0m≦x≦7m)
※ΣM=0 は切断位置を中心としてたてる。
A-C間の「力のつりあい式」を解くことで、部材に生まれるそれぞれの力を求めます。
Q=30kN
M=30x kN・m(ただし、0m≦x≦7m)
B-C間もA-C間と同じように考えます。
ΣY=0: Q+70=0
ΣM=0: M-70x=0(ただし、0m≦x≦7m)
※ΣM=0 は切断位置を中心としてたてる。
「力のつりあい式」を解いて、それぞれの力を求めます。
Q=-70kN
M=70x kN・m(ただし、0m≦x≦7m)
分布荷重を受ける場合
単純梁が分布荷重を受けるとき、部材に生じる力を求めてみます。
まずは、荷重に対して釣り合う反力(構造物を支える力)を記入。
梁を適当な位置で切断し、以下の力を矢印で表します。
- 軸方向力:N
- せん断力:Q
- 曲げモーメント:M
切断した片側を抜き出して、分布荷重が合力として梁にかかる状況をイメージ。
力のつり合い式は以下のとおり。
ΣY=0:50-10x-Q=0
ΣM=0:50x-10x × x/2-M=0(ただし、0m≦x≦10m)
※ΣM=0 は切断位置を中心としてたてる。
計算によって、部材に生じる力を求めます。
Q=-10x +50kN
M=-5x^2+50x kN・m(ただし、0m≦x≦10m)
モーメント荷重を受ける場合
モーメント荷重を受ける単純梁に生じるせん断力を求めます。
荷重に対して釣り合う反力(構造物を支える力)は下図のとおり。
A-C間、B-C間の2ヶ所に分けて、それぞれの力を求めます。
梁を適当な位置で切断し、以下の力を矢印で表します。
- 軸方向力:N
- せん断力:Q
- 曲げモーメント:M
ΣY=0:-10-Q=0
ΣM=0:-10x-M=0(ただし、0m≦x≦7m)
※ΣM=0 は切断位置を中心としてたてる。
式を解いて、部材に生じる力を求めます。
Q=-10kN
M=-10x kN・m(ただし、0m≦x≦7m)
B-C間もA-C間と同じように考えます。
切断した片側で力のつり合い式をたてます。
ΣY=0:10+Q=0
ΣM=0:-10x+M=0(ただし、0m≦x≦3m)
※ΣM=0 は切断位置を中心としてたてる。
力のつり合い式を解くと…
Q=-10kN
M=10x kN・m(ただし、0m≦x≦3m)
片持ち梁に生じるせん断力の求め方
以下の荷重を受ける片持ち梁のせん断力を切断法によって導きます。
- 集中荷重
- 分布荷重
- モーメント荷重
集中荷重を受ける場合
集中荷重を受ける片持ち梁において、部材に生じるせん断力を求めます。
梁を任意の位置で切って、切断面をイメージ。
切断面には以下の力が存在しているため、それぞれ矢印で表します。
- 軸方向力:N
- せん断力:Q
- 曲げモーメント:M
切断した片側で力のつり合い式をたてます。
ΣY=0:-20-Q=0
ΣM=0:-20x-M=0(ただし、0m≦x≦5m)
※ΣM=0 は切断位置を中心としてたてる。
力のつり合い式を解くと…
Q=-20kN
M=-20x kN・m(ただし、0m≦x≦5m)
分布荷重を受ける場合
分布荷重を受ける片持ち梁において、部材に生じるせん断力を求めます。
梁を適当な位置で切断し、以下の力を矢印で表します。
- 軸方向力:N
- せん断力:Q
- 曲げモーメント:M
切断した片側を抜き出して、分布荷重が合力として梁にかかる状況をイメージ。
力のつり合い式は以下のとおり。
ΣY=0:-20x-Q=0
ΣM=0:-20x × x/2 -M=0
※ΣM=0 は切断位置を中心としてたてる。
計算によって、部材に生じる力を求めます。
Q=-20x kN
M=-10x^2 kN・m(ただし、0m≦x≦5m)
モーメント荷重を受ける場合
モーメント荷重を受ける単純梁に生じるせん断力を求めます。
梁を適当な位置で切断し、以下の力を矢印で表します。
- 軸方向力:N
- せん断力:Q
- 曲げモーメント:M
切断した片側を抜き出して、分布荷重が合力として梁にかかる状況をイメージ。
ΣY=0:-Q=0
ΣM=0:-100-M=0
※ΣM=0 は切断位置を中心としてたてる。
力のつり合い式を解くと…
Q=0kN
M=-100 kN・m(曲げモーメントはXによらず一定)
まとめ
- 単純梁や片持ち梁が以下の荷重を受けるときのせん断力は、切断法によって求めることが可能。
- 集中荷重
- 分布荷重
- モーメント荷重
- 切断法とは、部材を任意の位置で仮想的に切断し、鉛直方向・水平方向・回転方向のつり合い式から軸力を求める方法。
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