排煙窓の設置基準|天井高2.6m超の排煙口高さ(1.8m以上)の緩和も図解

自然排煙設備_排煙窓 避難規定

※令和7年(2025年)11月1日施行の建築基準法改正にともない、記事を加筆・修正しました。

  • 自然排煙設備における「排煙窓の設置基準」が知りたい。
  • 排煙窓を設置するときの高さ80㎝は、どのように算定すべき?
  • 天井高さが2.6mを超えると、排煙窓の高さが緩和できる?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、排煙設備における排煙口(排煙窓)の設置基準について解説。

ここでいう排煙窓は、「自然排煙設備の設計に必要な排煙口」のことであり、「居室が排煙無窓かどうかを検討する際の開口部」とは異なるのでご注意ください。

例えば、住宅設計などのLVS検討による”S(排煙)”の排煙窓とは異なります。

 

今回は、延べ床面積が500㎡を超える建築物の計画で、排煙設備の検討を行う設計者にとって役立つ情報です。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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自然排煙設備における排煙窓(排煙口)の設置基準

自然排煙設備の排煙窓について、建築基準法で定められている基準は以下の7つです。

  1. 排煙口の風道など煙に接する部分は、不燃材料で造ること
  2. 排煙口の有効高さ(令和7年11月1日施行の告示により、排煙口を設けるべき高さが変更(令和7年国交告第995号))
    • 床面から天井までの高さが2.6m以下の場合:天井から下方80cm以内(最も短い防煙壁の丈が80cm未満の場合はその値以内)
    • 床面から天井までの高さが2.6mを超える場合:床面からの高さが1.8m以上の部分
  3. 防煙区画の各部分から排煙口の一にいたる水平距離が30m以下となるように設けること
  4. 排煙口は以下のいずれかの位置に設けること
    • 屋外に開放させる
    • 排煙風道に直結する
  5. 排煙口は、以下のどちらにも当てはまる構造とすること
    • 閉鎖した状態を保持できる構造
    • 開放時には排煙による気流で閉鎖されるおそれのない構造
  6. 排煙口は、防煙区画部分の床面積の1/50以上の開口面積を確保すること
  7. 排煙口の手動開放装置(オペレーター)を以下の高さに設置し、使用方法を表示すること
    • 壁に設ける場合:床面から80㎝以上1.5m以下の高さ
    • 天井から吊り下げて設ける場合:床面からおおむね1.8mの高さ

今回は、設計者が特に迷いがちな「②天井または壁の上部で、天井から80㎝以内の高さに設けること」という項目を、深く掘り下げて解説します。

 

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【天井高が2.6m以下の場合】排煙窓の設置高さ|天井から80㎝以内、かつ防煙壁の下端まで

天井高が2.6m以下の場合、排煙窓は、以下のどちらにも当てはまる高さに設置しなければなりません。

  • 天井から80㎝以内の高さ
  • 防煙区画の垂れ壁の下端よりも上に設置

排煙窓_設置基準

 

勾配天井・アーチ天井における排煙窓【天井から80㎝の範囲】

勾配天井における排煙有効高さ80㎝は、天井なりに算定します。

排煙窓_勾配天井・アーチ天井

”平均天井高さ”から80㎝ではありません。

「仮想の平均天井面から80㎝が排煙に有効な高さ」と勘違いしている設計者の方がとても多いです。

現実に煙が溜まる天井面から80㎝の高さを算定しましょう。

 

折り上げ天井における排煙窓【天井から80㎝の範囲】

外壁付近を折り上げ天井とし、排煙高さ80㎝をとる場合は、「折り上げ天井面に80㎝の広がり」が必要。

排煙窓_折り上げ天井

天井が一部高くなるとき、一定規模の平面(80㎝以上)がないと煙が溜まらず、排煙に支障があるからですね。

 

【天井高が2.6m超の場合】排煙窓の設置高さ

天井高さが2.6mを超える場合は、床から1.8m以上の位置にあれば排煙に有効な開口とみなされます。

排煙窓_天井高さ2.6m超

令和7年11月1日施行の法改正により、排煙口を設けるべき高さが緩和されました。(令和7年国交告第995号)

「天井から80cm以内」という高い位置に窓を設けなくてもOK。

ただし、最も短い防煙垂れ壁の下端が床から1.8mを超える場合は、その防煙垂れ壁の下端より上に排煙口を設ける必要があります。

 

排煙窓は防煙垂れ壁の下端より上部に設置すること

自然排煙設備における排煙窓は、防煙垂れ壁の下端より上部に設置する必要があります。

図解すると以下のようなイメージ。

排煙設備_自然排煙

防煙垂れ壁が50㎝の場合は、排煙窓が天井から80㎝以上あったとしても、排煙に有効な部分は50㎝とみなされます。

 

排煙窓の設計では天井高さ・内部建具の高さも重要

排煙窓の「排煙に有効な面積」は、防煙垂れ壁の高さで決まるため、各室の天井高さや内部建具の高さが重要。

防煙区画内で、建具の上端から天井までの部分は、防煙垂れ壁に該当するからですね。

防煙垂れ壁_扉上部

防煙垂れ壁について、『防煙垂れ壁』の設置基準とは|建築基準法による構造・高さを図解という記事で詳しく解説しています。

 

排煙窓の開放角度の基準

排煙窓の排煙面積は、開口部の開け放つことができる角度によって決まります。

例えば、横すべり窓を排煙口として計画する場合は以下のとおり。

排煙設備_排煙口の開放角度

シンプルに言うと、開放角度を45°以上確保すれば、窓面積がそのまま排煙に有効な面積として算定可能。

上記は、”建築設備設計・施工上の運用指針”という書籍に書かれた内容で、建築確認申請においても開放角度を明記する必要があります。

 

排煙窓は隣地境界線から250㎜以上の距離が必要

排煙窓を設置した外壁・排煙窓上部の屋根は、隣地境界線から250㎜以上の離隔が必要。

排煙窓_隣地境界との離隔250㎜

あまりにも境界線に接近しすぎると、隣地の建物とのあいだに隙間が無くなり、煙の排出に支障があるからですね。

 

【参考】旧告示による「天井高3mの緩和」はどうなった?

※令和7年11月の法改正(告示第995号)により、天井高が2.6mを超えれば一律で「床から1.8m以上」で排煙有効とみなされる新基準が施行されたため、以下の内容は抹消されました。

増築等における既存不適格条項をチェックする際の参考として残しています。

平均天井高さが3m以上の室は、”告示1436号第三号”による基準を満たすことができれば、排煙窓の高さが緩和されます。

図解すると以下のようなイメージ。

排煙窓_天井高3m(告示1436号)

告示1436号第三号に示された基準を箇条書きにすると、以下のとおりです。

一部を抜粋して表示しているため、必ず条文を確認してください。

✔️ 平均天井高さ3mの室における排煙窓の緩和基準【告示1436号第三号まとめ】

  • 令126条の3第1項各号(第三号中排煙口の壁における位置に関する規定を除く)の基準を満たすこと
    • 床面積500㎡以内ごとに、防煙壁で防煙区画すること
    • 排煙口の構造
      • 排煙口の風道など煙に接する部分は、不燃材料で造る
      • 防煙区画の各部分から排煙口の一にいたる水平距離が30m以下となるように設ける
    • 排煙口は以下のいずれかの位置に設ける
      • 屋外に開放させる
      • 排煙風道に直結する
    • 排煙口は、以下のどちらにも当てはまる構造とする
      • 閉鎖した状態を保持できる構造
      • 開放時には排煙による気流で閉鎖されるおそれのない構造
    • 排煙口は、防煙区画部分の床面積の1/50以上の開口面積を確保する
    • 排煙口の手動開放装置を以下の高さに設置し、使用方法を表示する
      • 壁に設ける場合:床面から80㎝以上1.5m以下の高さ
      • 天井から吊り下げて設ける場合:床面からおおむね1.8mの高さ
    • 電源を必要とする排煙設備には、予備電源を設けること
  • 排煙口は、床面からの高さ2.1m以上、かつ、天井(天井のない場合は屋根)の高さの1/2以上の部分に設置
  • 排煙口は、防煙区画部分に設けられた防煙壁の下端より上方に設ける

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【自然排煙設備】排煙口について建築基準法を読んでみる

自然排煙設備における排煙窓(排煙口)の構造は、建築基準法施行令126条の3に書かれています。

「建築基準法を読みたくない…」という方は、建築法規PRO2026 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2026といった書籍で、図や表を見て理解するのがおすすめです。

第126条の3 前条第1項の排煙設備は、次に定める構造としなければならない。

一 建築物をその床面積五百平方メートル以内ごとに、防煙壁で区画すること。

二 排煙機を設ける排煙設備の排煙口、風道その他煙に接する部分は、不燃材料で造ること。

三 排煙口は、第一号の規定により区画された部分(以下「防煙区画部分」という。)のそれぞれについて、当該防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が三十メートル以下となるように、天井又は壁(床面から天井までの垂直距離に応じて、排煙口を設けた場合に火災時に生ずる煙を有効に排出することができるものとして国土交通大臣が定める部分に限る。)に設け、直接外気に接する場合を除き、排煙風道に直結すること。

四 排煙口には、手動開放装置を設けること。

五 前号の手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面から八十センチメートル以上一・五メートル以下の高さの位置に、天井から吊つり下げて設ける場合においては床面からおおむね一・八メートルの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。

六 排煙口には、第四号の手動開放装置若しくは煙感知器と連動する自動開放装置又は遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き閉鎖状態を保持し、かつ、開放時に排煙に伴い生ずる気流により閉鎖されるおそれのない構造の戸その他これに類するものを設けること。

七 排煙風道は、第百十五条第一項第三号に定める構造とし、かつ、防煙壁を貫通する場合においては、当該風道と防煙壁とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めること。

八 排煙口が防煙区画部分の床面積の五十分の一以上の開口面積を有し、かつ、直接外気に接する場合を除き、排煙機を設けること。

以下省略

令和7年11月1日の法改正により、天井高が2.6mを超えれば「床から1.8m以上」で排煙有効とみなされる新基準は、告示第995号に書かれています。

排煙口を設けた場合に火災時に生ずる煙を有効に排出することができる壁の部分を定める件

建築基準法施行令(以下「令」という。)第百二十六条の三第一項第三号に規定する排煙口を設けた場合に火災時に生ずる煙を有効に排出することができる壁の部分は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める部分とする。

一 床面から天井(天井のない場合においては、屋根。以下この号及び次号において同じ。)までの垂直距離が二・六メートル以下の場合 天井から下方八十センチメートル(たけの最も短い防煙壁(令第百二十六条の二第一項に規定する防煙壁をいう。次号において同じ。)のたけが八十センチメートルに満たないときは、その値)以内の距離にある部分

二 床面から天井までの垂直距離が二・六メートルを超える場合 床面からの高さが一・八メートル(たけの最も短い防煙壁の下端の床面からの高さが一・八メートルを超えるときは、その値)以上の部分

 

まとめ

  • 自然排煙設備の排煙窓について、建築基準法で定められている基準は以下のとおり
    1. 排煙口の風道など煙に接する部分は、不燃材料で造る
    2. 排煙口の有効高さ
      • 床面から天井までの高さが2.6m以下の場合:天井から下方80cm以内(最も短い防煙壁の丈が80cm未満の場合はその値以内)
      • 床面から天井までの高さが2.6mを超える場合:床面からの高さが1.8m以上の部分
    3. 防煙区画の各部分から排煙口の一にいたる水平距離が30m以下
    4. 排煙口は以下のいずれかの位置に設ける
      • 屋外に開放
      • 排煙風道に直結
    5. 排煙口は、以下のどちらにも当てはまる構造とする
      • 閉鎖した状態を保持できる構造
      • 開放時には排煙による気流で閉鎖されるおそれのない構造
    6. 排煙口は、防煙区画部分の床面積の1/50以上の開口面積を確保
    7. 排煙口の手動開放装置(オペレーター)を以下の高さに設置し、使用方法を表示
      • 壁に設ける場合:床面から80㎝以上1.5m以下の高さ
      • 天井から吊り下げて設ける場合:床面からおおむね1.8mの高さ
  • 勾配天井における排煙有効高さ80㎝は、天井なりに算定
    • ”平均天井高さ”から80㎝で算定するのはNG
  • 外壁付近を折り上げ天井とする場合は「折り上げ天井面に80㎝の広がり」が必要
  • 排煙窓の排煙面積は、開口部の開放角度によって決まる
    • 開放角度45°以上で、窓面積=排煙面積として算定可

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