
- バルコニーに関する建築基準法の制限を知りたい。
- 手すりの高さに基準はある?
- バルコニー仕上げに要求される防火性能は、どのように決まる?
こんな疑問に答えます。
本記事では、住宅や事務所、老人ホーム、保育所といった様々な建物用途に設置される『バルコニー』について、建築基準法の制限内容を解説します。

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住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。
建築基準法における『バルコニー』の定義とは

建築基準法における『バルコニー』とは、主に戸建て住宅やマンションなどにある、屋外に床を設けた部分のこと。
学校や老人ホーム、ホテルなど住宅以外でも目にする機会は多いかと思います。
ベランダと呼ばれることもありますね。
バルコニーとベランダは、細かくいえば屋根の有無などによる違いがありますが、本記事では同じ意味として扱います。

建築設計において、ベランダという呼び方をしている方は少ない気が…。バルコニーと呼ぶことが多いですね。
バルコニーにかかる建築基準法の制限
「バルコニーとは何か」といった定義は、建築基準法の法文には出てきません。
『避難上有効なバルコニー』や『2階以上の階にあるバルコニー』のように用語として出てくるのみ。
つまり、バルコニーについて直接的な表現があるわけではなく、2階以上の階にあり「落下の危険性があるバルコニー」なのか、「屋根としての機能を果たすバルコニー」か、もしくは「避難上有効なバルコニー」かといった具合に、利用用途や設置される位置によって法的な制限が変化します。
整理すると、設置位置・利用方法において異なるバルコニーの扱いは主に3つ。
- 落下の危険性があるバルコニー
- 屋根とみなされるバルコニー(ルーフバルコニー)
- 避難上有効なバルコニー
ここからは、それぞれのバルコニーに適用される建築基準法の制限や基準を解説していきます。
建築基準法において『2階以上の階にあるバルコニー』とは(令126条)
建築基準法において、『2階以上の階にあるバルコニー』は、高さ1.1m以上の手すり、または柵を設けなければならないという規定があります。

建築基準法施行令126条(屋上広場等)の文中に書かれていますね。
(屋上広場等)
第126条
屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
以下省略
ただし、2階以上の階にあるバルコニーすべてに、令126条の手すりの規定が適用されるわけではありません。
建築基準法の避難規定がかかる用途・規模の建築物にのみ、令126条の手すり高さの制限が適用されます。
手すり高さの制限(令126条)が適用される建築物
手すり高さの制限(令126条)が適用される建築物は以下のとおり。
- 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物
- 階数が3以上である建築物
- 採光無窓居室(採光に有効な開口面積<居室面積×1/20)のある階
- 延べ面積が1000㎡を超える建築物
上記は、建築基準法の施行令117条に明記されています。
例えば、3階建ての住宅はバルコニーの手すり高さを1.1mとしなければなりません。

ですが、2階建て住宅であれば令126条の対象外となり、危険性のない範囲で手すりを低くしても大丈夫ですね。
バルコニーの手すり高さの基準
手すり高さ1.1mの算定位置は、写真のとおり。

ちなみに建築確認申請では、『断面図』にバルコニーの手すり高さを明記するのが一般的です。


断面図で描いていない位置にバルコニーがあるときは、平面図などに「手すり高さ1.1m」などのコメントでも可。
手すりの『足がかり』について

手すり高さの算定において、よく議論となるのが、バルコニーに『足がかり』があるかどうかという点。
例えば、バルコニーに格子の手すりを設置する際、立ち上がりに足がかけられる状態だと、誤って身を乗り出してしまうおそれがありますよね。

この”足をかけることのできる部分”のことを「足がかり」と呼んでいます。
ただ、「足がかり」にあたるかどうかの明確な基準は、建築基準法の法文には書かれていません。
主に各特定行政庁の建築基準法の解釈によって決まることが多いです。
ここでは、「バルコニーの足がかりとみなされる基準」について、インターネットで公開している特定行政庁の取り扱いを一部抜粋して紹介します。
大阪府:バルコニーの手すり高さの取り扱い
大阪府では縦格子のすき間に足をかけることができないよう、格子の間隔が110㎜以下に制限されていますね。
〈令 126 条〉屋上広場等
2 − 51 内部階段の踊場等の手すり(安全上必要な手すりの高さ)
Q.階段の踊場及び吹抜きギャラリーの手すりの取扱いはどうなるか。
A.階段の踊場及び吹抜きギャラリーの手すりは、転落防止の観点から、令126条1項の「バルコニーその他これに類するもの」に該当し設置が必要である。
手すりの高さについては下図を参考に設置すること。
兵庫県神戸市:バルコニー手すり高さの取り扱い
ⅱ-13 バルコニー、階段等の手すりの高さ及び形状
1.令第126条第1項の「2階以上にあるバルコニーこれらに類するもの」は、建築物の部分で2階と同程度の高さから建築物の屋内又は屋外に転落するおそれのある部分とする。
2.手すり等の高さ及び形状
(1) 令第 126 条の手すり壁、さく又は金網(以下「手すり等」という。)に床からの高さが65 ㎝以下の足がかりがある場合、当該手すり等は足がかりから高さ 1.1m以上とする。なお、「足がかり」とは、腰壁又は笠木等で、当該部分に容易に自立できることができる一定の幅と水平性を持つ部分とする。
(2) 手すり等は、建築物の使用者の転落を防止する形状とし、手摺子の間隔、スリット又はこれらに類する隙間の内法寸法は 110 ㎜以下とする。
出典:神戸市建築主事取扱要領
神戸市の基準はわりと厳しいですね。
バルコニーの立ち上がりが650㎜以上なければ、「足がかり」とみなされ、足がかり部分から1.1m以上の手すり高さが必要となります。

屋上のパラペットの上部に落下防止の手すりを設置するときは特に注意しましょう。
屋根とみなされるバルコニーは防火性能が必要

いわゆるルーフバルコニーと言われるような「屋根を兼ねるバルコニー」には、防火性能を施すよう、建築基準法で制限されるケースがあります。
バルコニーの仕上げに、主要構造部である『屋根』と同じ防火性能が必要で、主に2つの要素によって要求される耐火性能が決まります。

防火地域など都市計画において屋根に耐火性能が求められたり、耐火性能の高い建築物を設計するために、不燃性能が必要となるケースがあるということですね。
防火地域、準防火地域、法22条地域における屋根の防火性能
建築する場所によって異なるバルコニー(屋根)の耐火性能は、建築基準法22条、法62条に定められています。
法22条地域のルーフバルコニー(屋根)に関する基準
(屋根)
第22条
特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
以下省略
防火地域・準防火地域のルーフバルコニー(屋根)に関する基準
(屋根)
第62条
防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造は、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
耐火建築物・準耐火建築物に必要なルーフバルコニー(屋根)の防火性能
耐火建築物など、建築物の防火性能を高めるために必要となるバルコニー(屋根)の仕様は、告示や大臣認定によって決まります。
詳しくは、『耐火建築物』とは|主要構造部と開口部の基準をわかりやすく図解、または準耐火建築物まとめ|『イ-1・イ-2・ロ-1・ロ-2』の基準を解説という記事をご確認ください。

基本的には、不燃性能を持つ材料で仕上げられているかどうかがポイント。
不燃性能を持つ材質は、大臣認定仕様の場合、NM-〇〇〇〇という認定番号を取得しています。
告示仕様により、建築基準法の告示1400号に書かれている不燃材料の中から選ぶという選択肢もあります。
『避難上有効なバルコニー』の基準
『避難上有効なバルコニー』は、直通階段を2つ以上設けなければならない場合の緩和方法として、建築基準法に登場します。

また、木造3階建共同住宅、いわゆる「木三共(もくさんきょう)」においても規定がありますね。
避難上有効なバルコニーとは、おおまかに言うと、避難はしご等の避難器具が設置されているバルコニーのこと。
避難バルコニーの構造は、『避難上有効なバルコニー』の構造とは|二以上の直通階段を免除する方法【建築基準法施行令121条】という記事で詳しく解説しています。
興味のある方は読んでみてください。

まとめ
- バルコニーは、利用用途や設置される位置によって法的な制限が変化する。
- 『2階以上の階にあるバルコニー』は、高さ1.1m以上の手すりを検討。
- 『足がかり』になるかどうかは、各特定行政庁の建築基準法の解釈によって決まる。
- 『屋根を兼ねるバルコニー』には、防火性能を施すよう、建築基準法で制限されるケースがある。
- 『避難上有効なバルコニー』は、直通階段を2つ以上設けなければならない場合の緩和条件のひとつ。






